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スケベエッセイ 15

 将棋の九段

 2023年11月16日に広瀬章人八段が棋王戦の準決勝で伊藤匠七段を下して勝数規定(250勝)により九段昇段を決めた。
 A級順位戦で、菅井八段、永瀬九段と連敗し、ここまで今年度の勝率が5割を切っていただけに、ファンは『やっと』感が強かったと思う。
 8.99段と長く言われたし、凄八こと飯島栄治八段と一緒に解説する時は“聞き手”を勤めて(タイトル2期の実力者だから)違和感があり過ぎた。昇段して実に落ち着きがよくなった。
 それで、九段について調べたくなった。
 ネットで見つけたから正しいかどうかわからないが、興味深いものなのでまとめてみた。
 現役九段の昇段の状況だ(八段昇段も付記)。
棋士名 九段昇段理由 九段昇段日 年齢 八段昇段理由 年齢
藤井聡太 タイトル3期 2021/7/3 18 タイトル2期 18
谷川浩司 名人 1984/4/1 21 順位戦A級 19
渡辺明 竜王2期 2005/11/30 21 竜王1期
昇段制度改正
21
羽生善治 タイトル3期 1994/4/41 23 順位戦A級 22
南芳一 タイトル3期 1989/2/22 25 順位戦A級 22
佐藤康光 名人 1998/6/18 28 順位戦A級 26
永瀬拓矢 タイトル3期 2020/10/14 28 タイトル2期 27
佐藤天彦 名人 2016/5/31 28 順位戦A級 26
高橋道雄 タイトル3期 1990/4/1 29 順位戦A級 28
丸山忠久 名人 2000/6/28 29 順位戦A級 27
豊島将之 名人 2019/5/17 29 順位戦A級 26
藤井猛 竜王2期 2000/10/1 30 前年に竜王位 29
ク田真 タイトル3期 2001/8/9 30 順位戦A級 28
森内俊之 名人 2002/5/17 31 順位戦A級 24
屋敷伸之 タイトル3期 2004/4/4 32 勝数規定 30
久保利明 タイトル3期 2010/3/30 34 順位戦A級 27
塚田泰明 勝数規定 2000/12/15 36 順位戦A級 23
深浦康市 タイトル3期 2008/9/26 36 順位戦A級 32
広瀬章人 勝数規定 2023/11/16 36 順位戦A級 27
森下卓 勝数規定 2003/12/12 37 順位戦A級 27
三浦弘行 勝数規定 2013/8/16 39 順位戦A級 27
青野照市 勝数規定 1994/8/5 41 順位戦A級 30
鈴木大介 勝数規定 2017/3/1 42 順位戦A級 28
先崎学 勝数規定 2014/4/1 43 順位戦A級 29
木村一基 勝数規定 2017/6/26 44 順位戦A級 26
行方尚史 勝数規定 2019/11/14 45 順位戦A級 33
福崎文吾 勝数規定 2005/10/28 45 勝数規定 30
中村修 勝数規定 2008/1/23 45 勝数規定 30
島朗 勝数規定 2008/4/17 45 順位戦A級 31
井上慶太 勝数規定 2011/3/3 47 勝数規定 33
阿部隆 勝数規定 2020/7/15 52 勝数規定 37
脇謙二 Fclass規定 2021/4/1 60 勝数規定 40
 藤井聡太竜王名人がタイトルを持ち続ければ、確かに竜王1期やタイトル2期での八段昇段は難しくなるが、他のルート(A級昇級、七段昇段後190勝)で八段昇段は目指せる。特にA級昇級は近年到達年齢が若くなっている。
 タイトル2期や竜王戦絡みの八段昇段者は4人しかいないから、八段昇段にはそれほど影響があるように見えない。
 この4人はこの事由がなくても順位戦A級により間もなく八段昇段が果たせた。
 要するに、あのタイトル独占者がいなければタイトル2期を獲得できるような強豪棋士は、A級に昇級するはずだ。
 九段昇段は、名人獲得、竜王2期、タイトル3期が望み薄なら、かなり難しくなる。タイトル挑戦数やA級在留期間などを九段昇段要件に加えてもよいのかもしれない。聡太君が強すぎて九段昇段者が激減するのはよくない。
 2024/4/15現在の現役棋士の段位別人数は次の通りだ。
 タイトル保持者(永世の有資格者を含む/全員九段)──6名
 九段───27名
 八段───35名
 七段───45名
 六段───24名
 五段───24名
 四段───15名
 棋士は七段になればホッとするだろう。ここまで上がれば一応体面がつく。
 会社で言えば、九段が役員・所長、八段が部長、七段が課長だ。課長までたどり着けばホッとする。
 七段以上が多いように思うかもしれないが、奨励会員まで含めれば頭でっかちの奇異さはない。
 七段昇段の規定をまとめる。
B級1組昇級
竜王挑戦
竜王戦1組昇級
竜王戦ランキング戦連続昇級などでの1段位の昇級
タイトル戦1期
全棋士参加棋戦優勝
六段昇段後150勝
 私は囲碁の世界のことは全く知らないが、囲碁のプロの上級段位は将棋と比べれば格段に大甘だそうだ。

