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私の職業に関連したエッセイ1

 仕事の進め方
 新聞で、書籍の広告を眺めていたら、新刊本の内容について次の説明が書いてありました。
 一番やっかいな仕事からすませなさい
 なぜ人はどうでもいいことから先にやってしまうのだろう?
 人は自分の得意なことから取りかかるくせがあります。その結果、確かに、どうでもいい仕事から先にやることがあるのは間違いないです。
 でも、一番やっかいな仕事からすませなさいというのはどうかと思います。
 私は、これをやらなかったら、人(特に、客先・他部門)に迷惑をかけるその度合いの強いものを優先して処理するようにしているし、そのように部下にも指導しています。
 もし、それをやらなかったら人に迷惑をかける度合いが似たようなものであるなら、所要時間の短いものから先にやります。
 一番やっかいな仕事からとりかかるのは、決して利口なやり方ではないと思います。そういう社員ばかりでしたら、会社の仕事はまわらなくなります。「我こそは」ばかりではどうしょうもないです。
 ひょっとしたら、「一番やっかいな仕事からとりかかる」タイプの人が社長になりやすいのかもしれないけれど、全員が社長にはなれません。
 大体が「一番やっかいな仕事からとりかかる」ような気負い込む人間は、頭が悪くて空回りするような気がします。
(金津園の中でもP指名が抜きんでているNo.1嬢の予約を取ろうと、毎日開店前から必死に数日後の予約の電話を入れようとする若い衆を連想します。そこまで頑張ったところで、嬢から見ればちょろい客であることは間違いない)
 仕事の進捗度が95%とか60%とかであるときは、やっていない・完成していない・ものになっていない、というのと同じ状態です。完成させたものの件数を増やすことも大切なんです。
 なすべき案件が10件あって、未着手9件、一番やっかいな仕事が進捗度95%では、その時周りの人はかなりイライラします。
 全体の達成率はゼロですし、一番やっかいな仕事がたとえ完了しても、相対的に簡単な仕事といえどもやるべきことが9件も放ったらかしでは、周囲に多大な迷惑をかけているとしか思えません。
 手持ちの案件が複数あって、また新たになすべき仕事が上司から与えられたとき、上司に「どれを最初にやったらよろしいでしょうか」と尋ねる部下がいます。仕事が多すぎると思って嫌みで言うのでない限り、これは大変良い姿勢です。
 当事者よりは上に立つ者のほうが重要度の違いがよくわかります。部下がする優先順位の判定なんてかなり間違っています。
 仕事の進め方で一番大切なことは、やっぱり気配りでしょう。
 ソープの超高級店の場合、気配りの訓練まで受けているようで、結構なことだと思います。
 勤め人へのアドバイス
 勤め人へ私からアドバイスです。
 転職が肯定的に書かれることが多くなりましたが、転職を考えるものではありません。転職して成功するケースはなかなか乏しいです。
 会社員が勤め先を変える場合でも、2番目の会社では退職金がゼロからスタートになって、この点では大いに損をします。それに、一旦勤めた会社での、人とのつながりを捨て去り、せっかく習得した仕事の知識もかなりを無にするのが大いなる損失です。
 最初に勤めた会社に10年いたとしたら、そこで転職すると、その10年間の人生の殆どが無駄になると言って過言ではありません。人間は、人とのつながりに支えられて仕事をします。転職すると、それまでに得た「人とのつながり」が価値のない財産に変わってしまいます。これはもったいない。
 私は仕事柄、採用面接で転職者と対面する機会が多いですが、転職者には、勤務先の倒産により転職するような場合を除いて、見事に採用意欲がそそられない人が多いです──8年とか3年程度で転職する人の話です。
 転職者は採用面接で「前の仕事は、自分のやりたいこととは違っていた」という言い方をします。
 しかし、本人が言わなくても、上司や先輩と合わなかったことは間違いない。
 それは誰でも経験することだけれど、社員数が50名程度のところで働いているのならともかくも、500人とか10,000人の企業で働いていたのなら、5年も勤めればその“憎き上司や先輩”は別のところへ転勤します。
