いろんな初めて(2)

 金津園で遊んでいていろんな初めての経験を思い出してみた。
12.真っ暗な部屋で性交した女の初めて
 私は必ず部屋を明るくして性交する。相方が部屋を明るくすることに消極的であっても、何とか協力するように持ち込んでいる。
 しかし、長年金津園で遊べば、部屋が真っ暗にしてあるのを改善できぬまま性交するに至ったことが3人の嬢である。当然結構な入浴だったものはひとつもない。3人とも顔出ししていた。顔出し宣伝して売春する女には変なのが相対的に多くなるという傍証でもあった。
 一番最近のは、平成17年に館のマヤで経験した。このマヤはその後スチュアーデス、ニュージャパンに出た。変な女だった。
 その前は宝石で完全にひどい入浴を経験して、真っ暗がりの中で前後運動をした。多分平成3年だったと思う。平成5年4月1日発行の某ソープ情報誌で、艶のティファニーというのがそれだ。写真は完璧に若い美人だけれど、実物は殆ど老婆だ。徹底的な厚化粧で現れ、白塗り仮面だった。手が全く老婆の手で薄気味悪かった。照明を落としたがるのが当然だった。
 真っ暗な部屋で性交した女の初めては、平成2年壱番館の保奈美だった。
 どうして、保奈美をP指名したかと言うと、前はマスターズに出ていて、若いスレンダー美人のようだったからだ。その時の想い出が次だ。

 保奈美はこぼれるような笑顔をいつもソープ情報誌に載せていた。マスターズにいた時に入り損ねて、壱番館に移っても、マスターズにいたなら仕事はそれなりにするだろうと私は期待した。
 しかし、笑顔が素晴らしいと思って入った保奈美は、会うとエレベーターの中で挨拶もろくにしないで、話しかけても返事もせずにそっぽを向いている女だった。ちらっと見えた顔は、写真の笑顔が嘘のような憂鬱な表情をしていた。
 雑誌の写真の登場期間からみて、既に1年以上ソープ嬢をしているに違いない。それで、まともに言葉を交わすことができないような人間の基本ができていない女には会ったことがなかった。
 うわっ、こりゃ、だめだぜ、とその時思った。
 保奈美は部屋に入っても全く押し黙っている。無言のまま私の顔に眼を向けることなく、足元に、脱衣したものを入れる籠を置き、「服を」と言っただけで、壁際の、ベッドの一番端に、私から遠ざかるように腰をかけて、背を向けたまま手鏡を見ながら髪をかまっていた。
 私が服を脱ぎながら何を話しかけても、保奈美は顔をこちらに向けもせず、櫛の手入れをしたり、口紅を出したり引っ込めたりして手遊びをしていた。脱ぎ終わったら顔を向けるのかと思ったが、裸でベッドに腰かけた私を全く無視して、服も脱がずに小間物をいじくっていた。
 保奈美は会話を全く拒絶する雰囲気に見えた。闇に近いほど暗い部屋で、これほどひどい女にはお目にかかったことはないぞ、と暗澹たる気分になった。
 いつの間にか保奈美が裸になって浴槽の蛇口をひねりに行き、視界から消えた。音楽がかすかに聞こえる程度の静かな部屋で湯の音が轟音のように耳を打った。
 突然保奈美が顔を背けたまま「ちょっとごめんなさい」と声をかけて部屋から出て行った。
 私は長い間裸のまま独りでいた。部屋は陰気なまでに暗く、湯を張る音だけが赤紫色のタイル張りの空間に響き、乙女の部屋らしく飾った品々とベッドサイドの飾りつけの豆電球の頼りなげな明かりが、何やら寒々とした不気味な気配を漂わせていた。
(最悪の相方を選んでしまったようだぞ。私は保奈美にはよほど嫌いなタイプなのだろうか。今日は虚しい遊びになるのだろうか。もう戻って来ないのでは?)
 私は心配しながら貧乏揺すりをしていた。
 しばらくして戻ってきたが、「待たせて、ごめんなさいね」などと声をかけることもなく、相変わらず無言のままだった。
 それでも客として来たからにはセックスをするんだから、この若いちんぴら女の心を何とか開かせようと、私は湯船の中から軽口を言った。しかし、全く効果がなかった。
 シャワーで躯を流している保奈美は、相変わらず氷のような表情だ。一緒に風呂につかろうともしない。
(これはマットはしないか、しても、様にならない下手なものだろうな)
 そう想像していたら、案に相違して保奈美はマットの準備を始めた。
 不良少女そのままの、けだるげな表情で用意をしている保奈美にマスターズの女の話をしても、懐かしむ様子もなく無言が返るだけだ。
(笑顔が全くないぜ。今日は完全に無駄遣いだった。もう射精することだけに集中しよう。一念勃起、女穴に通ず…だ!)