 テキスト検索のソフト

 次は2022年5月7日の日記の記事をベースに手直ししたものだ。
 PCで文章をよく書く人は、保存したファイルに対するテキスト検索のソフトが必須だ。
 私はDevasとFile Diverの2つを使っている。
  Devas(窓の杜のサイト
  File Diver(フリーソフト・無料ソフトのサイト
 もっと良いものがあるかもしれないが、これで不満はないからずーっと使っている。
 もともとはFile Diverなどを利用していたが、ある時読者のかたからhtml文の編集にはDevasが有用だと教えられて使いだし、こちらの方が使用割合が多い。
 検索ソフトの使い分けは次の通り。(上がDevas、下がFile Diver)
 我がサイトで論述の単語を使った文を検索し、Devas と File Diverの結果を掲げた。
 Devasは結果の表示で一覧の度合いが結構だ。しかし、ダブルクリックによりファイルをエディターで開けるだけだから、何かの作業をするには、それを論述で文書内検索して当該箇所にたどり着く必要がある。
 Devasは、例えば論述をすべて論考に直したい時に、指定したファイルのすべてでこの置換が一瞬でできるのがとてもありがたい。
 File Diverのほうは結果の表示が冗漫だが、ヒットしたファイルをダブルクリックでエディターにて開くと、そのまま当該ページの単語の当該箇所が示される。〜当該箇所の前後の文章まで推敲したい時にこれは便利な仕組みだ。
 よって、Devas と File Diverは目的によって使い分ける。

 Devasの素晴らしい機能を具体的に説明する。
【前提──オプションで次を設定する】
1.外部エディタとしてTeraPadを指定する。
  参考:TeraPadに関わる有益な話
2.検索結果をダブルクリックしたら外部エディタを開く〜レ点。
3.\n(改行コード)、\t(タブコード)などを使う〜レ点。
 前項の『将棋の九段』の表の2行目を示すhtml文が次のようになっている。
棋士名 九段昇段理由 九段昇段日 年齢 八段昇段理由 年齢
藤井聡太 タイトル3期 2021/7/3 18 タイトル2期 18
@<TR>
   <TD>藤井聡太</TD>
   <TD>タイトル3期</TD>
   <TD>2021/7/3</TD>
   <TD>18</TD>
   <TD STYLE="background-color:#ffffdf">タイトル2期</TD>
  A<TD STYLE="background-color:#ffffdf">18</TD>B
@</TR>
(注) @にタブコードが1ヶ、Aにタブコードが2ヶ、Bに改行コードが1ヶ入っている。
   私はhtml記述に改行をきちんと入れたい性格だ。
 この各行の右端に七段昇段理由の列を加えたいとする。
 次のように置換指示をすれば良い。
 このhtml文書をDevasで\n\t</TR>で検索する。
 \n〜改行、\t〜タブ だから、B@</TR>を検索するということ。──33件該当
 置換前:\n\t</TR>
 置換後:\n\t\t<TD>勝数規定</TD>\n\t</TR>
 これにより挿入される行は──A<TD>勝数規定</TD>B
 すべての行に、七段昇段理由として一番多そうな勝数規定で列を入れ込み、後から1行目を七段昇段理由に、その他の行はB級1組昇級竜王戦1組昇級などの正しいものに直せばよい。
 Devasを知らなかった時は一斉置換(特に、複数文書で実施)が大変だった。

