ローザ 2

 ヴィーナスの玲子に女達の消息を調べるよう頼んだ後、私は一月から二月にかけて、恵里亜と同格以上の店を精力的に回った。
 もし、ローザが金津園に残ったとしても、写真がどこかの店のニューフェースとして雑誌に登場するのは、早くても、恵里亜が閉じた一月の翌々月の筈だ。それまでの間に、由美とローザと夏美の三人の誰かを見つけ出したいと思ったし、また一方では、ローザが金津園に残る可能性は殆どないと考えた。
 探索を続けて、金津園が警察の踏み込みで危機的状況にあることがよくわかった。
 会った女や店のスタッフに訊くと、悲観的な材料しか出て来なかった。短期間に警察の手入れが続くので、常連客もびびり、どの店も閑散としていて、恵里亜などの手入れを受けた店だけでなく挙げられていない店でも、有力なソープ嬢は全て吉原か福原に移ったという噂だった。
 警察が店を手入れするというのはそれまでにも時々あった。でも、未成年者に仕事をさせたとか店の者が覚醒剤を服用したとかの、売春以外に警察が神経を尖らせる反社会的な刑事問題が出てのことで、散発的に発生する程度だった。
 しかし、その時の騒ぎは玲子が指摘したように売春防止法そのものの適用であって、売防法違反以外のものが問題にされているのではないから、全ての店に摘発を受ける可能性があった。
 私は、玲子の「今回は、警察は売防法そのもので挙げているのよ」の言葉がずっしりと胸に残り、これは大変なことになるぞと思った。
 どの店に入っても耳にする話は、一度警察に調べられた女を店が当局に遠慮して使いたがらないとか、あまり沢山の店が手入れを受けるので女が供給過剰で、金津園で続けて働くのは難しいとかの暗い情報ばかりだった。
 遊びが終わって店を出るとき、高級店ならば必ず駅まで車で送ったが、そのときは送るサービスをしなくなった店が多くなったし、送っても駅の少し手前までになった。
 刑事が駅口にいて、ソープ店の車のナンバーは知っていて、客の送迎をチェックしているから、しばらくは用心するということだった。状況は日増しに悪化した。私は失意のあまり体調まで崩して、胃のむかつきと食欲不振に悩まされた。
 六つの店を探して、恵里亜の女の誰ひとりとして消息を聞くことができなかった。皆、上がるか、よそへ行ったのだろうかと絶望的になった。
(結局、新しく馴染みの女を作ることになるのかな。冗談じゃないよ)
 三人の女を探索するために、久し振りに初対面の遊びが続くと、今更ながら初会はやはり味気なくて、すべてゴム着要請だし、数多く通ったとしても、私が追い求めている女達と同等の親密さが生まれ、私が惚れ込むことはないような気がして寂しく思っていた。
 心の中では売女と蔑んでいても肉欲を満たすだけのために娼婦の館に出入りし、犯している女の顔を冷ややかに見つめるインテリが昔から世の中には多いようだが、そういう男とは違って、自分は情愛を求めているのだ、というのが私の持論だった。
 男と女が親しくなるには、NSで極上のセックスをするに限る、その極上のセックスが逢瀬の度にできて、親しく付き合った由美やローザや夏美にもう逢えないなんてとんでもないことだ、女房子供がいるのに、いい年をして馬鹿なことをしているからとうとう罰が当たったのか、私はそう歎いた。

 そうこうしているうちにソープランド情報を載せたM誌の三月号が出た。それを買って早速喫茶店に入り、ページをめくって驚いた。
 ローザがヴィーナスに出ていた。
(ヴィーナスとはなあ、驚いたぜ。あいつはよそへ行かなかったのか。いい店を選んだものだ。これで、由美も夏美もきっと居所がわかるぞ)
 私はローザの微笑んだ写真を見てにんまりした。
 考えてみれば、私がヴィーナスの玲子のところへ恵里亜の閉店の事情を聞きに行ったのは、検挙を受けて間もない時だ。当然恵里亜の女は誰も再就職先が決まっていなかったに違いない。
 二ヶ月の憂鬱がすっかり吹き飛んだ。呆気にとられるような問題解決だった。喫茶店を出てすぐにヴィーナスに予約を入れ、岐阜に向かった。春近しの暖風が頬を撫でた。

 ローザは私の顔を見て小躍りした。
「わー、やっぱり来てくれたのね××さん。嬉しい。どうしてここがわかったの? M誌を見てくれたの?」
「今日出たのを買って、君の写真を見てびっくりしてすぐに予約をしたんだぜ」
「まぁ、嬉しいわ。××さん、由美さんと夏美さんがどこにいるのか知りたいんでしょう?」
 私は由美と夏美の居所を聞いてホッとした。
 由美が出ることになったルネッサンスは以前にローザがいたロイヤルヴィトンだから、ローザに尋ねた。
「由美も夏美もヴィーナスで働けばいいのになぁ。ここはしっかりした店だから。僕は、昔はよくここに来ていたんだぜ。だけど君は、何故ルネッサンスに戻らなかったの? オーナーは変わったけど、君が恵里亜にくる前にいた店なんだし」
「あそこ、料金が高いからお客が少なくて、稼げないわ」