 そう考えながらマットに俯すと、意外なことに保奈美はいきなり私の両足の下に自分の脚を潜り込ませ、私の腰を浮かせて、股ぐらが正面に来るように構えた。背中や腿などの心理的抵抗感のないところからボディマッサージを始めるのではなく、アナルが丸出しになる格好をさせて、一番効き目のあるところをすぐさま愛撫しようとする体勢だ。
 おやおやと思っていると、マスターズの堀千秋と同じやり方で、後ろへ引き出したカリ首をぐりぐりと揉み始めた。好みの、単刀直入の男根愛撫で、しかも、同時にアナルにべちゃりと舌を這わせた。
 その頃そのような過激なサービスをする女はなかなかいなかったし、まさか保奈美がそんな上級のマットプレイをするとは思っていないから、私は驚いた。
(これは、今までの態度を許してやらねば)と肯定的な気持ちになろうとした。
 でも、私は生殖細胞だけで構成されている人間ではない。保奈美がこの俯せのマットでかなり頑張って金的から菊座まで丹念に愛撫を続け、その技巧はかなりのものだけれど、私の如意棒はせいぜい中間勃起がいいところだった。
(ちんぴら女が、濃厚な奉仕の仕方を、テクニックだけをヒモの男に教育されたのだろう)
 そんなふうに想像すると亢奮する気にならなかった。
 保奈美は「仰向きになって下さい」などとも言わずに、そうするように手で示しながら、「元気ないのね、いつもこうなの?」と、それまでで一番文字数の多い言葉を口にした。
「あんたがあんまり愛想がないからだよ」と非難しても、「そう」と一言答えただけだった。
 結局マットプレイでは、保奈美がフィンガープレイとフェラチオを巧妙にしても、ペニスの完全隆起を果たすことができなかった。
 マットが終わった後の休憩の間も保奈美は取りつく島がなかった。
(どうしょうもないな。マスターズでは固定客がいたと聞いたが信じられない。マスターズは首になったのだろう。あの写真の笑顔は一体何なんだ。全く騙された!)
 あらためて失望を確認して、馴染みの女のところに行かずに新規開拓を図ったことを悔やんでいた。
(こいつ、性根がどうしようもない女でも、せめて女性自身には反応させてやろう)
 そう思ってベッドの抱擁を始めた。
 冷淡な風俗嬢はベッドで受け身になるのも嫌がることが多い。しかし、保奈美は愛撫を受けることを拒まなかった。私がキスをしようとすると顔を背けたけれども、乳首を吸わせながらクリトリスを指で揉まれるのは静かに受け入れた。
 意外に思いながらしばらく中指1本をそよそよと動かした。でも、ぶよぶよした頼りなげなクリトリスに全く充血の気配がなかった。
(やっぱりだぜ)
 クンニリングスに取りかかろうと思った。
「舐めていい?」
 尋ねても明確な返事はない。ところが、かまわず股ぐらを割って暗闇の中で吸う女芯は、私の唇の触覚がそれまで経験したことのないものだった。
 最初手探りで陰核包皮を引っ張り上げてクリトリスの所在を確かめようとして、細い肉の塊を唇が挟んだときは、一体何が出てきたのか、巨大な恥垢かそれとも、クリトリスを吸ったつもりが異常変形しているラビアのどこかを咥えたのかと思った。
 丁度、温くなった太いラーメンの端1cmばかりを摘んだような感触だった。
 しかし、丸みがあるからやっぱりクリトリスだろうと思って、その肉の突起を勢いよく吸うと、軟らかなものが唇の間をつるっと通った。莢から中身だけがにゅっと出てきて、つるっと唇の間にはさまる。とにかくクリトリスが異様に細くて長かった。
 愉快なことに吸い込みを繰り返すと、その度に保奈美は「はぁー」と淫声を上げて躯を反らした。
 唇を緩めると直ちにそれが莢の中に戻り、完全に包皮に隠れて、先端すら唇で探ることができなくなる。こんな細長い形で、すぼめた唇の中にそんなにまで確かな形で侵入するクリトリスを見たことがない。
 上唇を使って、薄めで深い陰核包皮をすっと押し込み、同時に、下側から舌で手繰り寄せるように一気に吸うと、にょろっと中身が出てくる。そのタイミングが悪いと包皮が邪魔してクリトリスが吸い出せず、淫声が発せられない。また、調子に乗って吸い出しを連続して行っても、身悶えとよがり声が出なくなる。
 面白くなって、適度に間を置きながら結構長い間クリトリスを吸い吐きしていたが、よがり声のリズムとトーンに全く変化が表れないので、気をやらせるのは諦めた。
 保奈美に「時間が!」と急かされ、尺八をされても不完全のままのペニスを指で支えて無理やり押し込んだら、案の定直ちに棹の芯に中途半端なむず痒さが走った。
 もこもこと腰を送りながら、全く射精感の乏しいフィニッシュになった。
 服を着るときも料金の受け取りのときも、保奈美は殆ど無言だった。だから、部屋を出るとき「また来て下さい」と愛想を言ったのが、全く意外だった。
(保奈美は、私がよほど嫌いなのだろうか。「また来て下さい」とは、あの愛撫が、保奈美の心を少しは溶かしたのだろうか。閉ざされた性格とは不釣り合いに技が上手いだけに、保奈美には暗い過去があったのではなかろうか?)
