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退職年金の思考資料

 給与所得を得ている人は退職金の支給が近づくと退職金の受け取りを「一時金」と「年金」のどちらにするか検討するだろう。
 本ページを見ている給与所得者に私は声を大にして言いたい。
《給与所得を10年以上得ていて、総務または経理畑の人に》
  自分の源泉徴収税額をトレースしたことがないなら、自己の職業意識の無さを反省すべき
《退職金の支給が近づいている人に》
  自分の源泉徴収税額をトレースして、所得税計算になれること
 退職金の受け取りは「一時金」と「年金」のどちらが得かという問題や老後の生活設計を考えるに当たって、(1) 所得税の計算方法や(2) 社会保険料のあらましを知っておくことは大切だ。
 で、どちらが得なのかは──個人個人によって状況が変わるから各々が考えねばならない──としか答えようがない。
 私が退職金を得た頃はまだ運用利回りが良くて、年金のほうが良いという意見が多かった記憶だが(記憶違いの可能性はある。その手の記事だけが目に入った可能性あり)、最近は──運用率2%程度を前提とするなら、年金を選択したほうが良さそうという考えに待ったをかけ、60歳以降、(僅かな勤労所得+)公的年金に選択された年金が加わると結構な年収(雑所得)になって、所得水準から支払額が決まるもの(所得税や介護保険料)の支払額が増え、有利不利の差がなかなか大きいので、一時金で貰うほうが良いケースがある──という論も出ているようだ。
 次が参考になる。(退職金、一時金と年金どちらで受け取るのが有利か
 私は、母とワイフの障害者控除や老人扶養控除などにより課税額がかなり減ったが、もしこれがなかったら課税所得がぐんと増えて、所得税や住民税が増えるだけでなくいろんな面で痛い思いをしたに違いない。
 しかし、人間のダメな性格を考えたら、退職金で成功確実な何かの事業を興すことを考えているのでない限り、退職金は年金選択をしたほうが良いと思う。
 一時金で得て、運用に大失敗するケースや、それまで手にしたことがない大金に気が大きくなり、結果として無駄遣いするケースをあまりにもよく見ているからだ。そして、私は自分の買春癖を考慮して、一時金選択は初めから頭になかった。
 これから給与所得を喪失する人のために私の場合の経済状況をまとめよう。本ページのテーマは具体的な計算事例を見なければさっぱり飲み込めないと思う
 私は退職金のうち年金化できる部分を全額有期年金(10年他)とした。その結果次のようになった。
注1:61歳まで給与所得を得ている。
注2:この企業年金の他に厚生年金がある。

 今まともな企業は、退職予定者に退職後の生活設計を考えさせ、退職金の運用や年金化の判断のため、奥様同席で説明することが多い。そのため旦那が奥様に内緒で退職金を使うことはしにくい。現に私が知っている夫婦の多くは、奥様が完全に退職金を押さえ、運用まで把握しているケースが多い。
 退職後の年収激減は奥様もよく覚悟する必要があり、私が知っているご夫婦でも、奥様が生活水準を全く落とそうとせず、旦那が苦労しているケースを知っている。逆に、奥様に年収激減だけ理解させ、自分は退職金を奥様に誤魔化して贅沢三昧している亭主も知っている。そういう観点から、まともな会社の人事部門が奥様まで呼んで、夫婦で生活設計を考えさせるのは大変結構なことだ。
 私は、奥様が(身障者につき)会社まで出向くのを嫌がったから、55〜59歳の年金が自分の小遣いにできたのが良かった。──61歳で年金生活者になったから、正確には、61歳までの年金が全て小遣いになった。めでたしめでたし。