 TeraPadの設定

 次は2023年8月10日の日記の記事からだ。
 TeraPadはとても便利だから入れることを推奨する。
 TeraPadを1.10から1.27にバージョンアップした。
 ところが設定を引き継いでくれず、参った。苦労した。去年1.10にバージョンアップした時も大変設定に苦労したから、デフォルトから変えるべきところをメモしておく。
ツール→ツールの設定→追加
 名前──Chrome と指定
 実行ファイル──C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe を指定
 コマンドラインパラメータ──%f を指定
表示→タブの文字数──6 を指定
表示→フォント──MS明朝 11 を指定
表示→オプション→基本
 行間隔 4、起動時にIMEをON
 文字折り返し──指定の桁数で折り返し、96桁を指定
  要するに一行全角48文字を選び、良性記と同じにする。
表示→オプション→ウィンドウ
 起動時のサイズと位置→終了時のサイズと位置を復元
表示→オプション→表示──マークで 改行を外す
表示→オプション→色
 HTMLタグ全体 青、HTMLオプション マゼンタ
表示→オプション→ブラウザ→パスの設定
 Mozilla Firefoxのパスに chrome.exeを指定する。
 C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe
 Internet Explorerのパスに msedge.exeを指定する。
 C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe.exe
 初期設定はInternet Explorerとなっていて、この指定をせずともInternet Explorerのボタンを押せばedgeが起ち上がるはず。
表示→オプション→履歴
 ファイル履歴の最大件数 12
 \Program Files\Google が2ヶ所出ているが、私のWindows10のPCではC:\Program Files (x86)\Googleだった。
 この旧機のTeraPadを先日1.10から1.27にバージョンアップしたが、パス指定が全く通らず困却した。
 それで、chrome.exeのショーカットを作成し、そのプロパティのリンク先をコピーしてそれをペーストすることにより、ようやく成功した。
 うまく進まなかったわけは、Filesと(x86)の間にスペースを入れてなかったからだ。chrome.exeのショーカットを作った時そのことに気がついた。
 このような失敗をしないためには、パスを入れるヶ所の右横に□(四角の中に_ )があって、ファイルの探索と指定ができるようになっている場合は、そのツールでファイルを指定したほうが良い。

 気の毒な人

 次は2020年1月11日の日記の記事からだ。
『いやでも物理が面白くなる』に──ここで私は、移動したときのみ“仕事”を行う熱は、人間が持つ金と似ていることに気づいた。金もまた、移動したときのみ“仕事”をする存在である。(中略)たとえどれだれたくさんの金を持っていても、それを移動させないかぎり、つまり使わないかぎり、いかなる物も楽しみも喜びも生まれない──と書いてあった。(志村史夫 著 BLUEBACKS)
 私は思うように出世できなかった現役時代の苦渋に毎日浸って悶えているけれど、次のように考えるべきだろう。
 私の生涯年収を上回る年収を稼いだ老年男がたくさんおろうが、私の歳、72歳より前に世を去った奴、孫を眺めて楽しむことができなかった奴、離婚した奴、自分より先に死ぬべきではない大切な家族を亡くした奴、大災害に遭った奴、何千万円も蓄えを残しても使い方がわからなかった奴、超高級品を集めるのを趣味にして女とさほどセックスできなかった奴、古刹の庭や秀逸の名著や眼前の生身の下穿きを外した女に多頻度で感激することがなかった奴、自己の動作に起因する女のエクスタシーを見てない奴、美女がウンコを出すのを間近で観賞するのを願望できない奴、これを願望しても許可されない奴よりはましな人生だろう。
 でも、そんな惨めったらしい奴でも、健全な聴力があって、72歳でも精液が飛ばせる奴はやっぱり実に羨ましい。
 しかし、考えてみれば無茶苦茶だよな。家族には節電節水贅沢禁止など、私が昔厄介になった会社と同様うるさく言いまくって、貯蓄金の少なきをワイフと共に嘆きながら、自分は野放図な女買いに狂って、さんざん楽しんだ人生だ。
 全く申し訳ないと思うが、過去は修正できない。これからワイフの日々の要請に極力応えることしか償いができない。

