(1) クリイキで満足していてはダメ。中イキは男性の腕にかかる。中イキのために努力しなさい──が結論
中イキを達成したとき、男性は強烈に「俺は男だ!」という気分になります。対戦した女性の何人かを中イキさせられた男性は、中イキを到来させられなかったエッチをまるで失敗作視して、中イキのできない女性をなにか不完全作品のように思うことがあります。
そういう男性の見方に対して、女性向け雑誌は女性から取材して、
中イキ至上主義に異を唱えます。
藤田氏はそんな風潮が、虫が好かないようです。藤田氏はさかんに思いやりを説いています。しかし、質問者の女性の悩みに対しては些か思いやりが足りないと思います。何やらたとえ話ばかりしていますが、質問者の本当に知りたいことに答えているのかという気がします。
クリイキで満足していてはダメ、中イキが最高快感、というのは藤田氏の思い入れです。そもそもクリイキさえ難しい女性すらいます。中イキができる女性というのもかなり少ないです。
その辺の言及があってもいいのでは。
中イキは男性の腕にかかる、というのは救いのない話です。確かに、男性によるところが多大で、中イキのためにはかなりのペニスの往復が必要です。
しかし、実際にはそこまで往復できずに撃沈してしまう男性が殆どです。一方では、強烈に長い時間往復できる男性がいて、その男性に惚れ込んでいても、ピストン運動が始まれば、快感は最初だけで、しまいには痛くてたまらなくなるという女性も多いらしいです。
要は、女性の体質もいろいろということです。
腕のよい料理人が必要というなら、腕の悪い料理人に惚れてしまった女性は一体どうなるのか。
腕が悪ければ、要するに早漏であれば、或いはデカマラでありすぎれば、その男性を切り捨てろというつもりなのでしょうか。およそ腕というのは、本人の資質によるところが多く、本人がどんだけ頑張っても、平均的に15往復で発射してしまう人が15分ピストンを続けることはできません。
話し合って解決できるものではないでしょう。
(2) 中イキとクリイキは異質のものという見方だが、男性の藤田氏に女性の体の感覚が実感できるのか。
藤田氏が中イキさせた女性が、感無量の顔で「やっぱり中イキはクリイキよりいい」と皆言ったとして、それは、本当にクリイキなんてもう要らないというような意味なのでしょうか。
中イキのほうが階段の登り方がゆっくりで、楽しみが長そうだとは理解できます。ただ、それは同時に、ペニスの突き込みを長い時間受けることによる疲労感の相乗効果という現象であるのかもしれません。疲労という負の部分があるから、快味が大きく錯覚できるということです。
まあ、中イキが至高の快楽の可能性があることは認めますが、ペニスの抽送で中イキができる女性が現実にあまりにも少ないだけに、また、中イキは性交経験回数の増とか出産経験とかがあって可能になるという現実があるだけに、中イキなければ良いセックスではないという考え方には怒りを感じます。
(現実に、女房が中イキが可能になった頃には、亭主はその古女房に性欲をかき立てることが難しくなっています)
たとえば、潮吹き。体の奥が思いっ切り収縮して、凄まじい勢いで液体が噴出します。私が持っている映像は、クリトリスをローターで弄うものでした。
イキはイキだと思いますが。
なお、奈良林祥氏は
HOW TO SEXの中で次のように書いています。
男の射精を受けなければ女はオーガズムに達しない、などというオーガズム理解はもう古い。脳波、その他の検査手段を使って調べると、オナニーによって達するオーガズムも、性交によるオーガズムも、生理的な面での同価値ということがわかっている。だから、女性が“男の射精を膣に受けなくても、オーガズムはオーガズム”と割り切って考えることができていれば、射精を受けないと絶対満足しない、というような偏りは生まれないはずである。