 それが待てずに、辛抱できない人というのはダメです。
 自営業に変わる場合でも、問題が大きいです。
 私の家の近所でも、喫茶店、美容院、呉服屋、酒屋、お好み焼き屋、パチンコ店、電器店、時計屋、ビデオ屋、ゴルフ用品店、パソコンショップ、まあ見事に廃業が続いています。脱サラ組が喫茶店やゴルフ用品店を開いても、皆結局撤退しています。
 名古屋という都会の比較的人口密集地域でさえそうなんです。
 店舗の賃借料を他人に支払ったり、赤の他人を雇ったりしてサービス業や小売業をしても、よほど恵まれた条件にないと、根性だけでは成功しないということでしょうねえ。客は、品揃えが豊かで、少しでも安い店に行きますから、並の営業ではもちません。
 どこの会社も『早期退職勧奨制度』なるものを設けるようになりましたが、よほどの勝算がない限り絶対に受けてはなりません。退職金の上積みをなんぼされたって、上積み部分は年収の数年分には勝てません。年収が減らされたとしたって、60歳まできちんと得られる年収のほうが魅力です。
 軽い仕事を担当させられたり、窓際族に突き落とされたりして、給料も下げられて、仲間や妻にさげすまれても、「男の誇り」なんて持ち出さずに堪え忍ぶのが男の選ぶ道です。
 とにかく、会社が「貴方は不要な人です」と言っても、自分が責任を感じる必要はありません。不要になるような人を採用した会社が悪いのです。
 会社の業績が悪くて、肩たたきをされそうならば、『人減らし』ではなくて『全員の給与の大幅ダウン』を、声を大にして提案しましょう。『人減らし』は『全員の給与の大幅ダウン』よりも人の心を痛めます。
 目先の利益を守ろうとして、大きな利得を喪失してはなりません。(但し、JTのようなところで早期退職勧奨にのるのは、むしろ結構なことです)
 もし貴方が会社の管理者ならば、役に立たない部下を徹底的にいじめましょう。査定はどん底に落とし、小さなミスでも、皆の前で叱りとばしてやりましょう。切れて辞表を出していただくのが何と言ってもベターなのです。
 能力の低い社員は会社にとって本当に妨害物です。決してその人の奥さんの顔を思い浮かべてはなりません。温情は禁物です。テレビで見た“脱サラ→事業に成功”の話をして、唆しましょう。
 私が今勤めている会社は小規模の商社なんですが、このところ若手の営業社員が毎年のように退職願を出してきます。あきらかに営業能力の低い人、営業センスのない人がやめたいと言い出すわけですから、全く慰撫はしていません。
 おちこぼれ人間がおちこぼれるのは、残った人間の心が引き締まり、二重三重にいいことです。
 あなたが若い女性なら、風俗業をお勧めします。
 派手にサービスしてやれば、少々器量が悪くても客はつきます。
 刺すこと
 仕事が管理部門の管理職ですから、同じ会社の人を刺すレターというものを、もう何度も見ています。
 告発状を見た回数は6度です。
 現物の手紙を見たのが6回ですから、告発があったことを知っていても告発状自体を見ていないものとか、告発があったことを私が知らないものを含めれば、私の知っている人が刺したり刺されたりしたケースはこの数倍あることでしょう。
 見た告発状(誣告の書状)はすべて匿名で、印刷された文字を切り取って貼ったもの、左手で書いたと思われるもの、プリンターで出力したものの三種を見ており、匿名の告発だからこそ、嫌な気分です。
 刺す内容は、会社に対して不誠実、上司に対して不誠実、部下をいじめる、とっても傲慢である、得意先に対して非礼、管理がむちゃくちゃ、私的費用の会社へのつけ回し、部下を依怙贔屓する、社員にセクハラする、というようなことです。
 私は、匿名という事実だけで、もう気に入りません。告発状なんて、見ずに破り捨てたくなります。
 これは、陰湿、陰険、卑怯、卑劣です。2ちゃんねるの卑劣な世界は普通の企業でも当たり前のように存在します。とっても悲しいことです。
 刺すとは、匿名で他人を誹謗することです。
 私は、自分のボス(事業所長)が交際費の使用について常軌を逸していると思った時、本社の要職の人にそれを話したことがありましたが、こういうのは刺すとは言いません。自分を明らかにして、しかも自分の職位と権限に基づき、第三者にも明確な事実に基づいて説明しているからです。