 司馬遼太郎の『坂の上の雲』に関して想う

 最近YouTubeで日露戦争を解説したものがたくさんあることを知った。みんな日本が勝つ話は好きだね。
 日記をそのまま移し替えた。
 2009年12月23日(水)
 最近読んだ本。
  坂の上の雲1   司馬遼太郎 著  文藝春秋(文句なし)
 NHK坂の上の雲(2009年11月から2011年12月まで全13回を足かけ3年で放送)の放映に触発されて年が明けてから読む予定だったけれど、あまりに読む本がないから読み始めた。昭和46年以来の再読だから、38年間本棚に置きっ放しだ。
 文庫本並みに活字が小さいけれど何故か読みやすい。司馬さんの文章は大変読みやすいのだ。文章はこうであらねばならぬ。
 坂の上の雲の脚本がどのように原作から取捨選択と俗受けするための改変(感動を狙ったシーンの創作)をしたのかがわかって面白い。テレビドラマのための脚本としての工夫がよくわかった。
 同じく原作を読んだ『篤姫』の時も思ったが、脚本家のプロはさすがに巧妙だ。
 第一巻は秋山好古と秋山真之の少年期のことも書かれている。明治の初めの頃の学校や政庁のことは文献が乏しいけれど、司馬さんはよくぞあれほどまでに調査したものだと思う。
 氏がした関係者からの聴取と文献漁りは凡人には到底なしえないものだ。本当に敬服する。
 作家が必要とする労力と素養を考えたらいかにも収入が少ないのが理不尽だ。作家になんてなるものではないとつくづく思う。
 私は一日三食食べて、ご飯は椀軽めに一杯だ。なにのにウンコは太くて長いのが毎日出る。入った体積がそのまま、否、それ以上出てくる感じで、栄養摂取効率がかなり悪いのではないかと思う。室内で飼う愛犬のウンコを見ても、それこそ摂取した量よりもたくさん出ているような気がする。
 いかに内臓の剥脱皮膚や腸内雑菌の死骸が老廃物に加わるにしてもさほどの体積があるべくもないから、このことは本当に不思議だ。
 2chのウンコ関係スレでは「女のウンコは男のウンコよりも太くてでかい」とよく出てくる。私も昔見た排便ビデオで女が驚嘆すべき量のウンコを出すのをよく見た。
 で、金津嬢に浣腸すると、残念ながら便秘中でもまともな量のウンコが先ず出てこない。排便は実に迫力がない。いくらなんでも少なすぎる。
 スレンダーな体型を維持するために炭水化物をちっとも食べていないことがよくわかる。「あんた、レタスと牛乳と卵しか食べていないのだろう?」と聞くと、「うん」と言う。
 男が驚くほどのウンコを出す女は、まともに炭水化物を摂って、排便が毎日ではない人なのだろう。
 スレンダーな体型を維持することだけを考えている女は果たしてまともな子供を作ることができるのだろうか。健康面と知能面の両方でだ。
 よくもともと頭の良い人とか生来的に馬鹿な人という言い方をするけれど、これは本当だろうか。子供の頃から書を読み、沈思黙考もする人が賢くなるのだ。学問をする人が頭の冴える人間になる。
 陶酔記のアクセスログを眺めると、文字数の多いものを読めない情けない人が多いことがよくわかる。昔は2chに「あんな長い文章のサイトを見る馬鹿がいるのか?」と書き込む馬鹿がいた。
 もっと昔は、馬鹿は表に出てこなかった。ひっそりと馬鹿をしていた。今は馬鹿でも百家鳴騒に加わり、一人前の格好をして馬鹿をまき散らす。馬鹿もBBSやブログで一人前の顔をしだした。
