スペシャル二輪車

 由美がちょっと変わった体験をした。
「ねえ、おかしなお客が来たの。先々週のことだけど、ほんとうに面白かったわよ。聞きたい?……私、店長に呼ばれて、『君とアスカちゃんと二人でお客さんを二人相手して欲しいんだけれど、どうだろうか?』と訊かれたのよ」
 店長というのは、金津園・恵里亜の責任者の進藤のことで、由美は折り目正しいところがあるから、私に進藤の個人的なエピソードのようなものを語る時は「進藤さん」と言っても、仕事の関係で話に登場させるときは必ず「店長」と言った。
 私は由美にもう六年通い続け、そこまでくるともう愛人関係のようなものだ。愛人だってお手当がいるから、たとえ遊びの料金を渡しても、互いに逢うのが待ち遠しいと思えば、それこそ愛人だと思っていた。
 愛人のように位置づけているのは、由美が私専用のグラスを用意してブランデーのロックを作ることや、私には歯ブラシもイソジンの入ったコップも渡さないことで、そのように理解していた。
 由美は、私がソープランドで働く女や通ってくる男の生態になかなか関心を抱くものだから、何か興味深い出来事があると必ず話題にした。
 それで、女二人が客二人を相手にしたというめずらしい話を聞くことになった。
「田代さんなら、きっと興味津々よ。アスカちゃんも登場するんだからぁ」
「へーえ、そりゃあ、面白そうだ」
 ソープランドの部屋でくつろいでいるから、まだ会ったばかりで風呂に浸かる前でも二人とも全裸で、私は由美のほっそりした腰に手を回しながら、ロックを飲んでいた。
 外は雪で、私を含めて二人しか客がいないようだから、店の中はとても静かだ。部屋の暖房がほど良く効いている。
 由美の滑らかな背の向こうに籐の籠が見え、籠には私の肌着の上に、進藤からプレゼントされたランジェリーがきちんとたたんで置いてある。
 紫もコバルトブルーもベージュも入った、セクシーな下着が目に入ると、私はそれをプレゼントした進藤に焼き餅を焼きながら、由美の語る、風変わりな客の話に聞き入った。
 由美はいつもよりも声が大きい。めずらしい出来事を説明する、はしゃいだ声が、風呂場続きの部屋の中でよく響いた。
 店長の指示を聞いて、由美は「お客さん二人を相手して欲しい」とは、一瞬どういうことかと思って眼を瞠った。
「四人で遊びたいということなんだよ」
「えーっ、4P!」
「アスカちゃんと一緒ならいいだろう?」
「イヤだと言ったって、もうOKしちゃったんでしょ。何で、アスカちゃんと私なのよ?」
「君とアスカちゃんは、前に田代さんと二輪車をしたことがあるから、いいだろうと思って。君たち以外の女は二輪車もしたことがないから、四人プレイをしてくれと言ったって、無理だろうさ。君たちなら、うまくやってくれるだろう?」
「相手はどういう人なのよ?」
「君もアスカも初めての客になるけれど、お客のうち一人は店のメンバーで、その人が言うには、前に別の店で四人プレイをしてとっても面白かったから、是非もう一度したいということなんだ。そういうことで、頼むよ」
「アスカちゃんがいいというなら、まあ、やってもいいけれど、もし、とんでもない連中だったら、途中で下ろすからね」
「うん。男二人でふざけて強引なことをやりだしたら、下ろしてもいいよ」
 アスカは、一年ほど前に青いリンゴから恵里亜に替わって、年齢は公称で26ということにしている。でも、公称28で、実際年齢が29の由美より多分歳上だろう、と見ていた。
 由美に話しかけるアスカの表情と口調からそう判断した。
 21で金津園に出た由美と比べれば、アスカの方は遅く、24ぐらいで業界入りしたらしい。
 背丈は由美より5センチほど低く、150センチぐらいと小柄だ。体型は由美と同様やせ形で、ウエストのくびれがはっきりしている。
 眼は、見開くと丸っぽくなる由美と対照的にアスカは切れ目で、頑丈そうな顎の由美に比べ、これも対照的に引き締まった形の顎になっている。面長の整った顔立ちで、笑顔は女らしいが、怒った顔をすれば中性的な顔になりそうだ。
