憮然とさせられた嬢

 私は平成17年の半ばからクラブロイヤルを利用し、18年までここでさんざん女漁りしていた。
 6万円台の店の良いところは、好ましくない体型とか、28歳を超えるベテランの嬢で立派な長所が見当たらないとかの嬢がいないことだ。その上、艶グループの出の女なら間違いなしと思っていたが、たまには全く期待外れの嬢もいた。

 ミズキ〜ルーブル、H18年3月
 クラブロイヤルの予約がドタキャンで流れたので、岐阜駅の公衆電話からルーブルに電話した。
 入浴が可能な嬢を訊くと、早口で女の名前が挙げられた。それも4人もの名前が出てきて、平日とはいえ出勤嬢の大方が空いているから驚いた。ルーブルはロイヤルに負けているとつくづく思った。で、4人の中に艶グループ出身のミズキがいた。
 ルーブルには嬢の指名をせずフリーで行った。岐阜まで出てきてドタキャンを喰らったから大いに不快で、指名料をケチった。私はいつも初会でもきちんと嬢を予約しているから、P指名もしない『ふり』の遊びは全く久し振りだ。
 ルーブルに着いてから、空いている嬢の中で誰を相方にするか迷ったけれど、結局ミズキを選んだ。私はかなりの面食いで、ミズキは短躯・不美人系の容姿的には疑問符だったが、艶グループ出身のベテランなら間違いない。固定客がついていることも知っている。
 ミズキに対面すると写真で感じた以上に顔に若さがなかった。目が一重で腫れぼったく、華やいだ笑顔の写真とはかなり違う。着衣での体型も写真で見たものとは別人のようだった。短足、かなり寸詰まりの美的ではない肉体だ。
 たくさん撮った写真の中から見栄えの良いものを選ぶぐらいにしてくれれば良いのに、近頃は入念に画像修正して、体型まで変えてしまう店が増えた。ルーブルの体型改竄は開業以来激しすぎる。
 そして、私が演技的に表情を作って気を惹くように話しかけても、ミズキが無表情のまま声に女らしい抑揚を全くつけることなく素っ気ない答を返すのが大いに引っかかった。
 おいおい、何という女だ!、と思ったが、気を取り直そうと鼓舞して、ミズキに業界歴を聞いてみた。すると「ずーっと長い期間出続けたことがなくて、正味3年ばかりよ」という答だった。それは時間短縮度5割と判断したかった。
 答える表情に女らしいコケットリーが全くなかった。自分より若そうな赤の他人から、年下の者に尋ねるような言い方で道を尋ねられて答える顔だ。即のプレイの前に、私に寄り添ってやろうという意識もない。艶グループの高級店の出身でこれはないだろうと思った。
 誰しもよく質問して、嬢が楽しく答えにくいような問いかけをするほうも悪いが、ルーブルは何しろ立派な高額店だし、しっかりした経歴なんだから、いくらフリーでついた客でもきちんと私に接近して、もうちょっと愛想を出してもいいだろう、と不興気分にならざるを得ない。
 でも、私は自分の気持ちを抑えて、服を脱ぎながらミズキに、艶グループの在籍者と出身者にはよく入浴していて大好きであることを表明した。
 すると、ミズキは「私に艶グループの仕事を期待しないでください」という趣旨のことをはっきりと、それも語気強く言った。
 頑張り度抜群の抜き作業を期待しているようなことを言ったつもりは全くないのに、また、そんな気持ちもないのに、ミズキがコケットリー全くなしでいきなり否定的な言葉を口にしたから──こいつ、もうむちゃくちゃかわいげがないぞ!──と思った。
 女にこういう硬い態度をされると、私は自分がチビの年寄りであるということがいやというほど胸をつく。でも、めげずにしばらく艶グループの有名ソープ嬢の話などした。
 ミズキは艶グループ時代の仲間の嬢とは縁が切れているのか、私の話にさほど興味がなかったようだ。むしろそんな話を聞かされるのが不快だったかもしれないが、私の喋ることが知らない人間の話ではないから、自己紹介的な効果を狙って私は喋り続け、また、ミズキの応答で性格と経歴を探った。
 一通り互いに相手のおおよその感じがわかったところでミズキが即尺にかかった。驚いたことにミズキは下着を全部着けたままで、ソファーに腰かけた私の前に座り込んでペニスを咥えた。下着を上下とも着けたままフェラチオされるというのは私は殆ど記憶になかった。