 そんなことを考えながら木枯らしの吹き抜ける金津園の通りをコートの襟を立ててとぼとぼ歩くと、「旦那さん、もう一ついかがですか。いい子、いますよ」と調子よく声をかける店の男が私をからかっているように思えた。
13.教え癖発揮の初めて
 初めての月4回入浴を読めばわかるが、私は対面した相方の嬢としての技量が低いと何かとアドバイスをしたがる人間だ。
 このアドバイス癖というのは紛れもなく驚嘆のマットプレイの玲子の入浴経験が私の指導癖の潜在能力を顕在化した。とにかく私は玲子の畏敬のプレイに心を打たれた。
 私が教え癖を最初に発揮した嬢は多分仁科良だ。それはいろんな初めて(1)に書いたマスターズの千秋がいなくなった平成3年のことだった。
 なお、この仁科良は私がよがり声の激しさに驚いた初めての嬢だ。

 仁科良は千秋と同様雑誌に写真を出していないので、容姿を知らなかった。マスターズの女から、仁科良がそれほど美人でもなくてソープ経験も短いのに何故か固定客が多いということを聞いて会うことにした。私は本指名をよくとると聞いた女には入浴する癖があった。
 エレベーターの中で控えている姿を見ると、やや小柄でスリムな体を学生風の普通の服装で包んでいた。小さな顔の割には、上の前歯がやけに大きい。話し方もいかにも学生風で、初対面の仁科良の仕草がとても初々しく思えた。
 しかし、肌が地黒で、眼も上目蓋が腫れぼったくて垂れ目で、痩せ気味で、心が躍るような容姿ではない。声もボーイッシュで乾いていて、それほど愛想がいいということもない。長所は、ウエストが55cmぐらいまでに見事に締まっていることと、若くて素人っぽいことだけで、最初は、何故固定客が多いのか、本当かな?と疑った。
 でも、マットとベッドのプレイをして理由が判った。
 仁科良の椅子洗いのあっさりとした仕方から、マットプレイが期待できそうだとは思えないし、またそれほどしっかりと菊座をこすり洗いしないので、これはアナルも攻めはしないな、と私は判断した。
 ところが、俯せのマットプレイは、男の背中に乳房を押し当てて躯をローリングさせる「泡踊り」と呼ばれる動作ではなく、千秋と同様に最初から私の脚の間に腰を下ろし、後ろから股ぐらに両手を突っ込んでペニスを掴んだ。いきなりペニス揉みでスタートした。
 そのような単刀直入の切り込み方が私は大好きだった。仁科良が性的行為とは無関係の雰囲気をしているのに熟練の入り方をするから、意外に思いながら、腰を浮かせてペニスを弄いやすくした。
 仁科良はカリ首をこすり揉みしながら、千秋よりもしっかりとアナル舐めを行った。舌先だけを当てるのではなく、面全体で菊座の襞をえぐり取るように強く、時間もたっぷりとこする。菊座に這わせる舌も、同時にカリ首に添える指も程良い圧力だ。
 予想に反して仁科良はなかなかのマットプレイをした。ソープの経験が浅い割には性技が上手で、しかも一生懸命にやっている。カリ首のいじり方が要領を得ていないけれど、少しやり方を教えればかなり上手になりそうだ。
 更にベッドでは、クリトリスを丹念に揺らして攻めると、仁科良は両膝を抱えて細い脚をたたんで秘所を露わにし続けた。完全におまかせのポーズで、私はすっかり煽られた。
 胸を反らしたり首を傾けたりして、若々しいよがり声を奔放に響かせる。攻めに強弱をつけるとその度に腰の揺れと悩ましい喘ぎ声で応答を返し、細い脚が踊った。愛液もたっぷり放水した。
 これは人気が高い筈だ。そう思って常連客の客層を訊くと、仁科良はお年寄が多いと言った。
 決して美人ではないが、ウエストが細く締まって、筋肉質の、女豹を思わせる体つきだ。乳房も小さ目ながらもこんもりと張っている。私は、若い仁科良の肉体がとても鋭敏に反応することが気に入り、それから仁科良によく通うようになった。
 仁科良は玉舐めもアナル舐めも大胆にするのに、肝心の男根攻めには執拗さと圧力が足りなかった。私はそれがもの足りなくて、初会、二度目、三度目の最初の頃の入浴で、男の快感のポイントと私がして欲しいマットプレイの攻め方を教えた。
 俯せのマットでは、腰を下ろして両脚を私の太腿の下に潜り込ませ、足先を私の両腋の方まで伸ばし、掌で如意棒を、舌と唇でアナルを刺激するというやり方を教えた。
 仁科良は腿が細いので私の股間がマットから離れず、勃起したペニスがマットに当たって窮屈だ。しかも、その腿が実に固いから、その姿勢を長く続けると、まるで丸太の上に乗っているようで、太腿が痺れて痛くなる。これが、デブの千秋の場合と対照的だった。
 仁科良は、その気になってカリ首の攻め方を熱心に研究した。ローション液をすくってネットリとペニスの先を揉み、眼を瞠ってカリ首の張り具合を観察した。細い指を穂先に絡ませ、媚びるような視線を送って私に確かめた。
「こうなのぉ?」
「そう、そういうふうだよ。そこまでしっかりいじって貰えると、僕は完璧に気持ちいいよ。君だって、男が自分の愛撫でヒィヒィよがって躯をくねらすのを見ると、助平な気分になって、楽しいだろぅ?」
 私が合格の判定をすると嬉しそうな顔をした。
 後日仁科良は、亀頭冠から膨らみ全体を掌でくるんで厳しくこすり立てる、私に教わったやり方を常連客にも試してみたら、皆が驚いていた、と目を丸くして報告した。
