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見事によがる女の初めて

 金津園で遊ぶ当初から私は女体愛撫に熱心で、4人ぐらいの嬢に入浴すると買春抱擁での愛撫の進め方とこつがわかり、もう相方がよがりを見せるのが当たり前だった。ただ、多くのよがりはまあ秘めやかで、よがる様子がそんなに記憶に残っていない。
 見事なよがりっぷりを愉しんだ初めてがボンボンのミカ金津園遊び初期の想い出に登場:昭和59年から通う)で、よがりっぷりに驚き、唖然とした初めてが貴公子の衣ソープ道入門 3に登場:昭和62年頃に通う)だ。衣は声のタイプが喘ぎ声で、それほど大きな声でもなかったが、体の反応・身動きに目を瞠った。
 よがり声の激しさと意味ある言葉を連発の快感表現に驚いた初めての嬢はマスターズの仁科良で、堀千秋性交せずに通った女に登場:平成2年頃に通う)がいなくなった平成3年に初会をした。
 衣と仁科良の以降で、この2人を超えるよがっぷり、戻りの列車で振り返ってにんまりするような激しい昂揚に出会ってない。中イキさせた時や潮を噴かせた時は確かに戻りの列車で振り返ってにんまりしたけれど、グワッと頂点が来る感じで延々とよがっているのではないから、この2人の長いよがりとはやはりタイプが違い、感動が少し淡い。
 さて、初めての月4回入浴を読めばわかるが、私は対面した相方の嬢としての技量が低いと何かとアドバイスをしたがる人間だ。
 私は昭和63年にヴィーナスの玲子驚嘆のマットプレイに登場)の壮烈なプレイに驚嘆した。玲子は予約が取りにくいこともあって忘れた頃に入浴する程度で、私の遊び方としては例外的に通いの密度が低いが、期間長く玲子に通ったことが女の性技に関する着眼を深め、私の指導癖を顕在化した。
 私が教え癖を最初に発揮した嬢は多分仁科良だろう。これは私の性癖だから、その後も性技の未熟な嬢に出会う度に指導することになった。

 仁科良は堀千秋と同様雑誌に写真を出してなくて、容姿を知らなかった。マスターズの女から、仁科良がそれほど美人でもなくてソープ経験も短いのに何故か固定客が多いことを聞いて会うことにした。私は本指名をよくとると聞いた女には入浴する癖があった。
 エレベーターの中で控えている姿を見ると、やや小柄でスリムな体を学生風の普通の服装で包んでいた。小さな顔の割には、上の前歯がやけに大きい。話し方もいかにも学生風で、初対面の仁科良の仕草がとても初々しく思えた。
 しかし、肌が地黒で、眼も上目蓋が腫れぼったくて垂れ目で、痩せ気味で、心が躍る容姿ではない。声もボーイッシュで乾いていて、それほど愛想がいいわけでもない。長所はウエストが55cmぐらいまでに見事に締まっていることと、若くて素人っぽいことだけで、最初は何故固定客が多いのか、本当かな?と疑った。
 でも、マットとベッドのプレイをして理由が判った。
 仁科良の椅子洗いのあっさりとした仕方から、マットプレイが期待できそうだとは思えないし、またそれほどしっかりと菊座をこすり洗いしないので、これはアナルも攻めはしないな、と私は判断した。
 ところが、俯せのマットプレイは、男の背中に乳房を押し当てて躯をローリングさせる「泡踊り」と呼ばれる動作ではなく、千秋と同様に最初から私の脚の間に腰を下ろし、後ろから股ぐらに両手を突っ込んでペニスを掴んだ。いきなりペニス揉みでスタートした。
 そのような単刀直入の切り込み方が私は大好きだ。仁科良が性的行為とは無関係の雰囲気をしているのに熟練の入り方をするから、意外に思いながら、腰を浮かせてペニスを弄いやすくした。
 仁科良はカリ首をこすり揉みしながら、千秋よりもしっかりとアナル舐めを行った。舌先だけを当てるのではなく、面全体で菊座の襞をえぐり取るように強く、時間もたっぷりとこする。菊座に這わせる舌も、同時にカリ首に添える指も程良い圧力だ。