 その後まもなく、私はその子会社(出向先)から別の子会社へ出向先が変更されましたが、ボスに追い出された可能性はあります。ただ、自分の人事の裏側は自分にはわかりません。
 子会社の良くないところは、子会社のトップが、親会社の実力者たちを徹底的に接待することです。親会社の実力者はそれでもって、きれいどころを侍らして飲み、ゴルフの練習をします。
 私が告発状を見たのは次です。
事象 内容 件数 その後
他部門の、下位の職位の者を刺したケース 営業に出たふりをして遊んでいる 1件 本人に忠告
課長の部下が、課長を刺したケース 横暴、上司に対して不遜、依怙贔屓、セクハラ、私的消費の会社経費へのつけ込み、営業能力不足、管理能力不足等 3件 当該課長はすべて任地から異動
部長・重役が刺されたケース 横暴、依怙贔屓、私的消費の会社経費へのつけ込み、営業能力不足、管理能力不足等 2件 ともにその後も栄達
 会社の中の出来事だから、しばらく観察しておれば、刺した人間が誰であるかは見当がつくものです。被告発者に不満のありそうな人間は探れるし、告発した人間は効果の観察をしようとするからです。
 刺された人は、たとえ事実無根でも火のないところに煙は立たないという見方をされるから気の毒です。
 でも、部下が直属の上司を刺すのは、刺される側にも多少の問題はあるようです。
 権勢をふるっている実力者が刺される場合は、(刑事事件に該当するような事実が、証拠を伴って存在しない限り)告発者が期待するほどには揺さぶりが効きません。
 実力者だから、反対者から非難があってもやむを得ないという見方をされるのでしょうか。
 私はスタッフだから立場的に告発状を受け取ることがありますが、そういうものを受け取って検事役や裁判官役をさせられるとさびしいです。
 姿を現して、面と向かって言えばいいのにねえ。
 2ちゃんねるの世界はどこにでもあります。本当に嫌です。自分の姿を見せて批判をしなければ。無責任な態度では、その者の言は取り上げられるべきではないです。
 経理部長の仕事
 総務部長というのは、テレビドラマなんかにもよく出てきますが、経理部長はあんまり出てきません。世に知られぬ存在です。
 皆さんは総務部長も経理部長も本流の仕事ではないと思うかもしれませんが、これはやりがいもあるし、なかなか面白い仕事です。
 一口に言えば、社長のようには責任が一切なくて、対内的には、あたかも社長のようにものが言えるということでしょうか。そして、ラインの長のように仕事に追いまくられることはありません。じっと机に座って、仕事のふりをしてインターネットしていることが多いです。
 管理部門の長は、社員が勤務時間中に、某巨大バカ掲示板などに接続して遊んでいないかを監督する立場ですから、監視ソフトのアウトプットを眺めても、自分のは無視すればいいです。
 企業によってはラインの長がひたすら偉いところもあります。また、スタッフの長が威張っているのは亡社の兆しであるとも言えます。軍隊の指揮官は、人望と勇気さえあればバカでもできるのに対して、参謀本部は人望も勇気も不要で、知力と洞察力と世界を見る眼がないと務まらないとも言われます。
 まっ、しかし、スタッフの仕事は面白いし、やり甲斐があります。
 で、経理部長の仕事とは何か。
 事業計画の立案を指揮する、決算をする、会社の財産を守る、会社の財産を殖やす、株価を上げる、代金の回収を管理する、銀行からお金を借りる、いろいろ考えられます。
 一番大切なことは何か。それは、会社の損益の平準化です。
 具体的に言うと、会社の売上が順調で、利益が上がりそうなときには、先行費用投下に意を尽くし、公表利益を抑えて、一方、不景気で利益が上がらないときには、貯金をはき出して、実力よりもよい決算をし、銀行や株主をがっかりさせないようにして、資金調達力を維持し、また、株価の低落を抑えることです。
 人件費の総額について、会社としての目安を決めることも大切な役割です。人員削減の陰のプランナーにもならねばなりません。儲かっている部門と儲かっていない部門を明らかにすることも重要な役目です。面白そうな仕事でしょう。