 千秋の脂肪がのったふくよかな掌で包まれて揉まれるのもいいけれど、仁科良の肉厚のない指でこすられるのも、ローションを使っておれば、亀頭を刺激される感触がびんびんとペニスの芯まで響いてなかなか良い。
 仁科良の陰裂は短めだった。大陰唇の張り出しがない分、女芯も花弁もはっきりと飛び出し、短めの二筋の稜線が鋭角になって、しっかりと着色していた。
 白人の女は日本人より概ね大陰唇が発達している。足を少し閉じ気味にしただけで小陰唇が隠れてしまい、縦の直線の裂け目だけが見える形の女陰が多い。
 私はそういうのは好みではなかった。エプロンがはっきり飛び出て、大股開きすれば指を当てなくても小陰唇がパカッと割れ、内側のぬめったところが顕れる性器にいつも感動した。特に、亢奮するとクリトリスの丸みが自然に露出するようなのが大好きだった。
 仁科良は腿も脹ら脛も脂肪が薄い。皮膚がピーンと張った浅黒い肌をしていた。脚の間に腹這いになって、愛くるしい女陰がパカッと割れているのを観察すると、ラビアの着色がまわりの肌の色にとけ込んであまり目立たない。
 短めの扉は突き出しが乏しいけれども張りがあって、本人が「左の方だけ大きくてイヤだわ」とよく呟いた通り、向かって右の扉の上の方がふくらみを強めていた。それほど非対称でもないが、ちょっとしたことでも若い女は苦になるのだろう。
 仁科良のアナル攻めが徹底しているので、私も仁科良のそこに指を入れて攻めたら、結構身をよじらせるのが面白かった。
 仁科良を攻めると「地図」が楽しみだった。絵の具の愛液は粘りがあって、匂いも決して淡くなかった。
 私はクンニリングスをする時、片手で女芯のカバーを押し開き、もう一方の手は、女が跳ね上げた脚の腿の辺りを支えているから、おのずから女の腰の位置はそんなに動かないので、愛液がこぼれ落ちる箇所が一定していた。
 シーツの「地図」は、しゃびしゃびの水のような愛液だと大きく描かれるけれども、滲んでしまって、海と大陸の境目は明確さに欠ける。逆に、どろどろしていると、シーツの「地図」はそれほど大きくならず、海と大陸の境目がはっきり示され、陸地はテカテカと光る。
 仁科良の愛液が描く地図はとにかく大きく、テカテカと光って輪郭が明瞭だ。その愛液は豊富なまでに涌出して、粘度が高く、実に淫水そのものだ。
「××さんが来ると、疲れるからイヤだ」
 気をやるまで私がクンニリングスをするから、仁科良がそう呟いたことがあった。
 クリトリスを攻め始めると、すぐに淫水を一筋垂らす。大粒でも粘度があるので、会陰の短い毛の間の、皮膚に光沢のある辺りでしばらく止まっている。更に一筋、二筋垂れると、やがてそれらは合体して、アナルの窪地に溜まる。
 クリトリスを吸い出し、唇で揉んで舌でこすり立てれば、すぐにそれが満杯になって、いくら粘り気があっても重みに耐えられなくなり、そこから更に滴り落ちてシーツに大陸を作り始めた。
 その頃になると私も亢奮して、白濁の流れを観察する余裕がなくなる。
「あぁいぃ、あぁ、おぉ、イキそう、あぁ、どうかなりそう、わぁ、すてき、いぃ、いぃ、もっと、もっと、そこ、そこよ、うぅ、感じる、おぉ、わぁ、もっとぉ、あぁ!……」
 仁科良のよがり声はとても派手だ。低い地声に比べ淫声の滲んだ響きが何とも快い。天使のさえずり、妖精の吐息、聖母の歓喜、そんなものを思わせる。
 更に昂まってきて終末を迎えたくなると、仁科良は時々「指、入れてぇ」と要求した。お豆さんを舐められながら、同時に中指1本で、膣上面のGスポットをこりこりされるのが好みだった。肉孔は狭くて、指2本ではきつかった。
 膣の中は襞のようなものがなく、単純な導管の形状で、探り甲斐が乏しい。でも、狭い通路が濡れそぼち、時にふわーっと奥が広がる。膣道の前壁を中指の腹でこすっていると、唇に挾んだ女芯もばんばんに腫れ上がり、実に咥え甲斐がある。
 顔が朦朧とした感じで、何かを待ち受けるように次第に言葉が「いぃ、いぃ」と単純になる。
 このよがり声の間隔が短くなって、悲鳴のようになると、私は剥き出したクリトリスを唇の間で激しく出し入れして、同時に肉孔に差し込んだ中指の動きを強める。時には人差し指をアナルに差し込み、指2本で薄い壁を挾んで深浅自在に動かす。
 私はクンニリングスのし始めでは、舌先でクリトリスを撫でるようなことをしても、佳境に入れば両唇の間にクリトリスを挟みっぱなしにするねちっこいオーラルプレイをした。
 まるで股ぐらに食らいつくように密着するクリトリス弄いが執拗で、仁科良には経験したことのない具合のいいものだったと思う。華奢な上体の背を反らして、わめくような大声でよがり続けた。
 仁科良はアクメが近づくとナイフエッジのラビアがパックリ開く。よがり汁が溢れ、声が「あぁ、あぁ」と更に高くなる。胸を張ると、小ぶりの乳房がほほえましい。
 その頃になると濡れそぼった女陰は何とも生臭い匂いを発散した。決して悪臭とは思わないが、強い匂いであることは間違いない。昂揚するまでは普通の人肌の匂いしか発していないから、仁科良の分泌物によるものであることは確かだ。
 何の匂いに似ているのかとよく考えたが、類似の香りが全く思い当たらなかった。しいて言えば、手の甲を舐めて、湿り気から漂う匂いを20倍に強めたような感じがした。