「まぁ、あそこは確かに客が少ないよ。ルネッサンスは女の子の揃え方が下手なんだ。それほど徹底的に仕事をする女や超美人がいない。昔からそうだよ。僕は、ローザは絶対に、雄琴か福原に行くと思っていたんだけど、ここに残ってくれて嬉しいなぁ。偉いよ。今更、新しく馴染みの女を作るのも、何だかその気にならないもの。何故、貴女は金津園に残ったの?」
「店の何人かが吉原へ行ったけれど、私は、せっかく金津園に慣れたのだからここがいいわ。知らないところは嫌だもん。たとえ、ここより倍も稼ぎが良くっても」
「偉いなぁ。本当によく残ってくれたね」
「前に吉原のスカウトが来たときも、私、断ったのよ」
「へーぇ、君のところにも来たのか。お金積んでうまいことを言われたんだろ?」
「『ちょっとユニークなタイプで、貴女はとってもいい』だって。三百万円、目の前にぽんと出したのよ。私、びっくりしたわ」
「えっ、そんなに出すのぉ。三百万円とスカウト経費まで店に儲けさせるには、とんでもない長い期間を店に拘束されるぜ」
 六万円の料金の店だとしたら、一日平均三人の客を取り、月に十六日働くとして、三万円が店に入って、そのうち仮に一万円が店の純粋の儲けとすれば 一万×三×十六×六≒三百万円 の計算で、六ヶ月は完全に店に拘束されることになる。スカウト経費を考えたらそれを二倍にしなければならない。危険だ。もしかしたら、拘束されるだけでなく、女達が本来貰うお金から少しずつ天引きされるかもしれない。
 私はそう考えた。
「三百万か。すごいなぁ。だけど甘い話は、恐いことが後ろに一杯あるもんだ」
「私はお金を即金で出されても、ふらりともしなかったわ」
「だけど、ローザちゃんは本当によくヴィーナスに出てくれたねえ。僕は昔この店によく入っていたんだよ。でも、この店は、恵里亜と比べればフリーの客が本当に少ないよ。常連客ばっかりだ」
「本当に恵里亜はフリーの客が多かったし、ここは少ないわ。だけど、表通りの店はもっとフリーの客ばっかりよ。一番指名を取る子でも、本指名は二十本ぐらいなんだって。私、聞いて驚いたわ」
「表通りの店はフリーの客が多いから、女の子も情緒がないような気がするし、スタッフも感じの悪いちんぴらみたいなのがいるし、とにかくすれた女が多いような気がして嫌だね。とにかく入れ替わり立ち替わり違った客が来るから、皆、精神が荒んでいるんだよ。金を貰って、おまんφ、貸せばいいんでしょ、という感じの女ばっかりだ」
「私も表通りの店は行かないわ。……ねえ、××さん、この間玲子さんに入ったんでしょ? 聞いたわよ」
「えっ、何で知っているの。恵里亜が挙げられたことを知った日に玲子に会ったんだよ」
「私がここへ来たら、あの人、私にね、『貴女、恵里亜から来たのでしょ。この間ね、恵里亜に通っていたというお客さんが来て、夏美という名の子と由美という名の子を探している、と言っていたの。貴女、その二人の子の行き先を知っている?』って訊かれたの。私、夏美さんと由美さんの両方の常連さんなら××さんしか思い浮かばなかったから、『もしかして、その人、小柄な人?』と訊いたら、『そう、貴女、知っているの? ××という名前の人よ』と言われて、私が『そう、そう、そう』って喜んだら、『あら、××さん、貴女のところにも行っていたの!』となったの。玲子さん、××さんに『お前、まだ金津園にいたのか、って言われちゃったわ』とぼやいていたわよ」
「玲子に君達の行方を調べて欲しいと頼んだけれど、僕が頼んだことを、ちゃんと気にかけてくれたんだね。今日玲子は店に出ていると受付の人に聞いたけれど、君にコールが入った時、お客がついていた?」
「ううん、ついていなかった」
「玲子もエイズ問題が出てきた後は、昔ほど客が入っていないみたいだね。この前、恵里亜が挙げられたことを知った日も、僕が電話を入れたときは空いていたし」
「玲子さん、この店の中では売れっ子なんだけれど、いつも大勢客がつくというほどではないわ」
「あの人は本当にすごいソープ嬢なんだよ。でも今は皆アイドル系の小娘が好きになってしまったからなぁ。寂しいもんだ。昔は当日の予約なんてなかなか成立しなかったからねえ。玲子のおちんちんと金玉の揉み方は素晴らしいよ。僕にはローションで手がふやけるぐらいまで、とにかく長い時間ねちっこく愛撫してくれた。本当にふやけるんだよ。両手を差し出して掌を見せられたんだけど、白っぽくぶよぶよになっていた」
「あはっはっ、……本当に玲子さんっていい人ねえ。頼れるわぁ。だけど××さん、何故、夏美さんと由美さんだけなの?」
「ローザは、ここに残れば、絶対に雑誌に出て来ると考えていたからねえ。それに、君はこちらの出身じゃないから、関西方面に替わるんじゃないかと想像したし」
「ふーん。私、ひがんでいたのよ」
「はっはー。本当にそう考えていたんだぜ。しかし、ローザさえ写真が出れば、由美も夏美も行方がわかると思っていたよ」
 恵里亜が手入れを受けた日、ローザは子宮内膜炎で店を休もうとして診断書を届け、仲間と談笑していて、ずるずると店にいたところに警察がやって来たのだった。仕事をしていなかったのに運が悪かった。