 損益の平準化は嫌な仕事です。利益隠しは国税局にとがめられ、利益の水増しは公認会計士にとがめられます。そして、ラインの長は、景気が悪いから利益が出ないのは当たり前だと呟きます。利益が出れば、ラインが頑張ったからだ、と吠え、すぐに特別ボーナスと昇格と増員を要求します。
 経理というのは、営業の飲み食いのお金を払わされ、残業時間は大幅にカットされ、しかも、その存在がまるで‘必要悪’のように言われます。
 でも、知恵と人間洞察の感覚が必要な職業で、ここには女遊びに似た感覚があります。
 総務部長にとってつらい仕事とは、首切りでしょう。賃金水準の引き下げなんていうのはとてもつらい仕事ですが、社長や自分の年収も下げる限りにおいてはそんなに胃にきません。
 経理部長にとってつらい仕事は、上司から損益を(より良い方向に)ごまかしてくれと言われたときです。一般的には、経理部長は上司(社長等)に対して損益のごまかしはできないと教育しておく必要があるし、そういう要請に対しては断固断る強さが必要です。
 会社の業績の見通しが暗いなら、社長に対して「正直に業績の悪化を発表して、貴方の役員報酬がカットされ、任期が短くなればいいのです」という冷たい態度です。(ただ、自分の任期も短くなっていいという覚悟が必要です)
 損益の調整というのは、社長から言われる前に自分の意志でできるだけのことをしておいて、他の部門に対しては、実質の改善のみを迫るという態度が正しいでしょう。
 仕事人として一番心がけてきたこと
 私は基本的には経理屋ですから、会社勤めの仕事人として一番心がけてきたことは、正確な損益実績の把握と、冷静な損益計画の策定、それに、先に書いた、『損益の平準化』です。
 経理というのは自分一人で数字をいじくっているだけではありません。資産の健全化を図ることとか、各部門のプランニングに際して、他部門の人に経理的な、或いは、経営的な考えを啓蒙する必要があります。
 これも楽しい仕事です。
 まだあります。もともと会社の業務のEDP化は経理関係から始まっています。私も若い時には、4ビットマシンのシステムタイプライターでもって出荷伝票を起こす仕事の企画を担当したことがあります。
 今のパソコンと比べれば実にちゃちなおもちゃですが、さん孔テープでプログラムを作って販路のオペレーターを指導したことがあります。
(ちなみに、今のパソコンは32ビットマシンです。昭和50年頃の事務機器のCPUに対してビット数が8倍です。クロック<周波>数が上がることの他に、このビット数の向上も重要な進化要素です)
 その後も、傘下の代理店の帳表を設計したり、本社においては、連結決算のシステムを作ったり、工場においては、原価振替のシステムを作ったり、システム設計には面白く関係することができました。
 人事屋として心がけてきたことは、査定や昇進の公平化ですねえ。
 上長に劣悪視されている男については、それが本当かと確認し、単に性格が合わないだけの可能性がある時には、ローテーションを企画します。また、逆に絶大なる好評価を得ている場合も、本当に良き人材なのかと自らしっかり確かめます。
 上長というのは、公平な査定をする人もおれば、部下への査定がやたらと辛辣な人もおれば、個人的に好意を感ずる人間にだけやたらと点数をはずむ人もおれば、自分の部下には全員高得点を与えたいと頑張る人もおれば、とにかく様々です。
 私は、管理者のこういう性癖をわきまえて、穏当な評価が成立するように腐心します。
 しかし、査定という仕事にはもう10数年関与しているけれど、本当に好きになれない仕事です。人が人を評価するのはつらいことです。美人コンテストとはちがいますから。
 間接部門は、ライン部門の奴隷ではない。だけれど、ラインの連中が充分に腕を振るえるように、いろいろと仕掛けを改善せねばならないと思っています。
 仕事人として、人事・経理を学んでこられたのは、私には良かったのかもしれません。とにかく、数字を見る習慣と人を見る習慣が身につきました。
 馬鹿なこと
 私の勤務先の親会社から、「女性の正社員の採用は不可、退職補充等社員が必要な場合は派遣社員にすること」と通達がありました。日本の大企業が皆こういう姿勢をとるとしたら、派遣会社はとっても嬉しいでしょう。