 というのは、ミズキがそのように運んだし、私のほうも、ミズキが憎たらしいぐらいに落ち着き払ってソープ嬢の貫禄をまき散らしているので「先にショーツを脱ごうね」と言いだしにくかった。酷評すれば、笑みがこぼれない能面のような顔で、所定の手順に従って性的奉仕を進行している感じだ。
 高額店の即尺というのは、嬢がショーツを穿いたままでするのと、ガーターベルトは着けていてもショーツを脱いだ上でするのと、ひょっとしたら半々ぐらいかもしれない。
 私は即尺の後は、クンニリングスするかすぐ嵌めてその後クンニリングスをするか、希なケースで、フィンガーペッティングをするか、このいずれかなので、段取りを考えていつも嬢を完全なスッポンポンかガーターベルトと靴下だけのあられもない格好にさせてからチンコを咥えてもらっている。
 だから、嬢に任せたままにしておいて、嬢に即尺にかからせた場合に、嬢が下穿きを着けている度合いが私にはさっぱりわからない。
 ミズキのフェラチオがかなりこすれの良い動きだった。しかも、長く動作した。スタッフに案内されて対面した時から顔がずーっと無表情だったが、それとは裏腹に舌と唇がねちっこく動く上等のチンコしゃぶりで、私のカリ首は、名工の手で気持ち良く塑性変形しているろくろの粘土の気分だった。
 私は人間が気に入らなくて性技だけ上手いというアンバランスさに充分発情し、ミズキに全裸になることを急かせた。
 ミズキが(あいよ)という感じで立ち上がったが、高額店の嬢がするように私の目の前で脱がずに、服を入れた籠が置いてある少し離れたところにすーっと移動して下着を脱いだ。これには驚いた。昭和の金津園に戻ったような気がした。
 ここでもミズキは愛想も媚びもない。気の利いた嬢というか、まともな女は私の目の前で下着を取り、それを近くに仮置きしたままでキスをするかフェラチオをするか自分の体にタッチをさせるものだ。
 そのストリップをまともに眺めないふりをしてそっと眺めた。ミズキがブラジャーを外す時、全身を側面から見る形になった。
 短躯の体で尻がしっかり出ていて、太腿の付け根がかなり太く見える。その大腿部は膝に向かって急に細くなっていた。小柄で第二次性徴の部位に肉付きのよい女の典型的なスタイルだ。スレンダーですんなりした体型を求める私の目からすればかなり珍妙なスタイルだ。
 ショーツに指をかけて下ろす顔は、他に誰もいない自宅の風呂場で、眼の焦点を何にも合わせずに脱衣をしているようで、媚びとか羞じらいの風情が全くなかった。
───初対面なのに、ソープになれきっているのをちっとも隠さない女だぜ。何らの演出もなしだ。この女にしてみれば、フリーの客なんていうのはかなりつまらないのかなぁ。「P指名にしておいてよ」とスタッフに言えばよかったのかも。でも、ありがたい上客も最初はフリーのことが多いだろうに。
 そう思いながら、ミズキが全裸になる間に艶グループの店を離れたわけを聞いてみた。
「もう、お仕事を期待するお客ばかりで味気なかった。この店はそんなお客が少ないの」
 ミズキは多回数射精願望だけの客のがさつさにかなりがっかりしていたようだった。──ルーブルは対面をのんびり過ごす客ばかりだし、攻めと受けの両方を楽しむ客が多い──というような言い方もした。
「じゃあ、キミは舐められるのも好きなの?」
 そう聞くと笑顔で頷いた。ミズキがまともな笑顔を見せたのはこれが初めてだ。この女はこんな顔ができるのか!と驚いた。
「じゃあ、舐めさせて」
 ミズキが初めて見せた笑顔に(へーぇ!)と思いながら、私は早速クンニリングスにかかった。
 ミズキは最初から良い喘ぎ声だった。それがあまりにも明瞭なので(演技くさいな)と思ったけれど、紛うことなく気持ちいいことをしているのだから、作り声だと断定もできない。その意外なよがり声に聞きほれながらかなり時間をかけてクンニリングスをした。
 演技で明瞭な声を飛ばしているなら、時間が経つとともに次第に力が弱まるものだけれど、ミズキの声には全く減衰がなかった。ずーっと艶めかしく喘ぎ、そして、秘部が大変よく濡れていた。