 ショートヘアーの由美と違い、ロングヘアーで、ヘアーメイクに相当力を入れている。前髪とてっぺんは上手く盛り上げて、髪の質がいいから、前から見ても後ろから見ても見応えがある。
 アスカは由美と仲がよくて、一緒に飲みに行ったり、自宅まで遊びに行ったりもしている。
 前年に、私が由美と会っている時に、アスカが部屋まで遊びに来たことがあって、その時私は初めてアスカと顔を合わせたのだ。店のアルバムで見た顔よりもアスカは大人びていて、それは成熟した女を感じさせた。
 アスカは、折角由美の常連客の私がどんな奴かと観察に来たのに、一口ビールを飲んだだけで電話が鳴り、客がついたという呼び出しを受けてしまった。
 残念そうに出ていったが、きれいなロングヘアーで、小柄な躯に、もっこりしたお尻の後ろ姿が私の助平心をくすぐった。
 それにしても、見も知らぬ私が由美に逢ってるところへアスカがいきなりやって来たのは、いかに好奇心があったにせよ、驚くべきことだ。
 その時の好印象と由美の語る話から、私はアスカが好みのタイプのように思ったので、由美に入浴しているときに思い切ってアスカも呼び、豪勢に二輪車プレイをしたことがあった。
 それが先月のことだ。
 私と由美の退屈しのぎになるし、二人の性的関係の薬味になればいいと思って招き入れた。
 私が由美に入浴している時、雑談しに入ってきたアスカが私を初めて見ての感想を聞くと、想像する通りだった。
 小柄な躯に堅苦しそうな顔をしているから、(この人が、いつも助平な遊びを豪快にして恵里亜で有名な田代さんなの? へーぇ!……)がアスカの第一印象だった。
 アスカは、私について何となく、中背の小太り、赤ら顔の男だと想像していた。痩せた顔に、度の強い眼鏡はイメージとは違っていた。
 その私が、今度は二輪車プレイで馴染みの由美に加え、アスカを相方に指名したということで、アスカが不安と期待の気持ちで、既に私と由美が待機している部屋に入ると、私が待ちかねたように快活に話しかけた。
 それが日常的な事柄ではなく、また、うち解けようとする世辞めいたものでもない。
「早く裸になったら!」とせかしはするが、アスカが脱衣するところを舐めるように見つめる様子もない。
 身体にバスタオルも巻かずにフリちんのまま、同じく素っ裸の由美と並んで座り込み、ブランデーのグラスを手に持って、かって知った仲のように猥褻な言葉を次々に口にした。
 それが嫌悪感を感ずるほどいやらしいというものではない。健康的なエロチシズム、性を愉しむ自然な本能、そんな言葉で表現しても良いと思えるし、何となくユーモアに溢れている。
 それで、ごく自然にアスカの身体に触れ、うち解けようとする。
 二輪車プレイを皆で愉しもうというムードづくりが上手で、話題と物腰にいかにもソープなれした様子をうかがわせるから、やっぱり有名な田代さんだ!とアスカは思った。
 私はアスカとマットプレイで遊んだ後、ベッドプレイはアスカを相手に始めた。アスカをベッドの端で仰向けにさせ、徹底的にクンニリングスをした。
 アスカが股を開いたらすぐに割れ目の上端にしゃぶりついたので、陰毛の生え方も割れ目の形もはっきりとは憶えていない。なかなか柔らかい陰毛であることは顔に当たった感触でわかった。
 私はアスカの小さなクリトリスを包皮から剥き出して、舐めて舐めて舐めまくった。舌先のバイブレーションをかけ続けた。
 風俗嬢と遊ぶときにはいつもそうして、女が絶頂に至って身悶えするのを観察するのが私の最大の趣味だった。ヘルス嬢だろうがソープ嬢だろうが、相方をイカせられないと、遊びが何ともつまらなくなってしまう人間だった。
 風俗遊びをして、女の見事な絶頂の成果を得ると、必ず由美に報告した。女の割れ目の濡れ方や、気をやるときの肉体の身悶えやら、声がどんなふうだったかなどを微細に説明した。