 国は女性の権利の保護と称して、育児休暇に産休制度等いろいろ企業に指示をし、就業規則の改定を迫ります。その指示が、結局女性のためになっていないのですね。
 派遣社員で勤めるよりも、正社員で勤めるほうが良いに決まっています。セクハラ面で少し安全度が増すし、職場での一体感が得られ、年収も上がって、退職金も出て、会社の福利厚生の諸便宜もきちんと受けられます。
 私の勤務先のような小さな会社ですと、結婚した女性はこれまですべて、結婚即退職か、妊娠して退職かのいずれかになっています。やめてくれと圧力をかけたことはないけれど、そうなっています。
 もし、勤めを継続されたら、一つ一つの部門が少人数でやっているところでは、周りの者が大変迷惑することが起こりえます。どうしてかというと、営業マンが3〜8人(男性で外回りの仕事)、これに女性が一人加わって、その女性は事務の仕事をするわけで、その女性が産休だ育児休暇だ残業はイヤだとやれば、もう仕事が回らなくなります。
 女性の側から見ても、赤ん坊の世話をせずに仕事に出るよりは、しっかり家庭を守ったほうが良いです。子どもと母親とは綿密な対話と接触が必要なんです。仕事と家庭が両立するように社会が協力すべきだと言ったところで、限度があります。
 で、やはり派遣社員よりも正社員として働いてくれたほうがご本人の自覚も強くなるだろうし、雇用する側としては、女性社員はできるだけ正社員採用としたいのだけれど、親会社からの指示であれば致し方ありません。それに、女性労働者の正当な権利とやらを頑として主張されたら、これはもうたまりません。
 近頃厚生労働省は長期継続派遣社員の正社員登用化に向けて動いているようです。企業は当然、派遣社員の短期打ち切りや、女性社員自体の縮小に向かうことでしょう。LANを活用し、間接業務を集中処理化していくのです。
 また、企業の中で意欲的に仕事に取り組む女性は結婚を願望しないとか晩婚化の傾向が強まることでしょう。
 つくづく厚生労働省は馬鹿だと思います。社会の風潮を立法で変えようとするのはよくありません。
 まっ、それで風俗嬢が増えるのなら、私には結構なことなんですが。
 余談ですが、厚生労働省は、女性全体を見据えた『権利の保護』ではなくて、母子家庭の救済という見地から諸立法を考えるべきです。本当の弱者の保護です。
 良家で育ち、東大を出て、両親の慈愛の眼差しが温かく降り注ぎ、採用難易度の高いところで働く女性を特別に保護する必要は全くありません。
 母子家庭では母親が働かねばなりません。そういう場合に、特に当該労働者の保護を手厚くすることを考えればよいのではないのでしょうか。
 長年性風俗で遊んでいると、風俗嬢に母子家庭の人が多いことに驚きます。その風俗嬢が、母親であるケースと、子どもであるケースです。
 後者の場合を見ていると、つくづく、結婚して子供を作った父親は、若いうちに病死とか、女をつくって逃亡するなどしてはならないと思います。前者の場合を見ていると、つくづく、子供を作らせる資格のない男が、女に子供を産ませているケースが多いと感じます。
 久し振りに入院した時、私の個室にナース姿の小母さんが入ってきました。
「××さんでいらっしゃいますね。シチョウの○△でございますが、何かご不自由なことはございませんか」
 シチョウと聞いて、市長、視聴……???となりました。師長と気づくのに時間がかかりました。
 飛行機の客席世話係、ナース、こういうものは女性の仕事です。糞尿のくみ取りに、工事現場の足場組み、ゴミの収集、整体師は男性の仕事です。
 これを男女平等とやられたら、本人たちも、それを活用させて頂く人たちも迷惑です。医療行為の補助的作業に働く人は、女性であれば、看護婦とか薬剤の管理・手渡しに当たればいいし、男性であれば、レントゲン技師とかご逝去人の搬出作業に当たればいいのです。(レントゲン技師を女性がやれば、奇形児出産の可能性があります)
 私は間違っても男の看護師に溲瓶を当てられたくありません。
 看護婦という言葉の復権を求めます。看護師なんて全く馬鹿な言葉です。
 子会社の賃金水準
 子会社の賃金水準を親会社のそれに対してどんなレベルにするかについてはなかなか難しい問題です。