 仁科良はアップテンポで快感が駆け上がり、腰を盛んに震わすと間もなく到達する。
 一声「イクーう!」と叫んで、全身を大波のようにくねらせた。ほれぼれするようなオーガズムだ。
 そこで私は怒張したものを突き入れると、あまりにも濡れすぎてどうにも具合が悪い。一度抜いてペニスをティッシュペーパーで拭き、それから腟口の辺りも拭いて、再度挿入することをよくやった。
 私が割れ目の内側にティッシュを当てると、その度に仁科良は「うわぁ」とか「あはん」とか叫んだ。
 私が腰を送る度に仁科良は「うっ、うっ」と声を洩らし、首を振った。ピストン運動に明瞭な反応を示すから私は愉しくて、いつも上体を起こして仁科良の顔を見ながら抽送した。
 膣の中はあまり柔らかくなく、狭くって、熱っぽい。私はこすれ具合が良くて、いつも急速ピストンで豪快に放出した。抽送が長続きした時は、同時に、仁科良が失禁しそうな顔で再度達することもある。疲れるので我慢していることが多かったが。
 シーツを見ると一箇所がべとべとになっている。
 初対面で私は、仁科良がけ続けざまのたたましいよがり声をあげた後、上体を持ち上げて息絶えんばかり表情で「イキそう!」と叫び、躯をエビ折りにして到達したことに驚いた。
 仁科良が身をよじって横向きになった後、私が合体しようとして膝を進めた時、シーツの派手な地図を見て感動した。前戯してから合体する前に地図を確認するようになったのは仁科良を知ってからだった。
 女のよがり方、気のやり方は、男と違って実に様々で面白い。時には動物的で、時には艶めかしくて、本当に各人各様だ。
 部屋の明かりを消し、伸ばした脚を交叉し緊張させて、自分で豆を揉んですーはーするのや
 千秋のように、「はっ、はっ、はっ」と喘ぎながら、亢奮するにつれて口臭が強まるのや
 空中に両足を上げて、自転車を漕ぐように脚を円舞させながら「いぃ、いぃ、いぃ」と喘ぐのや
「あっ、あっ、いぃ。あっ、あっ、いぃ」と三拍子の声を出すのや
「そこ、素敵、いぃ。そう、そこ、ああ、イキそう。そこよ、そう、イッちゃいそう。いぃ、イッちゃうー。いぃ、……イクーう!」という解説型やら
「もう、あぁ、溶けちゃいそう。そう、溶けちゃいそう。あぁ、飛んじゃうー」と叙述的なのや
 同時に両手で乳房を揉むのや、黒目がどこかへ行ってしまうのや
 腰を左右に揺すりながら両脚がどんどん開いていくのや、躯が弓なりになるのや
 躯全体がせり上がり、枕が脇腹のところに来て、頭が壁に当たって首が傾いてしまい、身動きがとれなくなっているのや、訳の判らぬ動物的な唸り声を出し続けるの……
と、実に様々だ。
 アクメの多様なパターンを見分すると、気をやる女は本当に美しいし、可愛いと思う。
 それにしても、仁科良ほど明瞭で激しい絶頂の悦びを表す女はなかなかいない。
 私は学生の時に見たイタリア映画で、マルチェロ・マストロヤンニの扮する主人公が女中と交合するシーンが印象に残っていた。
 女はスカートもブラウスも着たまま尻をベッドの端に置いて、黒のハイヒールを履いた両足を垂直に上げ、男が足首を掴んで立位で挑んでいた。白いブラウスから乳房がはみ出て、濃紺のスカートがまくれ上がり、女の白い腿に男が激しく腰を打ちつける映像が迫力に満ちていた。
 そのファックシーンの想い出話をすると、仁科良は若いのに似合わず50歳ぐらい年上のマストロヤンニを知っていて、好きな俳優だと言った。
 ベッドを利用して立位を実演したら、それから仁科良は巻き舌の声で、「マルチェロ・マストロヤンニのでしてぇ」とねだるようになった。
 仁科良のGスポットにその体位は合ったのだろう。
 私はいつも、ベッドの端に移動させた仁科良の腰の下に枕を宛てがって抽送した。痩せた股間だから出入りする棹と食いつく女陰がよく鑑賞できた
 マルチェロ式で私の吐精を受けた後、仁科良はいつもは寝そべったまま、下腹に力を入れて原液を押し出して割れ目を拭いた。
 ある日たまたま上半身を起こして、秘所を覗きながら始末したことがあった。私はベッドから下りて一服つけていて、突然仁科良が「わぁ、おまんφ、くさいー!」と絶叫したので、驚いた。
「わぁ、嫌だぁ、恥ずかしい。私のって、こんなにくさいのぉ。これ、××さんのにおいじゃないよねえ。私のおまんφの臭いよねえ。いやー、もの凄くくさい。何よ、これぇ、ひどいわぁ。いやらしい。する前、ちゃんと洗ったのに。わぁ、こんなになっちゃうのぉ。いやー、こんなおまんφ、恥ずかしい!……」
 どうやら、秘所からの湯気が鼻を直撃したようで、大声の生々しい言葉の連弾に、私は笑いかけたのをぐっと堪えた。
 確かに仁科良は亢奮が頂点に達すると香りが濃くなった。そのときは仁科良が陶酔の後の女陰の匂いに甚だしくがっかりしていたので、そんなにたまげることはない、と精一杯宥めた。
 ある日ベッドで一戦の後、抱き合って余韻を楽しんでいた時、私が、以前肥満気味の女と遊んだときの思い出話をした。
 下手なマットプレイにうんざりした後、ベッドで69の形になると毛もじゃの股間が大変臭かった。どうしようかと思って眺めると、大きな尻たぶの間で菊座の襞にペーパーの切れ端が喰いつかれて残っていた。女に何も言わずに割れ目に吸いついたが、尻もろくに洗わない女だから、割れ目もとにかく味がきつくてくさかった、というしょうもない体験談だった。