 予想に反して仁科良はなかなかのマットプレイをした。ソープの経験が浅い割には性技が上手で、しかも一生懸命にやっている。カリ首のいじり方が要領を得ていないけれど、少しやり方を教えればかなり上手になりそうだ。
 嬢50人に初会すれば、48人のマットでの動きは普通の泡踊りと呼ばれるやり方だ。陰茎・陰嚢・菊座の刺激時間が少なくて、全身の接触に時間を取り、体全体を動かすのが良いマットプレイだと信じている。
 ところが、堀千秋と仁科良のマットプレイは似たやり方をして、それはヴィーナスの玲子の動きと少し似ており、なかなか目にしない動作だ。
 男がうつ伏せの状態で考えれば、嬢が胸や腹を男の背や尻に押し当てて揺するという動きをあんまりせずに、両手を股間に入れ込み、ねちねちとペニスを刺激する奔放な愛撫が代表例だ。
 私は若い2人がこんなやり方をどうして身につけたかに興味を持った。それでルネッサンスの想い出に書いたようにロイヤルヴィトンのシルビアに会った。
 更にベッドでは、クリトリスを丹念に揺らして攻めると、仁科良は両膝を抱えて細い脚をたたんで秘所を露わにし続けた。完全におまかせのポーズで、私はすっかり煽られた。
 胸を反らしたり首を傾けたりして、若々しいよがり声を奔放に響かせる。攻めに強弱をつけるとその度に腰の揺れと悩ましい喘ぎ声で応答を返し、細い脚が踊った。愛液もたっぷり放水した。
 これは人気が高い筈だ。そう思って常連客の客層を訊くと、仁科良はお年寄が多いと言った。
 決して美人ではないが、ウエストが細く締まって、筋肉質の、女豹を思わせる体つきだ。乳房も小さ目ながらもこんもりと張っている。私は仁科良の肉体のとても鋭敏な反応が気に入り、それからよく通うようになった。
 仁科良は玉舐めもアナル舐めも大胆にするのに、肝心の男根攻めには執拗さと圧力が足りなかった。私はそれがもの足りなくて、初会、二度目、三度目の最初の頃の入浴で、男の快感のポイントと私がして欲しいマットプレイの攻め方を教えた。
 俯せのマットでは、腰を下ろして両脚を私の太腿の下に潜り込ませ、足先を私の両腋の方まで伸ばし、掌で如意棒を、舌と唇でアナルを刺激するやり方を教えた。
 仁科良は腿が細いので私の体がマットから離れず、勃起したペニスがマットに当たって窮屈だ。しかも、その腿が実に固いから、その姿勢を長く続けると、まるで丸太の上に乗っているようで、太腿が痺れて痛くなる。これが、デブの千秋の場合と対照的だった。
 仁科良はその気になってカリ首の攻め方を熱心に研究した。ローション液をすくってネットリとペニスの先を揉み、眼を瞠ってカリ首の張り具合を観察した。細い指を穂先に絡ませ、媚びるような視線を送って私に確かめた。
「こうなの?」
「そう、そういうふうだよ。そこまでしっかりいじって貰えると、僕は完璧に気持ちいいよ。君だって、男が自分の愛撫でヒィヒィよがって躯をくねらすのを見ると、助平な気分になって、楽しいだろう?」
 私が合格の判定をすると嬉しそうな顔をした。
 後日仁科良は、亀頭冠から膨らみ全体を掌でくるんで厳しくこすり立てる、私に教わったやり方を常連客に試したら、皆が驚いていた、と目を丸くして報告した。
 千秋の脂肪がのったふくよかな掌で包まれて揉まれるのも結構だけれど、仁科良の肉厚のない指でこすられるのも、ローションを使っておれば、亀頭を刺激される感触がびんびんとペニスの芯まで響いてなかなか良い。
 仁科良の陰裂は短めだ。大陰唇の張り出しがない分、女芯も花弁もはっきりと飛び出し、短めの二筋の稜線が鋭角になって、しっかりと着色していた。
 白人の女は日本人より概ね大陰唇が発達している。足を少し閉じ気味にしただけで小陰唇が隠れて、縦の直線の裂け目だけが見える形の女陰が多い。
 私はそういうのは好みではなかった。エプロンがはっきり飛び出て、大股開きすれば指を当てなくても小陰唇がパカッと割れ、内側のぬめったところが顕れる性器にいつも感動した。特に、亢奮するとクリトリスの丸みが自然に露出するようなのが大好きだった。