 私の経験からすると、両者には結構差があります。採用される人間の出身大学の格差(=入学難易度の格差)とか、子会社は親会社から指揮命令されて親会社のビジネスを支える存在であることとかを考えると、賃金水準に大きな差があるのはやむを得ないと思います。
 やっているご本人からすれば、親会社の社員と同じようなことをしているのに、どうしてこんなに給料に開きがあるの?と思いたくなりますが、これはしょうがない。
 現在、私はもともとの勤め先を繰上定年退職して、子会社に勤務していますが、ここの給与水準を決める立場にあるので、ある時、子会社の賃金水準の妥当性を検証しました。
 初任給や幹部の年収についての親会社との比較は聞くまでもなくわかっているから、自社のすべての年齢層にわたって賃金水準をチェックする必要はありません。
 そこで、親会社の総務に『31歳』の者の平均的年収を尋ねました。
 残業代込み、家族手当込みでもって、結果は次の通りです。
親会社で、4大卒31歳の者の平均的年収 子会社で、4大卒31歳で、最高に優秀な者の平均的年収  比率
 620万円  570万円  92%
 妻1人、子1人  同左
 男子31歳ともなると、妻1人子1人が標準なんです。これに達しもせずにソープに行っている人は、あらためて自分がどう行動すべきかを考えたほうがいいと思います。

 92%という結果を得て私は満足しました。ちなみに、子会社の同じ年齢で、昇進速度が普通レベルの者では83%ぐらいの年収です。
 これなら、このクラスの賃金テーブルをそんなに上方改定する必要がないと結論を得ました。
 初任給は、親会社のそれとそんなに変わらない20万円にしているから、入社後の給料の上昇スピードが、子会社のほうは親会社に対してかなり遅いということになります。
 さて、子会社の社長の年収はどうなっているか。
 社長の年収というと、皆さんは当然2千万円以上であると想像されると思います。世間一般の会社では、零細企業を除き、また、有力企業を除き、社長の年収は確かに2〜3千万円程度です。
 しかし、(有力企業の)子会社の社長の場合は、その会社が結構大きな規模のものでも先ずここまで行きません。何故か。
 それは、子会社の社長というのは、親会社の取締役や事業所長や部長が、(所定の年齢に達した時に)横滑りするものだからです。子会社の社長になったからといって、従前の地位で貰った年収から上げる必要はありません。
 仮に、親会社の事業所長で年収1600万円、部長で年収1400万円が平均的な支給とするなら、子会社の社長の年収はイメージ的には次になります。
事業所長だった人が子会社の社長になった時──年収1500万円
部長級だった人が子会社の社長になった時───年収1300万円
 100万円減っていますが、これは、親会社を退職することによって企業年金が年額百万円出ることでバランスするという考え方です。
 これを見ると、同じ社長でも、大企業の子会社の社長というのは、それが小規模の会社ですと随分年収が低いものだとわかると思います。(子会社でも上場会社になると、社長の年収はもっと上がります)
 社長の年収がこのように決まると、子会社の平取締役の年収が社長の年収の85%ぐらいのレベルで決まります。すると、部長の年収が取締役の90%ぐらいのレベルで決まります。
 社長:1300万円 → 部長:×0.85×0.9=1千万円(小規模の会社の場合)
 これから、子会社の課長の平均年収が8百万円と決まります。
 結局、親会社は、子会社の社長の年俸の決定権だけ持っておれば、多数の子会社の人件費のレベルを自動的に管理できます。
 すごい仕組みでしょ。脊椎に針1本刺して血も流さず打撲痕もナシに安らかな顔のまま人を殺める時代劇があったのを思い出します。
 こういう流れを理解すれば、子会社の31歳の社員とか、45歳の社員とかの年収が、親会社の同年配の社員に対して平均的には80%〜85%の割合になるのが理解できると思います。
 以上により、たとえばプロ野球では次の年収格差が想像できます。
  超一流選手で一流の期間が10年続いた人>>>>>オーナー会社のトップ>>>球団会社のトップ
 今子会社は良い