 快感でピクピクうごめく膣口は「あな、おかし」、それで、よがり汁が糸を引けば「いと、おかし」と解説した。
 性技の達人と呼ばれる男には、三時間でも女の躯にオーラルセックスを施し、例えば、コップを口にすれば、底の面を舐められるほど舌を長く伸ばせるように鍛え上げている男がいる。筒状にして伸ばせばペニス代わりになると聞くと、たいしたものだと思う。
 そういう達人を横綱とすれば、私は前頭筆頭ぐらいになるのかもしれないと思っていた。そう錯覚してもいいぐらい、ベテランのソープ嬢は私の前戯のうまいことを褒めた。
 その3Pプレイで、私は由美の見ている前でアスカをイカせようと、手持ちのクンニリングスの技をすべて繰り出した。舐めて吸ってクリトリスにバイブレーションをかけ続けた。
 由美は、私がアスカの、足をMの字にたたんだ股間にしゃがみ込み、クンニリングスを持続させてもなかなかアスカをアクメにさせられなくて、悪戦苦闘しているのをニヤニヤ観察しながら、私のペニスをペッティングしていた。
 結局、シーツに愛液のかなり大きな染みができても、アスカに気をやらせることはできなかった。
 アスカを由美の目の前でアクメに浸らせ、その後で、由美にクンニリングスをして、由美が割れ目を濡らしてアクメにふるえるところをアスカに見せるのが私の目論見だったから、アスカが気をやらなかったことにはとてもがっかりした。
 アスカのようにクリトリスが小さいと、やはりクンニリングスでアクメに達することはなかなか難しいものだ、と徒労になった愛撫の労力を惜しんだ。
 百分の入浴時間のうち、五十分を雑談とマットプレイで使い、四十分近くアスカにクンニリングスをしていたから、結局それだけで終わり、当然アスカと合体も果たしていなかった。
 私は、中指をアスカのバギナに挿入しただけだった。
 でも、アスカが親密に受け答えをしたことと、容姿がなかなか上等であること、この二点で、満足できる二輪車プレイだった。
 シャワーで洗い終え、パンティを穿こうとしているアスカを私は冷やかした。
「きみが男だったら、皮かむりで、先細りの、短小ちんちんなんだぞ。なんせ、クリトリスが小さくて、めり込んでいるんだからぁ」
 アスカが即座に混ぜ返した。
「それで、とんでもない遅漏なんだから、冗談じゃないわよねえ。わたし、これからは、お客のおちんちんに文句は言えないわぁ」
 アスカは私に極めて巧みにクリトリスを愛撫され、それが熱烈で根気よく続いたから、アクメ寸前の心地よさに酔った。だから、噂に違わぬ遊び人だと感心した。
 私は、アスカを二輪車プレイに呼んで、何が一番印象に残ったかというと、歯が素晴らしくきれいだったことと、ロングランのクンニリングスが終わってから上体を起こした時の、アスカのポーッとした顔とライオンのたてがみのように盛り上がった頭髪の乱れの女っぽさ、それと、ディープキスが洗練されて上手かったことだった。
「きれいな歯だね」
 私がそう言ってアスカの前歯に指を伸ばすと、アスカは歯茎が見えるぐらいに唇を引き、前歯に指が触れるのを許した。歯茎も、上の前歯も、下の前歯も、健康そのものだった。顎が細い割には歯並びが綺麗な弧を描いていた。かなり矯正に金を使った可能性がありそうだ。
 ライオンのたてがみについて言えば、逆立った髪が、亢奮でそうなったのか、仰向けになっていたときの頭の位置の関係でそうなったのかはわからない。何れにせよセクシャルな行為の後、起き上がった女の乱れ髪は色っぽく見える。
 アスカが長時間の愛撫を受けて、逆立った髪と、朦朧の表情と、股を開いたままの体勢と、割れ目の濡れて開いた状態と、そんなすべての像が、退屈な日常生活を忘れさせる清涼剤だった。
 上手いディープキスがどういうものかを言葉で表現するのは難しいけれど、アスカとしたキスを思い出せば、次のように表現できると私は思った。