 仁科良は腿も脹ら脛も脂肪が薄い。皮膚がピーンと張った浅黒い肌で、脚の間に腹這いになって、愛くるしい女陰がパカッと割れているのを観察すると、ラビアの着色がまわりの肌の色にとけ込んであまり目立たない。
 短めの扉は突き出しが乏しいけれども張りがあって、本人が「左のほうだけ大きくてイヤだわ」と呟いた通り、向かって右の扉の上部がふくらみを強めていた。それほど非対称でもないが、ちょっとしたことでも若い女は苦になるのだろう。
 仁科良のアナル攻めが徹底しているので、私も仁科良のそこに指を入れて攻めたら、結構身をよじらせるのが面白かった。
 仁科良を攻めると「地図」が楽しみだった。絵の具の愛液は粘りがあって、匂いも決して淡くなかった。
 私はクンニリングスをする時、片手で女芯のカバーを押し開き、もう一方の手は、女が跳ね上げた脚の腿の辺りを支えているから、おのずから女の腰の位置はそんなに動かないので、愛液がこぼれ落ちる箇所が一定していた。
 シーツの「地図」は、しゃびしゃびの水のような愛液だと大きく描かれるけれども、滲んでしまって、海と大陸の境目は明確さに欠ける。逆に、どろどろしていると、シーツの「地図」はそれほど大きくならず、海と大陸の境目がはっきり示され、陸地はテカテカと光る。
 仁科良の愛液が描く地図はとにかく大きく、テカテカと光って輪郭が明瞭だ。その愛液は豊富なまでに涌出して、粘度が高く、実に淫水そのものだ。
「××さんが来ると、疲れるからイヤだ」
 気をやるまで私がクンニリングスをするから、仁科良がそう呟いたことがあった。
 クリトリスを攻め始めると、すぐに淫水を一筋垂らす。大粒でも粘度があるので、会陰の短い毛の間の、皮膚に光沢のある辺りでしばらく止まっている。更に一筋、二筋垂れると、やがてそれらは合体して、アナルの窪地に溜まる。
 クリトリスを吸い出し、唇で揉んで舌でこすり立てれば、すぐにそれが満杯になって、いくら粘り気があっても重みに耐えられなくなり、そこから更に滴り落ちてシーツに大陸を作り始めた。
 その頃になると私も亢奮して、白濁の流れを観察する余裕がなくなる。
「あぁいぃ、あぁ、おぉ、イキそう、あぁ、どうかなりそう、わぁ、すてき、いぃ、いぃ、もっと、もっと、そこ、そこよ、うぅ、感じる、おぉ、わぁ、もっとぉ、あぁ!……」
 仁科良のよがり声はとても派手だ。低い地声に比べ淫声の滲んだ響きが何とも快い。天使のさえずり、妖精の吐息、聖母の歓喜、そんなものを思わせる。
 更に昂まって終末を迎えたくなると、仁科良は時々「指、入れてぇ」と要求した。お豆さんを舐められながら、同時に中指1本で、膣上面のGスポットをこりこりされるのが好みだった。肉孔は狭くて、指2本ではきつかった。
 膣の中は襞のようなものがなく、単純な導管の形状で探り甲斐が乏しい。でも、狭い通路が濡れそぼち、時にふわーっと奥が広がる。膣道の前壁を中指の腹でこすっていると、唇に挾んだ女芯もばんばんに腫れ上がり、実に咥え甲斐がある。
 顔が朦朧とした感じで、何かを待ち受けるように次第に言葉が「いぃ、いぃ」と単純になる。
 このよがり声の間隔が短くなって、悲鳴のようになると、私は剥き出したクリトリスを唇の間で激しく出し入れして、同時に肉孔に差し込んだ中指の動きを強める。時には人差し指をアナルに差し込み、指2本で薄い壁を挾んで深浅自在に動かす。
 私はクンニリングスのし始めでは、舌先でクリトリスを撫でるようなことをしても、佳境に入れば両唇の間にクリトリスを挟みっぱなしにするねちっこいオーラルプレイをした。
 まるで股ぐらに食らいつくように密着するクリトリス弄いが執拗で、仁科良には経験したことのない具合のいいものだったと思う。華奢な上体の背を反らして、わめくような大声でよがり続けた。
 仁科良はアクメが近づくとナイフエッジのラビアがパックリ開く。よがり汁が溢れ、声が「あぁ、あぁ」と更に高くなる。胸を張ると、小ぶりの乳房がほほえましい。