就職人気は三井物産、日立 文系は商社、理系は電機  就職するなら、業績の良い大企業(=独立企業)が一番望ましいですが、これは、難易度の高い大学を出て、かつ、他人に違和感を感じさせるような容姿ではないこと、あまりに個性的すぎてはいないことなどが必要となり、合格を得るのがなかなか難しいです。
 次善の策としてどんな企業を就職の目標にしたらいいか。
 中小企業で、大企業の子会社ではないところとか、業績の良くない大企業は、私は次善の策とは思いません。穴場は、将来性のある業種の、業績が良い大企業の子会社です。
 よく言われる『鶏頭となるも牛尾となるなかれ』は嘘で、『寄らば大樹の陰』が正しいのです。大企業の子会社ですと、その会社自体が大企業(=大樹)のことがあるし、仮に、中小規模の会社だとしても、それは大企業の子会社だから、これも要するに大樹です。
 なお、鶏口となるも牛後となるなかれが正しい言い方です。どうして鶏頭牛尾と記憶してしまったのでしょうか。
 私(←子会社勤務)は新入社員を教育する時、その人たちは『子会社』に就職したので、必ず次の質問をしてみます。
──会社は何故子会社を作るのか、そのわけを皆さん考えて、思いついたことを一つでも三つでも述べてください。──
 今まで10数人の人にこの問をぶっつけて見たのですが、一つも答を思いつかない人が多いのです。緊張していて何も答を思い浮かべられないというのは理解できますが、ちょっと情けないです。
 まあ、「親会社よりも安い賃金で働かせたいから」の答ぐらいは出てきたことがあるのですが、大学を卒業したばかりの人には答が想像できないようです。
 子会社には、(1) 親会社が自部門を分離して作ったもの (2) 企業買収をして系列に納めたもの の2種類がありますが、(1) のほうがより子会社らしいです。(1) の子会社は、どうして親会社がそれを作りたかったのか。そのメリットと思われるものを並べてみます。
1.親会社の人事の活性化──親会社で幹部として処遇できない人を転用
 これにより、親会社は上級管理職の若返りがスムースに果たせて、また、転用される本人も、子会社といえども責任のある職位にて指揮業務ができ、これによる活性化効果が大きい。
 親会社の社員で中高年層の者(特に、下級管理職、非管理職だった者)の働き場所を確保したい。(親会社で、若い社員と一緒になって同じような仕事をするのは、お互いに仕事がやりにくい)
2.労働力をよりフレキシブルに確保できる
 大企業である親会社においては、もうとにかく採用規制が激しいです。ところが、ビジネスを伸ばす時にはすぐ兵力が欲しい。子会社が欲しくなる要因として『採用の自由度拡大』、これが一番大きいかもしれません。
 ここで必要な兵力とは‘作業者’ですから、いわゆる一流の大学を出ている人でなくてもかまわないです。まじめに作業をやってくれる人であればいい。
 たとえば、エンジニア(ソフト制作、機構設計者)、売り子、セールスマン、製作現場従事者など。
3.親会社の労働組合に縛られず、別の労働条件で雇用できる
 親会社は、労働組合の要求を受けて、3Kの仕事は社員にさせないし、残業規制は甚だしいし、ゴールデンウィークや正月休みやお盆休みには社員に仕事をさせないようになっています。ところが、また、現実の商売は必ずしもそういうわけにはまいりません。
 たとえば、日本有数の大型量販店に品物を卸す場合は、その会社は、水曜日を休みにして、土曜日をできるだけ出勤日とし、日曜日の休日就労手当の加算制度なんていうのは廃止したいものです。一日で仕事の佳境時間帯が夜型の会社もあります。こういう時、親会社とは全く違う就業規則に従う子会社を作りたくなります。
4.より安い就労料金で労働者を雇用できる
5.子会社で採用する社員のほうが、泥田の中で格闘する仕事に向いている
 度胸だけが取り柄とか、体力だけが取り柄とか、この手の社員は大会社にはあんまりいませんし、大会社にはインテリ馬鹿も多くなります。子会社はその点しゃにむに突っ走ることのできる兵士が多くなります。
6.親会社ではやりにくい仕事を子会社にやらせたい
 3や5と関連することです。日本の一流企業と言われる会社では、効率や拡販の観点からやらなければならない仕事というものがあります。
 ───例:クレジット会社、運輸会社、直販小売、アフターサービス会社etc