 明治の初め、教育に重点を置いた政府高官の見識は立派だ。そして、坂の上の雲を読むと、それは江戸時代からの日本の流れなのだとよくわかる。
 その観点で
  開国と幕末改革 日本の歴史18  井上勝生 著  講談社学術文庫(大変勉強になる)
を推奨する。
 井上氏は幕末を国際関係から描いているのが特色だ。文量的に大部なのに尊皇攘夷の志士たちの動きにはそれほど筆が割かれていない。当時の農民一揆は秩序と規律と皆の合意があったことを説き、北海道の事情や西洋列強の東アジア浸出の状況、幕府の外交などを書き込んでいる。
 明治以降に書かれた本では、無知で無能な幕府役人が外国人とおろおろ交渉して『ど下手』を重ねたごとくに書いているが、その認識は間違っているとの説だ。
 更に、明治政府の関係者は前時代のことを悪く書くのが当然で、それを鵜呑みにして、江戸時代は最悪の時期だったと思うのは間違い、遅れた国というのも間違いだと言っている。
 司馬氏は幕末の日本を「米と絹だけの後進国」と表現し、日本の未開性を強調しているが、井上氏は逆のことを言っているわけだ。
 両者は、幕末の日本が教育的には立派であったとする点において一致している。
 坂の上の雲1を炬燵の上に置いておいたら知り合いに「読み終わったら貸して」と言われた。それで、私が子供の頃から現在まで一貫して(こういう人は嫌いだ!)と思っていることを思い出した。
  (1) 私の蔵書を貸して欲しいと言った人。
  (2) ガムを噛みながら私と喋る人。
  (3) ポケットに手を入れたまま私と喋る人。
  (4) 酒癖の悪い人。
  (5) 息のくさい人。
  (6) 漫画しか読まない人(ゲームばかりする人)。
  (7) 運動能力があることだけが自慢の人。
  (8) 櫛を手放さない人。
 この世で費用対効果で考えたら本ほど安いものはない。希少本ならともかくもそこらの本屋ですぐに手に入るものを「貸してくれ」とは何事かと憤る。私が所有する本は私の脳みその片割れだ。「貸せ」と言う神経がものすごく気に障る。読みたいなら「俺も買ってみようかな」と言えば良い。私はそうする。
 なお、この(1)〜(8)の嫌いの程度はかなりのものである。諸般の環境がそれを許せば、その男に私から話しかけることは先ずない。
 2009年12月24日(木)
 最近読んだ本。
  坂の上の雲2   司馬遼太郎 著  文藝春秋(文句なし)
 これは次の日曜日の放映が終わってから読むつもりだったけれど、待てなかった。面白すぎる。
 第2巻に次の文章があった。
 真之が書いたサンチアゴ海戦についてのレポートは
「極秘諜報第百十八号」
 というものものしい表題がつけられていたが要するに現実の海戦を実見することによって得た戦術上の問題点を摘出し、分析し、それに意見を加えたもので、日本海軍がはじまって以来それが終焉するまでこれほど正確な事実分析と創見に満ちた報告書はついに出なかったといわれている。これが、真之個人の運命をかえることにも役だった。かれがのちにバルチック艦隊に対抗する東郷艦隊の参謀にえらばれ、
「艦隊の作戦はすべて秋山にまかせる」
 という信用をうけるにいたったのは、このレポートが日本海軍の上層部を驚嘆させたことからはじまるといっていいであろう。