「女の子は夜十時には解放されたのだろう?」と訊くと、「冗談じゃないわ。長い間待たされて、やっと調べが始まって、出られたのは十一時よ。ぐったりだったわ」と、ローザは憤慨の顔つきだった。
 あの日、休みだった女も夏美のように客が入っていた女も、警察での扱いは殆ど同じだったと聞いて、少し安堵した。未成年でない限り実家に警察から連絡が取られることもなかった。
 ローザも由美も夏美も皆行方がわかって、私は一安心した。
 ところがそれから間もなく、金津園は全店が休業してしまった。
 一応十七日までの十日間の休みとは聞いたけれど、そんな馬鹿な!と驚いた。それは警察の強圧的な摘発に対する抗議のようだった。だからマスコミも金津園の一斉休業を大きく取り上げた。
 私は沈痛な気持ちになった。今度こそ由美もローザも夏美も、皆、吉原に疎開するのではなかろうかと不安になった。
 その月の十八日が来るのが、実に待ち遠しかった。

 金津園の全店休業の終わる日がようやく来た。
 私は心配してヴィーナスに電話して訊くと、ローザは出勤していた。ほっとしてローザを予約した。
 恵里亜が閉じた後、私は欣喜雀躍の想いでローザに再会した。大事件の後の久し振りの逢瀬にもかかわらず、その日ローザは何だか乗りが悪かった。玲子とのやりとりや検挙されたときの様子を気負い込んで喋っていたけれど、いつもの愛くるしさがなく、何となく醒めた様子に見えた。
 ローザの表情に何か荒んだ雰囲気のようなものが漂っていて、それを私は敏感に感じ取り、亢奮がぼやけてペニスの怒張に力がなかった。
 あのときは再会を感激していた筈なのに、私がもう一つ亢奮にのり切れないのが不思議だった。
(お互いに警察の手入れのことやソープの仕事をどう続けていくのかということばかり話題にしていたから、性的亢奮にもう一つ没頭できなかったのかな?)
 そう振り返っていたので、全店閉店の解除後のその日は、ローザとの逢瀬でいかに乗りを出すかに心を配ることにした。
 私の顔を見るや、ローザは開口一番「今日も刑事がうろついているんだって?」と来た。
(あー、またこの話題だ!)
「そうかい。ヴィーナスは大丈夫だよ。全店自主閉店なんていう派手なことをやって、マスコミにも随分取り上げられたから、警察もしばらくはおとなしくしているのじゃないかな」
 と返し、その話題から離れることにした。
「今回の事件で、君はよく金津園を見限らなかったねえ。僕は本当に嬉しいよ。十日間仕事もせずに、じっとしていたのかい?」
「うん、そうよ」
「ありがたいなぁ、ちゃんと残ってくれて」
「私も嬉しいわ。だって、××さん、この前はM誌で私の写真を見たらすぐに来てくれて、金津園の一斉休業が終わったら、またすぐ予約してくれて」
「十日間は処女だったんかい?」
「そうよ」
「じゃあ、この前僕と逢って、そのときにイッてから、今日までイッていないのかい?」
「うん」
「オナニーもしていないの?」
「そんなのしないわぁ」
「じゃあ、今日は激しくイクんだぞ、だらだらお汁を流して」
「うふっ」
「玲子さんとは仲良くしている?」
「うん。玲子さんって、本当にいい人だわ。話しやすいし」
「彼女、僕のこと、何か言っていた? 彼女とは長いこと付き合っていて、止めてしまったのだもの」
「玲子さん、貴方のことを『冗談も駄洒落も言って剽軽で面白い人だなんて想像できないわ。本当なの?』と言っていたわよ。あの人が『××さんは気難しい人だなと思っていたわ』と言うので、『××さんは私のときには、はちゃめちゃで本当に愉快な人よ』と教えたの。そしたら玲子さん、『えーっ、信じられないー!』だって」
「玲子があまり喋らないし、落ち着いたお姉さん風だから、僕も彼女のときには上手にふざけることができなかったんだよ。僕は、相手に合わせてしまうんだよね。でも、それなりに柔らかい態度をしていたつもりなのに、玲子がそんなふうに思っていたなんて心外だなぁ。俺って、損な顔つきなんだよねえ。何せ、気難しそうな顔をしているから」
「ほんと、恐い恐い顔しているわ。ねえねえ、玲子さんが、『××さんは私に仕事を求めて来ていたみたい』と言っていたわよ。『逢う度に××さんに、ねえ、今日はどういうふうに僕を攻めてくれるの、と訊かれるから、プレッシャーを感じた』だって」
「ははっ、そんなことを君に言っていたのぉ。……玲子は、本当にすごかったよ。本当に、逢う度に違った技が出てくるんだもの」
「彼女、『もう昔のような丹念な技は出していないの。最近のマットなんかは、あっさりしたもんよ』と言っていたわ。久し振りに貴方が来たから、『私の黄金時代の技を思い出したわ』だってえ」
「はっはっ、黄金時代の技か、なるほどねえ。玲子の指の使い方は最高だよ。僕がこの前逢ったときは、顔も躯も技も部屋も、何もかも昔と変わっていなかったよ。でも、あの技を絶品だと評価する人が少なくなったんだろうなぁ。若くて美人でありさえすれば、股を開いて孔を使わせてくれるだけでいい、というわかっていない客が増えたから。残念だねえ」