 たとえば、販売する会社がクレジット業務もしていたら、セールスマンは値決め交渉がやりにくいし、据付業務もしていたらセールスマンのスーツが汚れます。
 販売する会社がアフターサービスもやっていたら、製品故障を理由とした値引要請を受けやすくなります。計画的に顧客訪問するセールスマンに商品クレームの処理がどんどん飛び込んできては仕事の効率が落ちます。
7.機密保持などのために、囲った領域でやりたい

 こういうわけで、大企業は子会社を設けるわけです。今は連結経営の時代でもあり、子会社は昔のように軽んじるような存在ではなく、それこそ親会社の一部門、文字通り運命共同体になっています。
 そして、親会社がまともな会社であれば、もうこの子会社は未来に倒産する可能性が低くなります。
 結婚相手を決める時一番大切なことは健康な体と心であることでして、就職するに当たって一番留意すべき事項も『倒産しないこと』です。だから、日本の一流企業の子会社は、就職検討先として充分考慮に入れるべきものです。
 但し、入試難関といわれる大学を出た人はあくまで親会社を目指すべきです。そういう人(男性)が子会社に新入社員としてやってくると(或いは、採用希望でやってくると)、非常に奇異な感じがします。初めから落ちこぼれみたいなんです。消極的というか、世間を知らないというか、気概がないというか、そういうふうにしか見えません。
 子会社に就職した場合、同程度の規模の《独立会社》と比べてのメリットを挙げます。
1.所得レベルが親会社の社員よりは低いかも知れないが、世間一般からみれば高くなる。
2.いわゆる人件副費が立派である。(福祉政策、退職金制度、健康管理、通勤費、出張旅費手当など良質である)
3.乱暴な人的管理がない。(恣意的な解雇は考えられない、サービス残業も減る傾向にある)
4.給与の決め方に恣意的な要素が減る傾向にある。
5.教育環境が整っている。
6.職場が相対的に紳士的になっているはずである。
7.仕事がきちんと発生する傾向にある。
8.文書で確認する習慣が整っている。
9.パソコン等に不自由する可能性が乏しくなる。
10.同じ上司の下で働くというその長さが減る傾向にある。(上司と合わないというリスクが軽減される)


 推薦文をいろいろ書きましたが、デメリットも一応確認します。
1.取引先の主力として、売りか買いのどちらかで必ず親会社が入る。
 この取引で、親会社の社員が生意気・横柄、これでストレスがたまる。
2.社長・役員などにはなりにくい。
 やはり親会社から来た人がこういうものに就任するから、確率が低くなります。
3.上司として親会社の社員がいきなりやってくる。
 それも、自分たちの仕事についてあんまりわかっていないような人が偉そうにするから、腹が立つ。
 まっ、すべて完璧にハッピーなんてことはありません。
 子会社は、採用される人の資質がどうしても親会社より劣ることが多いです(出身大学の学力の差)。入学難度の低い大学を出た人は負けず嫌いの気持ちでそんなもの関係あらへんと言いたがりますが、入学難度の低い大学の出身者と高い大学の出身者との両方を使った立場でものを言わせて貰えば、やっぱり違います。資質才能の差はどうしょうもない。気配りが違います。文章力が違います。会話力が違います。あくまで平均的に見てそうなります。
 また、子会社では、教育のされ方が親会社に比べて落ち気味になる傾向があります。そして、仕事の質において、親会社の取り組み方のほうが企画的・創造的・広域的・長期視野的・根源的・戦略的であって、子会社はどうしても『作業遂行』的事業になります。すると、子会社では上級幹部になりうるまで育った事業センスのある者が少なくなります。
 更に、子会社のほうが親会社に比べて会社の歴史が浅く、必然的に上級管理者の層が薄くなります。
 親会社はどうしても人材供給に応ずることになります。
 ところが、団塊の世代がリタイヤすると、親会社は人材供給に応ずることが大変困難になります。これからは、子会社採用の人も幹部になりやすくなります。
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(千戸拾倍 著)