(3) 性欲 ←→ 食欲、クリトリス ←→ 舌、という対比はご都合主義ではないか。
性欲──性的に気持ち良くなりたい欲望
食欲──飲食に関する欲望
性感に対するは 食感+満腹感、いずれも感ずるところは脳、そして脳にシグナルを送る部位は、
満腹感─食道、胃、腸
食感──目、手(箸で摘んだ時など)、唇、口腔、舌、ノド、食道、胃、鼻、歯ごたえ
性感──目、肌、膣、クリトリス、アナル、クリトリス以外の性器構造すべて
舌は味覚と舌触りで関与しています。著者の書く「おいしい!」と思うのが味覚のことを言うのなら、それに関与しているのは舌だけです。これに対して、「気持ちいい!」と感じるのは、触感から来るものでは、乳房・乳首・脇腹などを含めてたくさんあります。
クリトリスによるイキは性欲を満たすけれど、舌でうまいと思ったって、(食欲を満たす量を胃袋に入れなければ)食欲は満たされません。
これでは、舌とクリトリスとを対比すること自体がおかしいでしょう。
私の記憶によれば、舌には直接味覚を感ずる細胞があるはずです。クリトリスには快感を直接感じる細胞があるのでしょうか。
女性にも海綿体のようなものがあって、氷山が、洋上に10%、海面下に90%を残しているように、10%突き出ているのがクリトリスだといわれています。その海綿体に刺激が加えられると、その組織の奥に快感の元となる何らかの細胞の亢奮がおこり、それが脳に伝わって快感と解釈されるらしいです。その海綿体を奥のほうで刺激すれば「中イキ」、洋上で刺激すれば「クリイキ」になるのです。
所詮同じものに、方法によって価値の違いをここまで強調するのはおかしいです。
とにかく、クリトリスと舌とを対比するのがナンセンスだと思います。
さらに、藤田氏の暴論は、中イキが高級懐石料理を食べた時の満足感とし、クリイキは、たとえて言うなら、何日も山の中を放浪した山岳遭難人が救助されて、差し出されたチョコレートを口にして「おいしい!」というような、微笑ましいけれど、高級懐石料理に舌鼓を打つよりはかなりみじめな食の喜びに比していると言えます。
そもそも、山岳遭難はともかくも、人が3時にチョコレートを食べるのと、夕方7時にフルコースの料理を食べるのとでは、食べる目的が全く違います。目的が違えば、食べた時の感動は全く内容が違うのが当たり前です。
一方、女性がクリトリス攻めを受ける時と、ペニスのピストンを受ける時とでは、女性側の目的は全く同じです。要するに、
「私は気持ちよくなりたい!」です。ただ、後者のほうは、
「パートナーも同時に気持ち良くなるその行為で、私も気持ちよくなりたい!」ということです。
いずれにしても、女性の自分に関する目的は同じだから、達成感・満足感はクリイキも中イキも同じです。チョコと懐石のほうは食べる目的が違うから、達成感・満足感は異質のものです。
(クンニリングスを受ける時に女性が男性にも気持ち良くなってもらいたいと思うと、69をやります)
このようにはっきり違うものを対比させて類推するなんて詭弁もいいところです。
藤田氏はクリイキと中イキの感動の大小を語っているだけだという見方も可能です。仮にそうだとしたら、『答』の文章の70%は、「中イキのほうがクリイキよりも断然良いものだよ」という説明文ということになります。
それは、果たして質問の真意に対応しているのでしょうか。問の上っ面だけを見て答えているのではないでしょうか。そもそも良さに大小がある理由の説明をしていないです。あるのは比喩だけ。
それにしても、こともあろうに、腕の悪い料理人=ペニスの抽送力が弱い亭主を持ったら、高級懐石料理がまるで食べられない妻に比すなんて、もうこれは暴論の極みでしょう。女性の性感というものは人によってもともと大きく差があるものだ
(それは主に開発速度の差であるのかもしれません)という本質的なことにも全く触れていません。