「私なんか、技は一種類しかないもんねえ。恥ずかしくなっちゃう。初めての人には、全部の技を出してしまわないようにしなきぁいけないなぁ」
「ははっ、技が一種類しかない、か。そんなことはないよ」
「でも、玲子さんは、控え室では朗らかによくお喋りしているのよ。なのに、彼女、××さんだけでなく、お客さんとはあまりべらべらと喋らないと言っていたわ。どうしてなのかしら?」
「僕は、会話を作ろうと努力はしたけど、玲子は喋らなかったなぁ。すぐに尺八するんだもん。君達とはよくお喋りして、お客には、落ちつき澄ましているなんて変だよねえ。……しかし、考えて見れば、僕は、逢った女の子によっていろいろと態度を変えていたんだよ。君に逢うときにはあっぱっぱぁの態度だけど、梓や夏美のときは助平親父に徹するし、相手が生真面目な淑女の場合は、それなりに高尚な会話をするんだ。そして、純情そうな子には、『君はとても綺麗だ、美しいよ、痺れるよ、肌も白くて眼もきらきらと輝いていてものすごく素敵だよ、スタイルも最高だ、何よりも気立てがいいよ、優しいんだよねえ、君は。僕はベネズエラの秘境の高地に咲く極彩色の蘭を見たように茫然としてしまうよ、実に素晴らしい!』なんて、イタリアの色事師みたいに囁くんだよ。……うん、今日のローザはとっても綺麗だよ。本当に綺麗だ」
「嫌だー。そんなこと、××さんが言うとおかしい」
「でも、本当に綺麗だもの。その眼が素敵だよ、切れ上がったところが」
 そんな会話が続くと、ローザは「延長を頼もうね」と同意を求めた。
「うん、いいよ。ちゃんとお金は払うから」と答えると、「いいの」と返された。
 前に逢った時にローザが言った。
「この店は三十分の延長のシステムがあるのよ。料金は、お客さんが追加分を私達に払うだけで、店に払う必要はないから、××さんには、時間が足りないときは、延長を店に頼んじゃって、お金は××さんには負担して貰わないことにするわ。××さんは特別!」
 恵里亜のとき、ローザは私を迎えるといつも制限時間を超過した。私と逢うときは時間を気にしたくない、と呟いたことがあった。ヴィーナスでも、後に予約が入っていない限り、延長をサービスしようとするローザの心遣いが私は本当に嬉しかった。
 膝小僧を抱いて隣に座り、楽しそうに語るローザを見ていると、私はその秘所を覗きたくなって、股間に手を伸ばした。
「君は、本当にあそこのまわりの土手の肉、つまり、大陰唇が豊かなんだねえ。白人の女によくある形だ。普通日本人の女はもっとのっぺらしているよ。梓だって由美だって夏美だって、ここはもっと平らなんだけど、ローザのこの土手は摘むとしっかり肉厚だ。脂肪がしっかりついていて、ほら、摘んで引っ張ると、ここまで土手が飛び出してくる。それで、こんなに大陰唇が肉厚だと、小陰唇は蔭に隠れて目立たないものだけど、ローザのは花弁とクリちゃんがたっぷりと外にはみ出している。本当に助平な形のおまんφだよ。この内側の扉が、割れ目の長さが短い割には、上から覗くと随分と突き出ている。土手もしっかり変色している。いやらしい形だなぁ。ほんとうに可愛いおまんφ!」
「私、そんなに突き出ているのぉ」
 と呟いて、ローザは、そろそろベッドに上がろうかという表情になった。
 クンニリングスをするとローザがいつも以上にびしょ濡れになって、かなり早めに到達した。腰を震わせてアクメの到来を告げる声が絶叫口調だった。私は一気に昂揚した。
 だから、前の逢瀬とは違って、ベッドで完璧に怒張して抽送を楽しむことができた。体位は珍しく対面座位を試みた。
 私は壁にもたれるようにしてあぐら座りをし、ローザに、上に腰を乗せるように言った。
 ローザは自分の脚の構え方をどうしたらいいものかと、はしゃいで工夫した。形が決まって、私が往復動作を始めると、ローザはやりつけない体位に戸惑いながら腰を合わせた。
 座位は顔も結合部も見えるのがいいけれど、足がつらくなるのと抽送が浅くなるのが欠点だ、とわかったところで後背位に変えた。
 四つん這い姿のローザの尻たぶは、丸みがこぢんまりして邪魔にならない。尻たぶの谷間が深い女よりも、奥までペニスを差し込める。そう理解して、私はローザの腰に手を当て、勢いよくピストンした。
 ローザに、ペニスの根元まで会陰の肌に当たって、垂れ下がっていないきんたまでも土手にべったりとぶつかるのが良い、と講評してから、最後は正上位にした。
 幾つかの体位を楽しんだので、気をやるまでの持続が充分だった。それに、久し振りの性交で、膣の中に精液をたっぷり放つことができた。離れると半透明の液体がドロリと流れ出たから、ローザが素っ頓狂な声を出して面白がった。
 ローザが私の股間にシャワーをかけた後、ヴィーナスの男との会話を思い出して説明した。前にいた恵里亜で私が常連客だったのか、と尋ねられたのだ。
(何故そんなことを訊かれるのかなぁ?)