 深いキスをしても唾液が互いの唇の周囲につくようなことがなく、それでも、自分の舌は慎ましやかに男の口内に差し出し、同時に、赤子に乳を飲ませる母のように唾液を男に渡す。
 男が舌を突き出した時は、舌先を優しくくるむように受け入れ、男の唾液ができるだけ口内に入らぬように自分の口内の気圧を高めるようなことをしない。かといって、やたら強く吸い込むのではなく、女らしく上品に吸い、また、適度に唇を丸めて男の唇にしっかり当て、隙間をつくるようなことがないから、空気音がせず品がいい。
 男が強く女の舌を吸おうとするときは、じらすようにしながらこれに応じ、時には唇をぐっとすぼめて、舌と唇と両方を男の唇に挾ませたりする。男が上唇を吸えば、男の下唇を同等の陰圧で吸い返す。時には、戯れのように舌先を男の歯に遊ばせ、唇をまとわりつかせる。
 そして、そんな深いキスを長々としても、呼吸の仕方がスマートで、互いの鼻をぶつけるようなことをせず、男心を溶かすような艶な表情を男に愉しませる。
 これが美しいフレンチキスだと私は思う。
 初対面のアスカがこういう見事に洗練されたキスをして、キスで私を亢奮させるほどアスカが心安く接近したのがとても嬉しかった。それまで会った女の中で、キスが最高の女だと感心したのだった。
 アスカと交わしたディープキスは、むちゃくちゃおいしかった!と表現するのがふさわしい。
 上手なセックスというのは、言葉のかけ方、愛撫の仕方、腰の動かし方などで、はたから見ていてテクニックがあるとわかるけれど、上手なキスというのは他人が見ていてもわからない。洗練されたフレンチキスというのは、やっている当人だけが唇と舌で判定できる。
 アスカと交わした最高級のフレンチキスを思い出してつくづくそう思った。
 私がアスカと熱烈なディープキスを交わしていると、由美は、まあ、楽しそうなこと!という顔で眺めていた。
 アスカは三十前後の歳のわりに、私と由美が裸でくつろいでいるところに入り込むことに戸惑うようなそぶりがあった。でも、由美や私と話がはずみ、マットプレイも終わると、すっかりうち解けていた。
 ベッドプレイになった頃には、仰向けのまま大股開脚しているのを由美に見られても、恥ずかしそうな顔は見せないようになった。
 アスカはそんなふうに二輪車プレイを経験したから、私は、アスカが店長に四人プレイに応じて貰えないかと聞かれた時、それほど困惑はしなかったろうと想像した。裸を見られて恥ずかしいのは、初対面の異性よりも親しい同性だ。
 由美は長年ソープ嬢をしていて、女二人に客一人の3Pは何度も経験しているけれど、4Pをするのは初めてだ。男1女2の組み合わせのプレイはプライベートセックスでも経験していたが、三人を超える乱交プレイはしたことがない。
 由美は、男2女1のプレイならしてみたい、と私に言ったことがあった。私もしてみたいと思った。セックスプレイは女がよがるから愉しいのだ。男がよがったって何も面白くない。女を死ぬほどよがらせるには男の数が多い方がいい。
 ソープランドで男二人の遊びができればいいけれど、女一人に男二人では強姦めいた感じがあるから一応禁止されている。私も由美もそのことは残念な気がする。
 男2女1が難しければ男2女2のプレイは由美にとっては次善の退屈しのぎで、そういう仕事には興味が湧くし、仲のいいアスカとコンビならば、お互いに問題はない。
 更に、次のように由美は考えた。
 アスカは私と一緒に田代さんを相手に二輪車プレイをして、もう私に裸を見られても平気だろうし、それどころか、股をおっぴろげたまま長々と田代さんにクンニリングスされ、よがっている生々しい姿を私に見られたからには、性交をしているところを覗かれてもどうってことはないだろう。
 私の方も裸をアスカに見られて恥ずかしいと思うことはない。