 すると仁科良はベッドから転げ落ちんばかりに笑いこけた。
 仁科良は名古屋の進学レベルの高い公立高校を出ていて、予備校通いから転身した。親には、飲み屋か何かで働いていることにしていた。予備校に通って勉強することがいかに虚しいと思ったにせよ、凄い決断をしたものだ。やはり女は男より度胸がある。
 ソープに来る前の性体験は実に僅かだった。殆どの女はソープに来る前にかなりの数の性交渉を経験しているものだが、仁科良は2回しかしていないと説明した。それはかなり珍しいケースだ。
 それで、この仕事がきっちりできるのだから根が相当な助平で、私のソープ経験談に面白がって耳を傾けるのだろうと思っていた。
 20歳そこそこだったが、笑うと18ぐらいに見えた。小説も結構読んでいたし、私と映画論、人生論なりをそれなりに語り合った。2人とも素っ裸で、ピーナツなどを華奢な指で私の口許に運びながら、会話は楽しくはずんだ。
 仁科良は、私がすぐにペニスの先からだらしなく先走り汁を垂らすのを面白がった。
「あーっ、出ている、出ている、ネバネバがいっぱい出ている!」
 一つ眼小僧の粘る涙を細い指でカリ首に塗り拡げ、坊主を人差し指一本で撫でながら談笑するのが癖になっていた。
「貴方のようにお汁を出す人はいないよ。面白いー」
「××さんの玉々は、きゅーっと締まっていて、形が良くて舐めやすいわ。毛も密林じゃないし。それにしても、この金玉さんは勝手にぐるぐるとよく動くのねえ、うふふっ」
 仁科良はあぐら座りの私の金的を両手で掬い上げながら面白がった。
「昔、嵯峨帝の御代に、東国に下りし貴族の、美濃の国金津園に来たりて詠める歌一首今に伝わりけり
   エロ良の濡れにぞ濡れし濡れマンの匂いかぐわし味塩辛し
                  詠み人の名知らず
おちんちんがコキンコキン和歌集」
 などとふざけて享楽の一時を過ごしていた。
 仁科良は年配の固定客が何人もついて、予約が取りにくかった。あまり遊んではいないようだから、しっかり貯めていたに違いない。
 2年ほど付き合ったが、エイズの危険が叫ばれるようになって、金津園が一時期客枯れとなった頃、仁科良は名古屋のファッションヘルスの方に替わってしまった。
 仁科良とかなり心を許したつきあいをしたつもりだから、仁科良が店を辞める相談を持ちかけなかったのが心外だった。
 仁科良は「貴方が好きよ」などと気をそそることは言いそうもなかったが、私は充分愉しんだ。とてもオーガズムが深くて、それが何とも魅力だから、ファッションヘルスでマットプレイを売り物にしているような高級店を二三当たった。しかし、探し当てるのは容易ではないから諦めた。
 本当に多彩なよがり声とシーツの地図、露わな女芯、眠たそうなはれぼったい目、浅黒い若々しい肌、アクメの激しい痙攣が忘れられない女だ。
14.初会から1年以上経ってから通うようになった嬢の初めて
 初会から1年以上経ってから通うようになった嬢は3人いた。
 その初めての嬢がマスターズの山口香で、初会が平成元年だった。その後恵里亜の由美(仮名)と恵里亜のナツミが、初会と2度目の間が1年以上空いた。3人とも初会では気に入らなかったのに近かった。
 山口香は雑誌に顔出ししていたので記憶がたぐりやすく、今でも入浴していた時の光景がぼんやり頭の中に残っている。
 私の金津園遊興史の『想い出のソープ嬢』の写真の中に山口香のものが2枚ある。写真の中では山口香が一番魅力的に見える人も多いだろう。

 私がマスターズで最初に入ったのは山口香だった。
 フリーで店に入り、当時は女の写真を客に見せて選ばせるというサービスがなかったから、いい女を当ててくれるだろうかと思いながら待っていた。
 案内されて、現れた山口香を見て驚いた。
(おや、この子はいつも雑誌に写真が出ていたぞ。なかなか綺麗な女でついているけれど、初めてこの店に入ったのに、エース級かもしれないこの女が出てくるとは意外だ)
 香は随分前から雑誌に可愛らしい美人の顔写真を出していたので、私は当初から気になっていた。18か19でデビューした頃の3年前の写真は大きな目とセクシーな厚めの唇が目立つ何とも可憐な美少女だった。
「貴女のことは雑誌に写真がのるようになってからずーっと注目していたんだ。だから、貴女が前に勤めていたいくつかの店の名前を僕は知っているよ」
 そう私が言うと、香は壁際に置いた大きなクッションに太めの躯をけだるそうに凭れさせて、生意気な口ぶりで嬉しがった。
(こいつ、存外とチンピラだなぁ)
 そう思っても、香は美人の上に、私の顔をしっかり見つめて話しかけるのが気を惹いた。
 そのときは22歳ぐらいで、大衆店を振りだしにマスターズが3つ目の店になっていた。まあ、大衆店に出る顔ではない。
 香が以前にいた店で私が対面したソープ嬢のことを話題にすると、香は昔の仲間について懐かしそうに思い出を語った。その話しぶりは、10代でソープに入っただけに男馴れして大人びていた。
 いかにもすれっからしという感じがして、それだけでなく、ソープ経験が長い割にマットプレイでペニスをあまり弄わず、私はもの足りなかった。