 そう思って頷くと男が言った。
「あのお客さんは、昔、よくうちの店に来ていた人で、大体は玲子さんに入っていて、最近はずーっと来ていなかったんだけど、あの人、恵里亜に行っていたのー!」
 私が、熟女のムードが溢れる、金津園でも一二を争う超テクニシャンの玲子にしっかり通っていたので、体型も顔つきも子供っぽいローザのどこにそんな魅力があるのかな、という眼で見られたのだ。
 ローザは少しかちんと来た。確かに、見た目ローザはロリータ風の可愛さと気さくな会話が売り物で、愛撫のテクニックやお色気で惹く雰囲気がなかった。しかし、女の魅力は自分でセックスしてみないことにはわからない。
 店の男は、新人ならばマットの実技指導によって、性の技が大胆にできるかどうか、ムーディに相手して男をその気にさせられるかどうかが想像できるが、ソープ経験者には普通は講習をしないから、マットプレイも閨房での振る舞い方も、普段の会話から当て推量するか、客や入浴させた同業者から聞き出すより他はない。
 ヴィーナスの管理者は、ローザが玲子クラスに近いマットプレイで奔放なペニス愛撫をし、しっかりと客が取れることがわかっていなかった。
 それで、ローザが新参者だから湿気の多い狭い部屋を使わせ、あまり上等の部屋を割りつけていないようだ、と私は思った。
「僕が店の男に、君があの商売繁盛の恵里亜で抜群のNo.1だったと教えて、あんまり売れていない年増姉さんの使っている、もっと広い部屋をローザに使わせてやったらと頼もうか?」
 打診すると、ローザは「そんなこと、言っちゃ駄目」と返した。
 ローザは、恵里亜でもすぐ売れっ子になり、店長にもっと広い部屋を持ち部屋に選んでもいいよと勧められた。でも、先輩達に遠慮して、もともと使っていた少し狭い部屋を自分の持ち部屋にしたと説明した。
 いずれにせよ、そのうちにローザがヴィーナスの売れっ子になるのは間違いないと私は思った。
 ヴィーナスは昔と同様に玲子以外は大した女がいないし、ローザがフェラチオぐらいは生でするべきだと思っているのに対して、店の女達はコンドームを被せてペニスを咥えるようだった。

 恵里亜の女を探してラ・カルチェに入ったとき、私は相方の西田ひかるから警察の取り調べについて面白い話を耳にした。
 ひかるは客がついているときに手入れを受け、それは客を部屋に入れて三十分ぐらい経過した頃だった。
 ひかるが何か物をフロントに頼んだら、応答の口調がいつもと違うので変だなと思った。警察の検挙が激しい時期だから、さては……と察してドアの外の気配を窺うと、誰か人がいるように思えた。
 客に服を着るように頼んでから扉を開けると、やはり刑事がいた。
 その取り調べの担当官がおかしかった。ソープ嬢からの聴取が続いて相当だれている様子だった。
「あんたの客、トリプルで来た客だったんだろう? 客が入ってから一時間も経っていなかったようだなぁ。そいつはトリプルなんだから、受付で最初三万×千円払ったんだろう? それだけ払って、何もせずに終わってしまい、その人本当に気の毒だねえ。トリプルだと中ではいくら払うんだい?……ふーん、全部で××万円か。あんたはそのうち半分ぐらい貰えるのだから、随分と稼いでしまうんだなぁ。トリプルで入るんだから、あんたの常連さんなんだろう? でも、気の毒だなぁ。あんたもそう思うだろう。とっても可哀相だろう? あんたの住所と本名をあいつに教えてやろうか、どう? 後で、中途半端に終わったやつの続きをして、慰めてあげたいだろう? だから、俺が教えておいてやろうか」
 そんなふうにからかいながら時計を見て、「おおぅ、手入れさえなければ、丁度ダブルの時間が終わった頃だなぁ。ダブルだとあんたは××円、儲け損なった計算なんだな」、「もうそろそろトリプルが終了の時間だな。君、本当にもったいなかったなぁ」とふざけていた。
「俺も、こんなことばっかりしたくないんだけど、上の命令だもんな。金津園の女の子を何人検挙したって、手柄にはならねえ」
「どの店に手入れが入るのかはわしらにはわからない。上のほうが今日はここへ行ってくれと決めるんだから」
 などと聞いたと、ひかるが語った。
 金津園が警察の厳しい摘発に恭順の意を表して十日間全店自主閉店をした時、愉快な出来事もあった。
 どこかの店のソープ嬢が、無収入に耐えきれず辻君をしようと決心して、休業も知らずにやって来た男に、こともあろうに金津園の通りで客引きをして、警察に捕まったのだ。立ちん坊だから、はっきりと罪になる。
 それを知ったヴィーナスのマネージャーが叫んだ。