 秋山真之が連合艦隊の参謀をして作戦をすべて立案したのは、今で言えば、トヨタの北米対策担当重役の下で、1課長が全戦略を立て指揮するようなものだ。日本のどの大企業でもあり得ないことだろう。
 文章力・提言というものがいかに大切かということだ。「創見」とあるが、これは大変難しい。日頃自分の属する組織などの問題について熟考している人間だけがこれをなし得る。
 凡庸な人間がたくさんいてはじめて非凡な人間が冴えわたり、その力量が発揮されるのだから、ある組織の全員が優秀になる必要はないが、男子たるもの、自分が凡庸きわまりないことを納得するまでは「俺が一番」というのを目指すべきだ。
 そこで凡俗たるを脱し得ないと思ったら、女体覗きの腕一番とか、痴漢の腕一番とか、エロ動画鑑賞数一番とか、ソープ遊びの腕一番とかを目指せばよい。
 そこそこの会社に勤めている人間は必ず昇格試験というものを受ける。通常「経営に対する提言書」の作成だ。
 日頃本を読み、真剣に熟考している人間が採点者を満足させる文書を提出できる。
 まあ長年こういうものを審査してきた私としては、(どいつもこいつもひどいものしか書いてこない)が感想だ。残念ながら感歎したことは一度もない。
 陶酔記のファンから時々メールが来るが、中には(こんな凄い文章が私に書けるだろうか!)と感心する文面を見ることがある。実に感歎した。こういう発見があるから、62歳にもなってエロサイトを続ける意義がある。
 サイトの制作者への激励のような軽い?文章でもその人の見識・人品はまともに出てくる。
 2009年12月26日(土)
 最近読んだ本。
  坂の上の雲3、4、5、6  司馬遼太郎 著  文藝春秋(文句なし)
 私は高校1年ぐらいから文藝春秋などを買っていたから氏の短編を少しは読んでいたけれど、私の読書日記で司馬遼太郎氏の本が最初に出てくるのは大学3年目(S42)の『北斗の人』だ。昔読んだ本、そして我が青春時代(3) 参照)
 でその年、父が持っていた燃えよ剣、新撰組血風録抄などを読み、その頃は大衆小説と思って氏の作品にはのめり込まなかった。だから長く氏の作品を買わなかった。
 社会人2年目(S46)に関ヶ原を読んでおったまげた。その臨場感ある詳しい記述に感歎した。それからは氏の作品を読みまくった。氏の小説は昭和50年までに殆どすべて読んだと思う。
 氏の作品は昭和50年以降は殆ど読んでいない。Wikipedia で調べると、ひとびとの跫音(1981)、菜の花の沖(1982)、韃靼疾風録(1987)が読んでいない長編小説だ。主人公に興味が持てなかったからだろう。
 当時私は司馬さんの作品は、関ヶ原、坂の上の雲、国盗り物語、新史太閤記、翔ぶが如く、竜馬がゆく、これぐらいを読めば充分だと考えていたと思う。並べた順に良作だ(良作筆頭が関ヶ原)
 ウィキペディアの司馬遼太郎の項は面白い。
 この中に『直木賞選考委員だった際に、なんども候補になったSF作家・広瀬正の作品を、候補になるたびに高く評価したが、他の選考委員の賛成を得られず、授賞させえなかった』とあるが、なかなか興味深い。
 私は広瀬正の作品が大好きだ。この文を目にとめた人は是非氏の小説を読まれると良い。
 で、昭和46、47年以来38年ぶりに坂の上の雲を読み、脳髄を鉄槌で打たれた気分になった。そして、青春時代の乱読熱が蘇ったような気分になった。
 データを示す。
   第一巻 S44年4月 1日 第1刷 S46年7月1日 第23刷 480円 S46年8月 9日読む
   第六巻 S47年9月25日 第1刷            550円 S47年9月25日読む
 私は昭和46年8月に坂の上の雲が第四巻まで発刊されたところで第四巻まで買い、一気に読んで、後はじりじりと続編が出るのを待っていたようだ。第1刷の日付が読んだ日付と一致している。
  えろえろ考察  日記  秘密の愉しみ  トップページ
(千戸拾倍 著)