 ベッドでも、香は私の愛撫にかなり乱れはしたが、結局登りつめなかった。
 香は目が綺麗で間違いなく人気があるけれど、言葉遣いが悪く、太めの不良少女の印象があった。半勃起のペニスが完全になるようにしっかりと愛撫をしなかったのも面白くなくて、私は欲望をかき立てることができずに中途半端に射精した。それで、裏を返さなかった。
 初会から1年以上経ってから、希望の予約が取れなかった時に、太めでも、ウエストが締まって美人だからいいや、と思って、山口香に再び入った。
 香は私をおぼろげに憶えていた。馬が合って話がはずんだことや、ペニスがなかなか力強くならなくて、私が焦っていたことを存外と記憶していた。
 1年以上空けてもそんなことまで香が憶えていたから、私は嬉しくなって、きっちりとペニスを愛撫されなければ調子が出ない、と臆せず注文した。
 すると香は、「貴方、そう言ってくれればよかったのに」と微笑んだ。
 私の好みが判ると、ローションまみれの指をねちねちとカリ首にまといつかせた。その指使いと強めにしたフェラチオがとても具合が良くて、文句のつけようがなかった。
 その日私のねばり強いクンニリングスでようやく香がアクメに到達した。艶めかしく気をやったから、香にペニスを弄わせなくても私は充分に勃起した。
 白くて太い腿の間に激しく腰を送って充実した情交ができたし、存外と気だての良いところがあるようだから、香が気に入った。それからはよく通うようになった。
 香は相当崩れているというか、風俗ズレしているところが私はもの足りなかった。しかし、大きな綺麗な眼をしていて、その眼と口許が表情豊かでなかなか魅力があった。唇が厚く、丸顔の輪郭が整っているから、年の割に妖しい雰囲気があった。
 胸も尻も乳首も大きく、乳房の先の円形の色も驚くほど黒々としていて、グラマラスな躯が肉感的だ。その肉体が美少女の顔と不調和な感じがして、やけにセクシーに見えた。更に、ベッドで亢奮にひたっていると何とも狂おしくなるほど可愛い女だった。
 香のお喋りもなかなか飽きさせぬものがあった。物憂げでけだるそうな、歳の離れた客を何とも思わないような不良ぽい喋り方にも、独特の魅力があった。
 私は馴染みの女を逢瀬の度に気をやらせていたが、香は毎回の到達となると難しかった。よがり汁を流して表情や仕草の反応はいいけれども、厚い脂肪が性神経の感受性を鈍らせているようで、イクまでにとても時間がかかる。途中で時間が気になり、インサートしてしまうことが時折あった。
 香で印象に残るシーンは、マットが終わった後、本来は客に座らせる革張りの奥行きのある椅子に、素裸のまま腰を浅くだらしのない格好で座り、わざわざ片足を持ち上げて肘掛けに乗せ、濃密ヘアーの秘所を大胆にさらけ出す姿だ。
 顔も胴も太腿も姿勢も全部が丸っぽい。開いた股間に陰毛が男のように豪快に広がり黒々としている。
(貴方、私のあそこを舐めるのが好きなんでしょ。だったら、思う存分舐めていいわよ)
 そう誘っているような微笑む顔の淫らなポーズを見ると、私はその傍らで、床に敷いたバスタオルに腰を下ろしてブランデーを飲んでいても、グラスを置いて膝元へにじり寄らざるを得ない。
「おお、エマニュエル夫人だな」
「ふふっ」
「ちょっと、太めだぜ」
 浅く座っているから上体が曲がって、へその少し上のところで深い横皺が渡っている。その横筋からこんもり盛り上がった白い腹が、黒々とした茂みと好対照で、何とも豊饒感を醸し出した。
 丸々とした太腿の根元を両手で引っ張って下から覗くと、焦げ茶のアナルからへその近くまでびっしりと恥毛が密生している。一本一本が黒光りして長く、しかも縮れが少ない。
 ソープの女で、陰毛をカットせずに全く自然のままにしているのは珍しい。
 両脚を上げると、黒い革張りの椅子の上に白い大きな尻こぶたがどでかい二つの丸みを誇示していた。
 密毛がようやく薄くなった大陰唇下部の地肌は壮絶に着色していた。上のほうのどこら辺りまで同じ色の肌が続くのだろうと、密毛をかき分けて覗きこめば、生々しい色の肉溝がかなり縦長なのと膣口の奥深さに半ば薄気味悪く感じながらも、香の豪快な女陰に感嘆した。
 クリトリスを保護する肉がふくよかで、それを剥き出し続けるのには、大層力が要った。
 扉の辺りにもびっしりと生えた邪魔な毛をかき分けて、まわりの肉も目一杯押し開き、唇を押し当てて更に女芯を吸い立てると、いつも香は、両手で陰阜の辺りを指で吊り上げて協力した。膝頭を引きつけたまま、かなり大きなよがり声を上げていた。
 クンニリングスをする時は、どこで呼吸をしようかとタイミングを図る必要があった。唇をクリトリスに当てると、鼻を香の腹の方に向けても、鼠蹊部の陰毛の端に疎開させても、尻たぶの間に向けても、同時に小鼻の付け根から顎まで、豊満な肉の壁と濃い茂みに包まれるからいつも往生した。
 香を到達させるのにはかなりの時間を要したから、少し匂いのある愛液にまみれた私の唇と舌は過度の運動と酸素不足でいつも大層疲れた。
 交合はいつも香の脚を目一杯たたませて行った。太めの女が膝を引きつけると太腿の質感がドーンと増す。美少女が見事に質感のある太腿の間に毛もじゃの割れ目を露呈しているのが愉しい。