「うひぁー、今、この辺りはいつも刑事がうろうろしているのに、馬鹿な女だよなぁ、自分で客を引いたりして。十日間ぐらい辛抱できないのかなぁ。そんな大胆な女、うちの店が使ってなくて良かったぁ。たとえ、店が休みでも、もしそんなのを雇っていたら、うちの店まで引っかけられるぜ、今の時勢は。警察は何か手入れの口実が欲しいのだからぁ。全く危なくてしょうがない。嫌になるぜ」
 これは玲子から又聞きしたのだが、管理売春と言われようが何だろうが、ほぼお役所公認で公共福祉の仕事をしていて、ある日突然警察の摘発を受けて失業することになったら、いい歳の男は女の子よりももっとたまらない。

 平成六年の四月になると、前年に通っていた、梓、由美、ローザ、夏美のうち金津園に残ったのはローザだけになった。後の女は皆吉原に行ってしまった。
 私はがっかりしたが、ローザが残っているからまだ愉しみは残っていた。しかし、ローザは恵里亜にいた頃と比べると休みが多くてなかなか逢えなかった。
 久し振りにローザに予約ができた。
 逢うと、ローザは髪をストレートにしていた。前に見たときには髪をちりちりにしていたので、それを、私の趣味ではないと貶したことを思い出した。
 ローザは生理休暇明けでしばらくぶりに店に出て、私の予約が入っているのをマネージャーから教えられると大声を上げた。
「まあ、嬉しい! ××さん、久し振りやわ。何で××さん、うちのところへ来てくれへんかったのやろ。一ヶ月ぶりよ」
「馬鹿、お前、随分休んでいたじゃないか。××さんからは何度も電話が入っていたんだぞ」
 ローザは店の男とそのような会話があったことをにこにこと報告してから、私がローザに入るのをマネージャーに不思議がられたと打ち明けた。
「私ね、『××さんは、玲子さんの技術が金津園に残るように、玲子さんの素晴らしいテクニックを皆に教えているの。私も、ちゃんと××さんに教えて貰ったのよ』と言ってやったわ」
「はっはっは。玲子の技術の伝承かぁ!」
「ねえ、由美さん、やっぱり吉原に行ったのね。ミナコさんに夏美さんから電話があって、そのとき、その話になったの。私が、××さんから、由美さんがどうも吉原に行ったようだと話を聞いていて、そのことを私がミナコさんに話し、またそれをミナコさんが夏美さんに話したの。それで、夏美さんが、『由美さんのこと、貴女、どうして知っているの?』ってミナコさんに訊いたみたい。そのとき、ミナコさんから××さんの名前が出て、その会話の様子では、やっぱり夏美さんは××さんのこと、気にしていたようだわ」
「ふーん、やっぱり由美は吉原に行ったのか。想像していた通りだ。あいつはどうして吉原に行ったのかなぁ。梓に誘われたんだろうねえ」
 ミナコは恵里亜でミーナの名で出ていた女だ。梓も由美もローザもミーナを嫌っていたが、夏美は親しくしていたようで、それが私は意外だった。
 その日ローザのマットの愛撫はいつになく厳しかった。ヘビーペッティングが執拗で、快感に身をよじる私を追いつめ、曲げてはこすり、捩ってはさすり、包んでは揉み、嬌声を上げながらペニスを握って離さなかった。
「うわー、たまらんぜぇ!」
「××さん、これー、手がふやけてるーぅ!」
「あっ、ほんとだ」
「私も玲子さんと同じでしょ?」
「うん」
 玲子は私の相手をするとあまりにねちっこくカリ首のこすり揉みをするから、手がふやけてしまう。玲子が両手をかざして白っぽい皺が浮いた掌を示したことがある、という想い出話を、ヴィーナスに来たばかりのローザにしてあった。
 ローザは、私のペニスと金的とアナルを手がふやけるまで弄りまくってやろうと思っていたに違いない。
 マットが終わって語り合うと、ローザはかなり気持ちが落ち込んでいた。
 ローザは夏美や由美が吉原に行ってしまったことがショックだった。恵里亜のように殆どフル操業になることがヴィーナスでは期待できそうもないので、自分は店の客層には合わないのではないかと思い悩んだ。
 恵里亜の仲間が吉原の高級店でたんまりと稼いでいる話を伝え聞くと、いっそ金津園から出ようかと迷った。でも、背も低くて胸も小さいから吉原の六万円の超高級店に移る決断ができないとも言った。
 そんな折、恵里亜の店長が、営業を再開した恵里亜の姉妹店では女が手薄なので、盛んにその店に来るように誘うから、それにも義理を感じた。本数が恵里亜の頃と比べれば全く少ないだけに、迷ってしょうがなかった。
 ヴィーナスは、玲子に代表されるように昔から熟女で売っていた。そんな熟女に通っている客が、時々気分転換に若い自分に入るのではないかと思った。とにかくフリーの客が少なく、特定の女を贔屓にしている固定客が多かった。