 それにしても、昔はそういう遊びをする男がいたが、この三、四年は聞いたことがない。そういう酔狂な遊び方をする男がいなくなった。また、そういう男がいても、女二人がそれを了承しなければ、ソープの4Pプレイは成立しない。でも、近頃は、そんなことを気軽に受ける女がなかなかいない。
 第一、男一人に女が二人つく二輪車プレイをする客が、恵里亜でも田代さんしかいない。
 そんな状態だから、金津園の中で私よりもベテランの女でも、4Pプレイの経験のあるソープ嬢はおそらく五人といないに違いない。4Pプレイをしたがるとは、近頃感心な遊び人だ。
 そんなふうに由美は思いを巡らせながら、これから迎える男達が一体どんな連中だろうかと期待した。もちろん、とんでもない連中だったらイヤだな、という不安も大いにあった。たとえアスカが一緒にいても、男二人と部屋に入るのは初めてだけに恐ろしいような気がする。
 アスカと一緒にエレベーターの中で不安と好奇心を抱きながら待機した。
 ボーイに案内されてやって来た姿を見ると、一人は小柄なデブさんで、もう一人は背の高い痩せた男だった。その二人が葬儀の参列者のように俯いたままエレベーターに乗り込んだから、由美はおやっ?と思った。
 風体も顔つきも、四人プレイという変わった遊び方をする遊び人のようには思えないのだ。
 部屋に入っても、気さくに話しかけるような態度がない。それで、一人がベッドに腰を下ろすと、もう一人はかなり離れたところに腰掛けた。
 4Pプレイを言い出すからには二人が親しいはずなのに、遠く離れて座っているし、まるでおとなしい。
 由美とアスカは二人の皮のジャンパーを受け取り、くつろぐようにと言葉をかけた。楽な格好にならせても相変わらず男達は何やかやと気軽に話しかけるようにはせず、内気な様子だから、由美は怪訝に思った。
 アスカに眼で、何か変だわねえ!というサインを送り、雰囲気を盛り上げようとばかりに喋り始めた。
「ちょっとあんた達、四人で遊ぼうというんだから、二人とも離れていないでもっとくっついて座りなさいよ」
 豪快な遊びを望むわりにはシャイなところがあるとわかって、由美はアスカと一緒になって口数を増やした。
 この連中が破天荒な遊びをしたとは信じられないと思って、以前に4Pプレイをした時の様子を聞いた。
 すると、特にその店の馴染み客になっていたわけではないけれど、頼んだら店長が気軽に引き受けてくれたということだ。
 初対面同様の女を相手に遊び、相方の女を途中で取り替えて愉しむような、4Pらしい淫乱プレイはせず、女とのペアーを固定し、互いに相手の交歓の様子を眺めた程度だ。
 その時はマットプレイをしただけで、ベッドプレイはしなかった、と由美は男から聞き出し、男達が今回もその遊び方で良いと言うから、二回射精することを前提にしていないと判断した。
 マットプレイをしてそこで抜くということならば、時間配分をあまり気にする必要がないし、また、そう苦労しなくても良さそうだと安心した。
 それにしても、互いにペニスを勃起させているのを見られてもいいというのはどういう交友関係なのか、例えば従兄弟同士なのか、そんな疑問を浮かべて探りを入れることにした。
 由美は、いつもは客の個人的なことを探ったりはしないけれども、陽気な口調で二人の関係についてそれとなく尋ねた。
 由美とアスカのうち解けた会話に男達は気持ちがリラックスしたのか、朗らかに二人の関係について説明した。
 それによると、二人は職場が同じの友人同士で、デブさんの方が職場の宴会などですぐに素っ裸になる癖があって、それが面白くて、ヤセの方も裸踊りをするようになり、それで親しくなったのだ。
 酒を飲むと、いつもハチャメチャな悪ふざけをしてしまうということで、おかしなエピソードをいくつか語った。
 そんな会話で時間が結構過ぎてしまったけれど、会話が長くなった方が後の作業が楽だから、それが由美とアスカの狙いでもあった。
 二人の男が期待するマットプレイをすることになった。