 香がベッドに寝て膝を立てるぐらいでは尻たぶの底が出っ張って邪魔になるけれど、腿を脇腹に引き寄せると、大陰唇とそれに連なる両脇の肉が平坦になるから、私のペニスは挿入が深くなる。
 そんな格好になって股間の皮膚が引き延ばされても、見事な盛りマンだった。
 私がペニスを嵌め込む時には、香は必ず右手を伸ばし、腿の裏を越えて、陰唇の片側の毛を押さえた。私ももう一方の密毛を巻き込まないように手で押さえつけて協力し、ゆっくりと確かめながらインサートした。香は毛切れ予防が万全だった。
 合体すると、ペニスを真綿で包むような肉壷の感触が実に具合良くて、後年仁科良に会うと、香の膣に比べれば、仁科良の方はエボナイトの筒のようなものだと思った。
 香が仰向きになっても、乳房がお椀を伏せた形を保ち、腰の動きにつれてぶるんぶるんと揺れている。乳房から腋を経て背の方にかけての丸い湾曲が、柔らかそうな質感でいつも眼前に迫った。
 香が大きな目を開いているときは、魅惑の眼差しやセクシーな口許に気をとられて判らなかったけれど、眼を閉じてペニスの出入りを愉んでいる顔を上から見下ろすと、初対面の時には目立ったニキビが消えて、豊頬がとてもチャーミングだ。
 香はいつも両脚を高々と上げ、手で腿を支えて、割れ目が上を向くぐらいに躯を丸めていた。
 できるだけ奥へ入れてくれと要請されているようで、私は恥骨を突き出すように上体を反らして抽送した。下腹部に香の股間の柔肌が当たって、何とも感触が良かった。
 上向きの尻と女陰の全景が見え、その中央で、密林をかき分けてペニスが突入する眺めは欲情を煽る。白い2本の円柱は根元の辺りの太さがたくましい。私はいつも香の肉体に圧倒される気分で抜き差しに励んだ。これ以外の体位で交わったことは全くなかった。
 2年以上通った最初と最後で、香のウエストのサイズが更に伸びていた。私は62cm以上だと意欲が湧かないのが昔から首尾一貫していたので、段々と間遠になった。
 そのうち同じ店の仁科良に逢うようになって、当初は中性的な感じがする仁科良よりも、妖しい女の魅力を見せる香の方がいいと思っていたが、間もなくそれが逆転した。香の不良ぽい擦れたところが次第に心に引っかかるようになり、香に通うのをすっぱりとやめた。
 でも、私が律儀な性格だからそこまで続いたのであって、香が、私に馴れ親しみ過ぎて、やってはいけないことをしたから糸が切れたのだ。
 ある日、私の脱いだ衣類を全て床に散らかしたままプレイを始めた。
 服をたたんで籠にしまう時間も惜しい気持ちで情熱的に情交を迫るのであれば、一つの積極的なプレイとして認められ、男冥利に尽きるが、そのときの香は特に何かが積極的だというわけでもなかった。
 その日は、たまたまの流れでそのようになったんだろうと、気に止めないようにしていても、次のときもそれだと、要するにただ横着なだけだ。
 私が、マットプレイの後にそれが気になって、上着とズボンとワイシャツなどが床に散らかっていたのを一つ一つ拾い上げて籠にしまっても、香は、何も言葉をかけずに自分の躯を拭いていた。服を放ったらかしにした最初のときも2度目のときもそうだった。
 山口香は人気があって、セックスしているときには独特の妖しい魅力があるけれど、ここまで横着にされては、これまでだ、とその時に思った。
 私は半年後や1年後に、マスターズの女から、山口香に、私が来ているのかと尋ねられたと聞くと、ぷっつりやめにしちゃって悪いなぁ、と気が咎めたことがあった。
 香はよくフロントでお喋りしているようで、私が店に入ると慌ただしく隣の部屋に隠れる女の後ろ姿が香のようだと思うことが何度かあった。フロントに目をやると、机の向こうに香の眼から上だけが一瞬見え、すーっとその頭が下がったことも何度かあった。
 私は香の横着な態度に、なんだ、この女は!と思うことがありながらも、会っているときには賛美の言葉を出していたから、香は、私が離れたのが意外だったかもしれない。
 でも、根っからのだらしない女だった。遅刻や欠勤が多かった。マスターズのスタッフがそういうことに寛容だから許されたのであって、あのような魅力的な顔写真をソープ情報誌に出して客を惹きつけても、他の店では長くやってられないだろう。
 香に通わなくなった後も、長い間香は雑誌に顔写真を出していた。
 写真の、どこかおぼこく感じられる愛らしい顔を見ると、全く顔からは想像もつかない、毛だらけの黒々とした豪快な陰裂や、剥き出すのがかなり難しいクリトリスや、香が大股開きをしたときに豊満な尻の肉の間に覗く、凄まじく着色した菊座を思い出して、にたりとした。
 雑誌に山口香の写真を見かけなくなって数年後、意外なところで香に会った。
 金津園で遊んでJRの電車に乗り座席に座ると、目の前に香が座っていた。2人ずつが対面の座席で、間近に懐かしい顔を見たから驚いた。
 香の横に若い男が座っていてその男と喋っていたから、私は気づかないふりをしていた。香は私を認めたと思う。その証拠にそれからずーっと顔を横の男に向けていて、私は香の横顔しか見えなかった。

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