 そう考えると、ローザは指名数がこれから伸びていくようには思えなかった。
 それでも、ヴィーナスのスタッフは自分を可愛がってくれて、少ないフリーの客も回してくれるから、店に文句をつけるところは全くない、意地の悪い姉さんもいない、それだけに、今、店を辞めてしまうことはしづらいと言った。
「僕は、ローザはもう少しヴィーナスで我慢したほうがいいと思うよ。指名も絶対に伸びる。もし、店を替わるときは、絶対に僕に行き先を教えてからにしてよ」
「うん、決めてからも一ヶ月はここにいるわよ。恵里亜の店長にも『決めてからでも、一ヶ月間ここにいさせて下さい』と頼んであるの」
「ちゃんとそうしろよ。それで、出番がないときは、君は控え室で何をしているの?」
「私、寝ているわ。静かよー」
 私はできる限り慰めの言葉を工夫し、全てを忘れることのできるような、ローザがひと時の享楽のプレイを満喫できるような雰囲気を作ろうと、その日ははしゃぎ騒いでいた。私も、由美と夏美が吉原で稼いでいるのはやけくその気持ちだった。
 交歓のベッドが終わった後、しばらく語り合った。
「三十近くなっても三十過ぎてもこの仕事をしているなんて、そんな人、どうかと思うわ」
 ローザが切り出した。
「僕も、夏美なんか何を考えているのかと思うよ。絶対に手入れをきっかけに上がるかと思っていた。それを、吉原にまで行くなんて!」
「私も夏美さんは上がるかなと思っていた。私、そんなに長くやらない」
「駄目だよ。三十までして貰わなくちゃ。僕には、由美も夏美もいなくなってしまったのだから。君までいなくなっては寂しくてしょうがないぜ」
「私、二十四で普通の生活に戻るわ。ソープを止めると打ち明けたら、××さん、そのとき何回私のところに来てくれる?」
「最後のふた月は三回ずつ行ってあげるよ」
「本当? 三回ずつなの。嬉しい!」
「今、二十一だっけ」
「この間、二十二になったのよ」
「そうだったの」
(後二年しか会えないのかぁ!)
「私、本当は頭は良かったのよ。マンモス中学で、学年で十番は下らなかったのだから」
「へー、成績良かったんだ。どうして高校に行かなかったの?」
「進学指導のとき担任と喧嘩しちゃったの。新米の先生で、下手だったのよ、言い方が。私、成績は良かったけど、頭は黄色に染めるし、スカートは踝までの長いのを穿いていたの。それを直すように注意されて、直さなければ高校の願書は認めないと言われて、その怒鳴り方がとにかくカチンときたの」
「ふーん、そんなことがあったの。受験をさせないなんて、どういう事情があったにせよ、いけないことだよねえ。しかし、学校の先生は、生徒を学力に応じて高校に合格させるのが仕事なんだから、素直でない子も上手になだめてその気にさせなきゃなぁ。多感な女の子なんだからぁ。ひどい先生だったんだね」
「そうなの。俺の面子だとか、お前は生意気だとか、初めから喧嘩腰の風紀指導で、もう、売り言葉に買い言葉になっちゃって。その先生、後からのことだけど、やっぱり一年で学校を辞めていたわ。それで、他の先生が何とか私を高校に行かせようとしたけれど、もうそのときは遅かったわ。私、勉強していたときは、女医さんになろうと思っていたのよ」
「医者だってぇ、ふーん、すごいねえ。……で、そんなふうになっちゃって、親はどう言っていたの?」
「女はいい結婚をするのが一番だ、お前が学校へ行きたくなかったらそれでもいいという態度だったわ」
「それからすぐに飲み屋で働いたの?」
「うん」
「で、就職の前に、初体験かぁ?」
「そう」
「同級生?」
「四つ上の人だった」
「何! ちゃんとあそこを舐めてくれた?」
「うん」
「処女の、お前のあそこならば、ものすごくくさかったんだろうなぁ」
「うふふ、そうだと思うわぁ、絶対に」
「でも、しゃぶってしゃぶって、臭いの素を全部飲み込んでしまえばいいんだよなぁ」
「あははっ。……私、本当に随分遊んでいたのよ。バイクに乗ってぶっ飛ばしていたし。年上の人達とばかり遊んでいたから、私、可愛がって貰ったわ。中には、雄琴の姉さん達もいたのよ。だから、この業界のことは話だけはしっかり聞いていたの。今、家に帰ると、昔の仲間に誘われるから嫌なの。いつまでも、馬鹿をしてられないわ」
「飲み屋の客とはセックスしたの?」
「ううん。お客とは絶対にしなかった。ママがね、『あんた達、お客と寝たら、もうそのお客さんは店の客ではなく、あんた達の客になってしまうのだから、お客はあんた達に会いに行けばいいの。店に来る必要もなくなってしまう。すると、店から客を奪ったことになるでしょ。だから、絶対にそういうことはしないで!』と言っていたから」