 で、計算の実際例でもって説明を続ける。
 話をわかりやすくするため、表の赤色と青色の金額は年金受給とし、緑色の部分の受給方法を3通り示して検討する。
  A──緑色の金額を全て10年有期年金とした
(私の選択はこれで、70歳到達でこれがなくなってとても悲しんでいる)
  B──緑色の金額を全て15年有期年金とした(こちらを選択したほうが良かったと思っている)
(私のケースでは10年有期年金が年額1,319千円であるのに対し、15年有期年金は年額962千円になる)
  C──緑色の金額を全て一時金支給とした
 Cなら、例えば65歳から77歳になるまでの期間の年間収入は、厚生年金+企業年金(670,800円:表の赤の部分)だ。
 私が勤めた会社の企業年金は、5年有期年金(拠出年金〜青)と10年有期年金(緑)と77歳有期年金(赤)で構成され、Aの収入金額は65歳から69歳までの年収である。60歳から65歳までなら更に5年有期年金が加わって、買春する余裕が充分あった。
 69歳時点(10年有期年金の最終年度)の所得税計算(平成28年度分の確定申告)である。
 現実のAに、BとCを参考までに算出して附記した。金額の単位は千円。
収入金額 所得金額の計算 所得金額 控除額計
ア+イ
課税所得 所得税 介護保険料
その他控除
4,403   x0.85-785 2,958  2,060  898  45  120  1,940 
4,046   x0.75-375 2,659  2,046  613  30  106  1,940 
3,084   -1,200 1,884  2,028  なし  なし  88  1,940 
※ A=厚生年金 2,414千円+企業年金(1,319+670)千円=4,403千円
  A−C=1,319千円、B−C=962千円
  その他控除イの内訳
  健康保険料(340)、基礎控除(380)、配偶者控除(380)、生命保険料(50)、
  地震保険料(40)、障害者控除(750)───合計(1,940)
 名古屋市の介護保険料
  合計所得金額 290万円〜400万円───120,240円
  合計所得金額 200万円〜290万円───106,090円
  合計所得金額 125万円〜200万円─── 88,410円
 これを眺めると、年金にしない手もあったように思う。退職時に年金にできない退職金の額(要するに、功労付加金と言われるもの)がたくさんある時は、これでもって退職所得にそれなりの課税があるので、年金にできる部分は年金にしたほうが良くなるかもしれない。
 この退職所得課税額と、年金にした場合の毎年の所得税額等を比較せねばならない。
 まあ私は来年の確定申告からは(Cになるので)課税所得がなくなる。源泉徴収される僅かな金額を還付請求するために申告書を作成するのが鬱陶しい。課税所得がなくなれば、地方税はどうなるのかな。

 更に、退職年金を一時金支給選択した場合と全額年金選択した場合の損得を私のケースで掘り下げよう。
 10年有期年金を選んだ年金の年額── 1,318,800円 → 10年間の単純総額 13,188,000円
 これを一時金支給とした場合いくら貰えたかはわからない。仮に12百万円としよう。
 退職金への課税
  〔収入金額−{8,000,000円+700,000円×(32年−20年)}〕×1/2=退職所得の金額
※ 32年──子会社に転籍するまでの勤続年数
  この税額はとりあえず10%を徴収されるとしよう。
 10%の乗算値が、一時金選択によるランクアップで20%や33%に上がる可能性の問題があるが、ここでは10%とする。
  すると一時金支給選択による12百万円の退職金増分は退職所得控除を得た後の増分だから控除はなく
  12百万円÷2×10%=600,000円── 一時金支給とすれば600千円税金が増えた。
 全額年金の場合の課税等の額
  所得税 上のAの欄より45,000円 10年間で450,000円
  地方税 さっぱりわからないがとりあえず国税と同額とする 10年間で450,000円
  介護保険料の増分 (120,240円−88,412円)×10年=318千円
  450,000+450,000+318,000=1,218千円
 600千円と1,218千円との違いがあるからには明瞭に一時金支給のほうが有利だ。
 しかも、私は他の人よりも明らかに所得控除の額が大きいのにこの結論だ。所得控除の額が大きくない人で私と似たような雑所得がある人はこの差がもっときついだろう。
 となると、退職年金を一時金支給選択して、それで自己年金を組むのが良いのかもしれないが、このような自己年金の課税がどのようになるのか知らないので確たることは書けない。
 これから退職金を得る人はよく研究したほうが良い。
退職所得に係る税金
 (収入金額−退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
 勤続年数20年超の場合の退職所得控除額
  800万円+70万円×(勤続年数−20年)
税率(勤続年数32年──平成14年55歳で退職──で計算)
退職所得の金額 税率 R 控除額 Y 退職一時金の仮定 課税所得 A A x R= T T-Y(納付)
195万円以下 5%  0円   2000万円で計算 1,800千円  90千円  90千円 
195万円を超え 330万円以下 10%  97,500円   2040万円で計算 2,000千円  200千円  102千円 
330万円を超え 695万円以下 20%  427,500円   2310万円で計算 3,350千円  670千円  242千円 
695万円を超え 900万円以下 23%  636,000円   3040万円で計算 7,000千円  1,610千円  974千円 
900万円を超え 1800万円以下 33%  1,536,000円   3510万円で計算 9,350千円  3,086千円  1,549千円 
1800万円を超え4000万円以下 40%  2,796,000円   5420万円で計算 18,900千円  7,560千円  4,764千円 
  退職一時金の仮定は税率適用の各ランクの境界の始まり近くで設定した。
  住民税──所得税を上回る額で考慮を要す。
  念のため:1行目の計算(退職一時金が2000万円だとすると)
  2000万円−(800万円+70万円×12)=360万円 360万円÷2=180万円…課税所得
 年金を 100%一時金とした場合、年金選択時よりも退職所得が増え、
   退職金収入が   2040万円→10%→所得税102千円 が(一時金が1000万円なら)
   一時金を選択して 3040万円→23%→所得税974千円 と増加
のように急増するのでよく比較する必要がある。
 なお、大企業の管理職の者が完全一時金を選択した場合の退職金の相場はつぎのようなものだろう。
  役員に準ずる地位や上級部長経験者──4000〜8000万円
  部長や上級課長経験者────────3000〜5000万円 (1)
  但し、中小企業なら2000〜3000万円 (2)。
  下級課長経験者や課長未達者は(1)や(2)の50〜80%ぐらいで考えれば良いと思う。
  業績不振会社については割引要。早期の退職は大幅割引要。
 しかし、これは高く見すぎかもしれない。上の表で、退職金2310万円は3行目に、退職金3510万円は5行目に来てしまうからだ。