 助平イスもシャワーも一つしかないので、ヤセのほうをイスに座らせて、アスカがシャワーで洗った。由美はデブさんを風呂の縁に腰掛けさせ、盥を使って股間を洗った。
 デブさんのペニスがでかいから、由美は驚いた。日本人離れした太さだった。ソープ嬢が嫌がるのは包茎だけれども、デカマラの亀頭は完璧に露出していた。
 部屋はいつもアスカが使っている部屋だった。だから、由美は二人を入浴させているうちに、自分の部屋のマットを運び入れた。大きくて持ちにくい代物だから、運ぶのは大変だった。
 アスカの部屋のマットと一緒に、二枚敷くと、タイル張りの床が完全に隠れた。それで、男二人を俯せにして、ローションプレイを始めた。
 デブの男を由美が、ヤセの男をアスカが受け持った。指定されたわけではないが、何となくそうなった。
 男達を観察すると、デブの方は随分色白で、なかなか醜男だ。ちょっと嫁に来手がないような気がする。ヤセの方は美男というほどではないけれど、そこそこの顔立ちをしている。デブが女房持ちで、ヤセが独身だからおかしい。
 二人とも筋肉がそんなについていなくて、肉体労働をしている様子はなかった。でも、服装は、特にお金持ちの様子ではない。
 それにしても、真っ裸の男二人が俯せになって女の愛撫を待っている姿を見るのは初めてだから、由美はなんだか妙な気分になった。
 マットプレイのやり方は、由美とアスカとでは随分違っていた。
 由美は、私の指導もあって、口と両手をフルに使ってのペニスと睾丸の集中攻撃を得意としていた。いわゆる泡踊りという、ヌルリ、スルリ、と滑るようなことはあまりしない。だから、時間的にはかなり短い。その代わり、男はカリ首をガンガン刺激されて性感が滅茶苦茶に煽り立てられる。
 アスカの方はマットプレイに時間をかける。乳首も丹念に舐めたりして、男の身体に自分の身体をすり合わせ、ゆらゆらとまとわりつく、正統派のマットをする。泡踊りとしてはなかなか上手だけれども、性感帯をもろに刺激しまくるものではないから、私の好みのやり方ではない。
 男達にローションを塗りつけ、動きだして、由美もアスカも驚いた。
 マットに俯せになった男は、顔を真下に向けて枕元のタイル張りの床に目を落とすのが普通の体勢で、それが首につらい姿勢であれば、顔を横向きにするのだろうが、二人は枕に両肘を乗せ、顔を横向きにして、ずーっとお互いの姿を眺めている。それも、微笑み合っているから、おやっ?と思った。
 更に驚いたのは、二人とも性感の発達ぶりが並のものではないことだ。デブの方は、背筋を撫でても、内股を撫でても、女のように「あはーん」などとよがり声を上げる。
 ヤセの男は、デブほどには声を出さないけれど、アスカの唇がポイントを刺激すると、痙攣するように身悶えしている。
 由美はあっちもこっちもなかなか敏感な男達だと思いながら、俯せのデブの股間からペニスを引き寄せ、試しにカリ首を指で揉んでやると、悲鳴を上げて太い腰を震わせた。
 二人が互いの快感に浸る様を観察し、声もかけ合い、悦びを増幅し合っている。ほんとうに変な奴らだ。
 だから由美は、その二人がひょっとするとホモ関係かもしれないと思った。
 二人はよがり声を上げながら互いに相手を「先生」と呼びかけていた。最初から、名前の呼びかけは全くしていなかった。
 おかしな連中だと思いながら、両手でデブのペニスや睾丸を愛撫していると、アスカが「はい、タオルどうぞ」と小さくたたんであるタオルを差し出した。
 汗をかいているわけでもないのに、何かと思ったら、中にコンドームが一つ隠してあった。
 由美は、いつもはアナルへの愛撫を、常連で、そういうプレイが好きな客だけにしていたけれども、この二人がホモ関係ではあるまいかという疑いから、ちょっとアナルに指を伸ばしてみた。
 すると、菊の紋を掃くように撫でただけで、デブの男からひときわ高いよがり声が出てきた。