 私は──こんなによがり声を出すなら、それだけで疲れてしまうのではないのかしら──と思ったりしながら、是非イッて貰いたい、と念じて更にクンニリングスに励んだ。
 で、結局イカせるのはあきらめた。よがり声が出る割には、下腹の起伏とか上体の反りとか悶えるとかの官能の反応がなかった。初対面では無理をしないのが私の方針だ。それでも、私の口と舌はかなり疲れた。
 私が誠心誠意愛撫したミズキの性器について一通り記述しておこう。
 陰毛──元来少なめの弱々しい毛だった。陰核──サイズは小さめで、包皮を吊るとしっかり露出して、陰核亀頭の付け根の僅かな括れまで覗けた。大陰唇──狭く、膨らみも乏しい。小陰唇──そんなに飛び出てはいないけれど、ナイフエッジが長く続き、着色が濃厚。会陰──綺麗な肌をしていて、体の割には長さがあった。アナル──すぼんだ形をしていて、すっきりした小皺だった。
 陰裂は、体つきの割には存外長さがあった。愛液は粘度が低い。
 ペニスが充分張っていたのでそのまま嵌めた。
 ミズキはしっかり膝を引きつけてM字の開脚ぷりが見事だ。股関節や腰骨等になんらの異常はなく、膝を胸につけんばかりにして思いっ切り屈曲する嵌められ姿勢が柔軟で、私はホーッと思った。太腿はあくまで女の太腿らしく丸っぽくて、肌が白かった。
 私が見事に突きだされたマンコに急ピッチでピストン運動をしかけると、ミズキの「あん、あん」の応答がなかなか良かった。
 私が二の腕でミズキの両足を膝の裏側から押さえ込むようにして、上から真下にペニスを突き込むように腰をスコンスコンと落としていると、なんだか白い球体にペニスを突っ込んでいる感じでエロい。そして、まさしくバギナにペニスが吸い込まれているような感触が結構だ。
 フェイクが上手いのか、体の内奥から盛り上がる何かがあるのか、私にはさっぱり見当がつかなかったけれど、とにかくミズキの嵌められ声が耳に響いて楽しく前後運動をした。
 その楽しさは対面当初にミズキの冴えない表情と気ののらない喋り口に深く違和感を感じたのとは正反対だから(チンコさえ気持ち良ければ楽しいのでっか?)と自問しながら亢奮して腰を振っていた。
 私はレビトラを使い始めて半年以内の感動しまくっていた時期とは違って、その頃は驚異的な勃起への大感動がもう薄れていた。
 それで、射精した後にまた挿入可能になることには変わりはないけれど、元来精液の蓄積量が極めて乏しかったことに呼応して、2度の射精を果たすのがやはりかなり難しいと達観していた。だから、レビトラを使いだす前と同様に、即ベッドでは射精しないようにしていた。
 しかし、私にパコンパコンされているミズキが露骨に割れ目を突き出すような足の構え方をして、とにかく嵌められ姿勢がエロくて、しかも、表情がよがりを見せて気をそそるし、「あん、あん」の声が耳にやたら響いた。そして、ミズキのバギナが狭くてとにかくこすれ具合が良い。
 だから、射精を我慢するのが馬鹿馬鹿しくなった。
 ミズキの喘ぎ声が一段と高くなったのを感じると、腰の動きにセーブが利かなくなり、とうとう射精してしまった。
 私は、ミズキがかなりのよがり声を出し、シーツもしっかり濡らしたのに、あれだけ徹底したクリトリス攻めで気をやらなかったのがかなり不思議だった。それでイキの状況について聞いてみた。
 すると───イクことはできるけれども、一度イッてしまえば体の消耗がかなり激しくて、それこそ本当に仕事ができなくなるからイクのを我慢している。もし、イクのであればラストでないと無理だわ───と説明した。
 更に聞くと、クリイキも、ペニスピストンでの中イキも両方可能で、バギナのほうはその気になって気持ちを昂めれば、ペニスのピストンが5分程度でもアクメられるということだ。
 それはめずらしい話で、私は是非ラストの入浴を実験したいと思ったけれど、残念ながらミズキの容姿が全く趣味に合わなくて、帰宅に支障が出るような入浴を実行する気にはならかった。
 まあ、この手の発言は全くのウソであることも大変多い。だが、ミズキの語る顔つきには真剣に気持ちが入っていて、一応事実の可能性が少しは感じられた。とはいえ、女性の発する嘘と誇張は皆こうなんだが。