 名古屋市の介護保険における第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料の納付年額の分布(原典)を知ったので要約して表にまとめた。(平成29年2月末現在の状況とのこと)
 所定の区分で『段階』が決まり、納付の基準額(70,729円)にそれぞれ掛け率を乗じて納付年額が決定される仕組みだ。
段階 区分 掛け率 納付年額 人員 割合
第1段階
〜第6段階
本人が市町村民税非課税で…
 詳細は原典を見てね
 0.4〜1 28,290円 
〜70,720円
6段階計
321,237人 
57.8% 
第7段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が80万円未満の方
 1.05 74,260円  31,297人  5.6% 
第8段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が80万円以上125万円未満の方
 1.1 77,800円  39,766人  7.2% 
第9段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が125万円以上200万円未満の方
 1.25 88,410円  68,780人  12.4% 
第10段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が200万円以上290万円未満の方
 1.5 106,090円  38,643人  7.0% 
第11段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が290万円以上400万円未満の方
 1.7 120,240円  20,557人  3.7% 
第12段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が400万円以上540万円未満の方
 1.9 134,380円  11,326人  2.0% 
第13段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が540万円以上700万円未満の方
 2.1 148,530円  6,128人  1.1% 
第14段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が700万円以上1000万円未満の方
 2.3 162,670円  6,099人  1.1% 
第13段階 本人が市町村民税課税で
 合計所得金額が1000万円以上の方
 2.5 176,820円  11,974人  2.2% 
 合計 555,807人
 私は来年の確定申告(平成29年度分)で第11段階(120,240円)→第9段階(88,410円)の適用となる。なお、ワイフは第5段階(60,120円)だ。
 例えば雑所得の収入金額が6百万円あれば
  6,000,000円x0.85-785,000円=4,315,000円が所得金額になり、介護保険料の年額が134,530円になる。70歳を超えてこの金額を支払う人が本当に羨ましい。しっかり買春できるよねぇ。
 それにしても、名古屋市で65歳以上の人が55万人。恐ろしい数だ。この50%の人が要介護になったら、どう支えるのだろうか。約60%の人が市町村民税非課税という低所得だよ。

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(千戸拾倍 著)