 尻の穴の表面を刺激しただけで、ヒイヒイ騒ぐ男なんて見たことがないから驚いた。それだけでなく、何となくアナルがゆるいように思えた。
 アスカに、デブのアナルを指さして、眼で、これは変だ!と合図した。アスカも妙な男達だと思っていたから、早速ヤセのアナルを刺激してみた。
 ヤセの男も、同様に明瞭な反応を見せて悦んだ。
 大きなマット二枚をむりやり敷きつめてのプレイだから、由美とアスカの躯は時々接触したりする。だから、互いに相手の男の快感に悶える様子がよく目に入る。
 由美が俯せのマットを切り上げ、デブを仰向けにさせると、ペニスは想像以上に見事にふくらんでいた。色は白っぽいけれど、ほれぼれするぐらいの太さと硬さだった。
 カリ首の根元に引いた包皮が三重の皺を作っている。そのリングがやけに大きく、相対的にカリ首が小さい。棹の中程が特に太く見えた。
 アスカはマットプレイを長くするから、俯せのローションプレイでいつもしている手順の半ばまでし終えた程度だった。でも、由美がデブを仰向けにさせたので、あわててヤセに身体を反転させた。
 由美は仰向けになったデブの乳首を愛撫した。
 私にマットプレイをするとき、由美はペニスや睾丸やアナルだけを徹底して弄い続けるけれど、初対面の男だから、色白の躯に浮かぶ乳首を舐めることから始めた。
 デブが悲鳴のような声で喘いだ。乳首二つを唇と指先で摘まれて、「あはーん」とうなって悶える男なんて滅多にいないから、由美は面白がった。
 隣を見ると、小柄なアスカがヤセの長い身体の上を縦に横に滑っていた。ヤセもアスカに乳首を吸われて身悶えしているから、由美はアスカと顔を見合わせてニヤニヤした。
 デブの太いペニスを握りながら、もう一方の手で金的をさすってやると、醜男の顔がうっとりとして陶酔の表情だった。見苦しい顔がうっとりしていると気色悪い。
 ヤセのペニスを眺めると、なかなかのロングサイズで色合いも濃いが、ひょろっとしていて、硬度はそれほどないように見えた。
 ヤセの躯の上に69のポーズでのっかっているアスカの身体が女っぽい。男の胸の上で大股開きして、乳房でペニスを撫でていると、お尻がもっこりして可愛い。アスカは尻の谷間の毛を処理していないから、毛の生えた割れ目がいやらしく見える。
 ヤセは、せっかく突き出された割れ目に指を伸ばそうともせず、目を瞑っているようだ。デブもヤセも、おまんφをさわろうとせず、存外におとなしい男だ。
 デブのペニスは、太さの割には長くなくても、かちんかちんのばんばんという張り方で、勃起角度が鋭く、下腹にくっつくように突き上げていた。カリのエラはそんなに張ってはいない。蟻が通れるようなでかい尿道口とカリのピンク色の裏筋がやけに目立つ。二人とも、しっかりした剥けマラだった。
 男二人のよがり声のハーモニーが続き、由美もアスカもその派手なもだえ方がおかしくてたまらなかった。これならこの男達は4Pプレイが愉しいことだろうと納得した。
 由美はデブにそろそろ引導を渡そうと思って、「嵌めたい?」と甘い声で尋ねた。
「うぅーん」
 白豚が得も言われぬうっとりした表情で頷いた。
 由美は身体の向きを変え、69の体勢になって、デブの足下に置いておいたタオルの中からサックを取りだした。それを口に含んで極太ペニスに被せ、少しフェラチオをしてから、向き直って女上跨位で嵌め入れてやった。
 射精して外すまで、コンドームがつけられたことを全く気づかない男もいるという、由美の自慢の技だ。
 アスカも由美の動作を見てあわててサックを取り出し、ヤセのペニスに装着した。
 由美は躯がスリムで、なかなか運動神経がいいから、腰をリズミカルに上下動させるのは得意だ。それでも、極太ペニスを五十回も膣で往復摩擦するのはごめんこうむりたい。
 マットプレイの最中だから、潤滑補助のローションには事欠かないという安心感はあるけれど、早く昇天させたい。