「普通に戻るのは、どういうふうにしようと思っているの?」
「美容院をやりたいと思っているの。いつも通っている美容院のママが、『貴女は美容師にきっと向いているからやって見たらぁ。もし、その気があるなら全面的に協力するわよ』と勧めるの。私、美容院に行くときでも、ちゃんと髪を三つ編みに編んだりして、むちゃくちゃな頭にしていないし、洗髪も必ず先にしてから行くし、それで気に入られたみたい。私、そういう仕事はきっと向いているわ。ママが、『貴女なら、センスがあるからものになると思うの。私が二、三年しっかり仕込んであげる。そしたら、貴女は独立したってかまわないのよ』と言ってくれるの」
「その人、君の仕事、知っているの?」
「うん、知っている」
「ちょっと心配だなぁ。この仕事の子は沢山お金を持っているものだから」
「私はしっかりしているわ。その人も本当にいい人なの。それに、いきなりその店にいける訳じゃないのよ。ちゃんと専門学校に通わなくてはいけないの、自分で」
「仮に、将来店を開くとしても、すぐそれはしないほうがいいよ。いろいろ勉強しなくちゃ危険だ。何もわからずに大きなお金を動かすと必ず失敗する。最初は賃借だよ。貯めてあるお金はないものと思って」
「うん、最初は賃借のつもりよ。ママに、店の近くで開店しなければいいの、と言われているの」
「一千万円貯めてあるとして、賃借の美容院ならば、器具の購入に三百万円あればいいんだろうなぁ」
「うん、それに専門学校に通う費用とその間の生活費に二百万、考えているの」
「後は開店資金か。普通に戻ることが大切だ。ソープの臭いがとれ、仕事も軌道に乗ったところで、男を探すんだよ。金を貯めていることは絶対に悟られないようにするんだ、どんなに惚れていても。それで、もし、それまでの間にセックスを楽しみたいときは、僕に連絡して、クリちゃんをべろんべろんされればいいんだ」
「うふふ」
 最初はローザの悩みを聞き、後にはローザの夢を聞き、その二つの長いお喋りの間のベッドプレイは、
「今日も、お乳から(前戯を)始めるのぉ?! 珍しいわ」
「たまには、じっくりとね」
「あはん。……ああ、これ、××さんの匂いだわ。この匂い、久し振りだわ」
「匂いと言ったって、それは、殆ど整髪料の匂いなんだよ。僕と抱き合って、男の整髪料の匂いに感じると言った子もいたんだぜ」
 という会話から始まって、私は熱い抱擁が楽しめた。
 その日私はすっかり酒に酔っていた。嵌め慣れたその入り口がよくわからなくなってしまい、ローザに指で誘導させた。
 私の腰の動きを受け入れるローザは、童女の風貌が薄らぎ、よがる顔がいつもよりも女っぽかった。
 既に前戯でアクメに達し、しとどに濡らしていても、躯が小柄なだけに蜜壺は挿入感が良かった。狭い膣道をかき分けるように、ペニスを軽妙に抜き差しすると、私は一歩一歩確実な快感が呼び起こされ、それが腰の中心の辺りから朦朧としていた脳味噌へと伝播した。
 異様な形状の堅いものが、異様な形状の可憐な柔らかいものの中に出入りするのを見つめる眼の瞼がかすかに痙攣し、焦点を合わせることができなくなった頃、私は下腹部の奥のどこかの収斂がそのまわりで感知できるほどの、ひときわダイナミックな放出の時を迎えた。
 躯の発する熱に包まれたまま崩れるようにベッドに倒れ込むと、ローザは余韻に放心していたい心を抑えて華奢な上体を起こし、私の萎えようとする発射管に飛びついて、管の中に残っている生汁を吸い出した。
 ローザに初めてそんな過激な後戯をされ、私は何ともこそばゆくて心地良かった。
 名古屋への帰りの列車の中で、私は、マットプレイでローザの尻の穴にローションをなすりつけて繰り広げた痴態を振り返った。
「後ろの穴に突っ込んだ人指し指と、前の孔に突っ込んだ親指と、たった指二本でローザを掴んだぁ。完璧に掴んでしまったぞぉ!」
「ねえ、互いの指が、境目の壁を通してよく相手がわかるの?」
「うん、結構この壁は薄いんだぜ。誰でも、ちゃんともう一つの指先の感触がわかるんだ」
「何センチぐらい離れているのかしら?」
「中のほうは七ミリぐらいしかない感じだぜ」
「そんだけしかないのー?」
 ベッドでは、ローザはいつもよりもアクメの声が大きかった。それは私も同じだった。

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(千戸拾倍 著)
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