 ミズキのフェラチオが怒張したカリ首をぐいぐい刺激するものだから、どんなマットプレイをするのだろうかと興味が湧いた。それに、ミズキが快活に喋りまくるタイプではないので歓談に時間をとりにくいと思い、私はマットプレイを受けることにした。
 俯せのマットプレイでは「やや上手なやり方かな」と判定した。主たる減点はペニスの愛撫があっさりしすぎなことで、足や背中などをやけに丹念にこすっているという私にはつまらないプレイだ。
 一方、仰向けのプレイでは性感帯の愛撫がかなり激烈で、私はペニスの芯で快感を楽しめた。もう充分なぐらいに私の好みのやり方で、この落差が意外だった。
 マットプレイの後は経歴とノーサックのこととSTDを話題にしばらく雑談した。
 ミズキはこれまで働いた店がすべてノーサックの店で、ゴム着用はバギナがたまらないという意識でもって最初からゴムなしが基本の店に入った。感染経験はクラミジアに1回感染した程度で、「ラッキーだったわ」と表現した。
 最後の絡みは69からスタートした。ミズキのフェラチオがなかなか厳しくて塩梅が良かった。
 完璧に勃ったところで正上位で合体した。ミズキのバギナが締めが利いて、ピストンしているとペニスの芯に充分快感が響いた。バギナの具合が良いからイケる可能性を感じて、私は激しく腰を振ってみた。
 もう過去10回ばかりの入浴で『射精2回』を果たせないのだけれど、その日はミズキの喘ぎ声をBGMに蒸気機関車のように激しく呼吸してめでたく再放出を実現した。
 私は「2度目に射精できる確率は2割だ」とミズキに宣言していたし、実感としては──2度目に射精できたのはしばらく前までのことで、このところかなり難しくなった──という意識だったから、ミズキに大成功の喜びをたっぷり表明した。
 私の感動にミズキはさほどに笑顔を見せなかった。というかその入浴時間全体を通してそんなに笑みを見せず、やけに落ち着いた感じだった。とにかく表情に艶やかさがなかった。笑みをあんまり浮かべず、たまにしか出てこないから「冷笑」「自嘲」のような匂いがした。
 即ベッドも第2回戦も後舐めはなかった。
「あっ、精液がどれだけ出たのかマンコを見て確かめるのを忘れた。2回目の射精は液体がほんとうに少しの塊で管を通った感触だった。でも、気持ちよかった。キミはバギナが狭くて、いいよ。……洗ってみて、僕のザーメンがほんの少しだったろう?」
「ええ、少しだったわ。でも、1回目はたくさん出ていたわよ」
 それは多分先走り汁が多分に混ざっていたのだろう。しかし、それをミズキに説明してもしょうがない。
 ミズキがデカマラに往生した経験を喋りだした。膣道のあの挾み具合ならデカマラは悲しいだろう、とあらためて思った。
「キミは、僕のことを1年後でも覚えているだろう?」
 そう聞くと、即座に「うん、覚えている〜ぅ」と返した。それまでそんなに表情に大きな動きがなかったのに、ミズキはそこでパッと顔を輝かした。(えっ、こんな表情が出せるの!)と私は思った。ミズキにはかなり蔭を感じた。
「僕のクンニにびっくりしたでしょう?」
「ええ、驚いた」
「イカせたかったなぁ」
 ミズキで印象的なことは、キスをしてやけにニコチンの味がしたことだ。1mgのタバコを常用しているようだが、それであれだけ舌の味がきついというのは初めてだ。
 名刺を出さなかったから、1回限りの入浴だと想像したのだろうと思う。マットプレイの後も、私は艶グループの女(体型の良いのばかり)の名前を出して、あれは良い、あの女のこれこれに感心した、なんて喋り散らしていたから、ミズキが私の指名を想像することがなくて当然だ。
 ミズキは多分リピーターには、意識的にぐーんと気持ちも体も寄せていく女なのだろう。そうでなければ贔屓の客ができるはずがない。

 ミズキは体型が珍妙すぎるし、性格的に問題がありすぎた。私はかなり白け、この程度の女が店で上位にいると思うと、ルーブルはもういい、とこの日思った。
 この経験がなかったら艶やすずめの宿、コットンクラブ、ダイヤモンドクラブ、ルネッサンスなどの店に入るのがずーっと遅れたと思う。

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