 それで、男を早くイカせるには、女上位の自分が躯を倒して、乳房や腹を男にくっつけて体温を感じさせてやるのがいいとわかっていたので、デブの上体に被さった。
 デブのほうは、すべすべの肌の由美にべったりとくっつかれながら、顔面に漂う若々しい女の呼気を吸い込み、出産未経験の膣にしっかり締められ、太マラにはたまらない刺激だ。
 眼を瞑ってしまって、眼前の由美の顔を見る余裕もない。
 アスカは女上跨位のまま、長いペニスが短い膣の奥を痛めないように、浅めのピストンにしていた。股を狭めて挿入感を強め、膝のバネを充分使って腰を上下させている。快感に悦ぶ演技の声がキャリアを感じさせる。
 アスカの細い首の奥から放たれる「あはん、あはん」の作り声に、ヤセもデブもすっかり亢奮しているに違いない。
 二人の女がそれほど長々と腰を動かさなくても、射精まで持ち込んだ。
 ヤセよりデブのフィニッシュの方が少し早く、由美が指でサックを外すとなかなかの重みがあった。ゴムを伸ばすと、中味は半透明でなく濃厚な白色だ。
 迫力のある量が溜まっていたから、高くかざして叫んだ。
「あなた、たくさん出したわよ。すっごいわ!」
 デブは嬉しそうな顔をしていた。
 もの凄い勢いで噴出した感じがしたから、精子くんはゴムの壁に激突して皆気を失ったに違いない。
 アスカの方は片がついたかと眺めると、アスカが四つん這いになってヤセの股間に顔を埋めていた。
 一体何をしているのかと思ったら、アスカは口でサックをくわえたまま外し、同時に、尿道管の中の残り汁を唇でしごいてサックの中に誘い出しているのだ。
 由美は、アスカがそんな濃厚なサービスをしているとは知らなかったから驚いた。
 満足した二人を取りあえず風呂に浸からせて、アスカが先に躯を流した。その間に由美はコンドームの後片づけをした。
 店では、使用済みのサックを通常のゴミとは分別してボーイが処分していた。生臭い液体が入っていては気の毒だから、由美は、そのまま伸ばして縛るのではなく、必ず精液を始末する気遣いをしていた。それで、男達に見られないように、股間を洗っているふりをして、二本のサックの中身をこっそり洗い流した。
 マットが終わるまでかなり時間を使ったから、ベッドプレイはせずに、少しお喋りして入浴が終わった。男達は遊びが充分に楽しかったと謝辞を言った。
 客を送り出してから、由美はアスカと検討し合った。
 由美もアスカも、初対面の客に職業を尋ねたりはしない。客の職業に興味はないけれども、男達がよがり声を上げながら互いに相手を「先生」と呼びかけていたから、「あの連中はきっとお医者さんか学校の先生だわよ」と言い合った。
 しかし、二人とも身体に消毒液の臭いがしないから、教師に違いないというのが結論だった。年齢は三十半ばと推定した。
 デブのアナルがやけにぶよぶよとしていた。それで、由美がアスカにヤセのアナルの印象を尋ねると、締まっていなくてゆるい感じだったと言った。
 由美は、二人がホモ関係と断定はできないが、可能性は大いにあり、互いにおかまを掘られ、また、女も男も相手にする両刀遣いなのかもしれないと思った。
 丁度世の中は不景気で、客が激減していたから、しばらく退屈で暇な日が続いていた。
 由美やアスカにとっては、先月の私との二輪車プレイも今度の四人プレイも不景気を忘れさせる退屈しのぎになった。
 股を開いたまま楽しそうに四人プレイの話をする由美の股ぐらをのぞき込むと、大きめのクリトリスが、包皮は邪魔だとばかりに三ミリぐらい飛び出していた。
 私も、由美からそんな体験談を聞いて、退屈で平凡な日常生活の周回軌道からほんの三ミリ飛び出したような気がした。 (了)

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(千戸拾倍 著)
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