 その頃になると濡れそぼった女陰は何とも生臭い匂いを発散した。悪臭とは思わないが、強い匂いであることは間違いない。昂揚するまでは普通の人肌の匂いしか発していないから、仁科良の分泌物によるものであることは確かだ。
 何の匂いに似ているのかとよく考えたが、類似の香りが全く思い当たらなかった。しいて言えば、手の甲を舐めて、湿り気から漂う匂いを20倍に強めたような感じがした。
 仁科良はアップテンポで快感が駆け上がり、腰を盛んに震わすと間もなく到達する。
 一声「イクーう!」と叫んで、全身を大波のようにくねらせた。ほれぼれするようなオーガズムだ。
 そこで私は怒張したものを突き入れると、あまりにも濡れすぎてどうにも具合が悪い。一度抜いてペニスをティッシュペーパーで拭き、それから腟口の辺りも拭いて、再度挿入することをよくやった。
 私が割れ目の内側にティッシュを当てると、その度に仁科良は「うわぁ」とか「あはん」とか叫んだ。
 私が腰を送る度に仁科良は「うっ、うっ」と声を洩らし、首を振った。ピストン運動に明瞭な反応を示すから私は愉しくて、いつも上体を起こして仁科良の顔を見ながら抽送した。
 膣の中はあまり柔らかくなく、狭くって、熱っぽい。私はこすれ具合が良くて、いつも急速ピストンで豪快に放出した。抽送が長続きした時は、同時に、仁科良が失禁しそうな顔で再度達することもある。疲れるので我慢していることが多かったが。
 シーツを見ると一箇所がべとべとになっている。
 初対面で私は、仁科良が続けざまにけたたましいよがり声をあげた後、上体を持ち上げて息絶えんばかり表情で「イキそう!」と叫び、躯をエビ折りにして到達したことに驚いた。
 仁科良が身をよじって横向きになった後、私が合体しようとして膝を進めた時、シーツの派手な地図を見て感動した。前戯してから合体する前に地図を確認するようになったのは仁科良を知ってからだ。
 女のよがり方、気のやり方は、男と違って実に様々で面白い。時には動物的で、時には艶めかしくて、本当に各人各様だ。
 部屋の明かりを消し、伸ばした脚を交叉し緊張させて、自分で豆を揉んですーはーするのや
 千秋のように、「はっ、はっ、はっ」と喘ぎながら、亢奮するにつれて口臭が強まるのや
 空中に両足を上げて、自転車を漕ぐように脚を円舞させながら「いぃ、いぃ、いぃ」と喘ぐのや
「あっ、あっ、いぃ。あっ、あっ、いぃ」と三拍子の声を出すのや
「そこ、素敵、いぃ。そう、そこ、ああ、イキそう。そこよ、そう、イッちゃいそう。いぃ、イッちゃうー。いぃ、……イクーう!」という解説型やら
「もう、あぁ、溶けちゃいそう。そう、溶けちゃいそう。あぁ、飛んじゃうー」と叙述的なのや
 同時に両手で乳房を揉むのや、黒目がどこかへ行ってしまうのや
 腰を左右に揺すりながら両脚がどんどん開いていくのや、躯が弓なりになるのや
 躯全体がせり上がり、枕が脇腹のところに来て、頭が壁に当たって首が傾いてしまい、身動きがとれなくなっているのや、訳の判らぬ動物的な唸り声を出し続けるの……
と、実に様々だ。
 アクメの多様なパターンを見分すると、気をやる女は本当に美しいし、可愛いと思う。
 それにしても仁科良ほど明瞭で激しい絶頂の悦びを表す女はなかなかいない。
 私は学生の時に見たイタリア映画で、マルチェロ・マストロヤンニの扮する主人公が女中と交合するシーンが印象に残っていた。
 女はスカートもブラウスも着たまま尻をベッドの端に置いて、黒のハイヒールを履いた両足を垂直に上げ、男が足首を掴んで立位で挑んだ。白いブラウスから乳房がはみ出て、濃紺のスカートがまくれ上がり、女の白い腿に男が激しく腰を打ちつける映像が迫力に満ちていた。
 そのファックシーンの想い出話をすると、仁科良は若いのに似合わず50歳ぐらい年上のマストロヤンニを知っていて、好きな俳優だと言った。
 ベッドを利用して立位を実演したら、それから仁科良は巻き舌の声で「マルチェロ・マストロヤンニのでしてぇ」とねだるようになった。
 仁科良のGスポットにその体位は合ったのだろう。
 私はいつも、ベッドの端に移動させた仁科良の腰に枕を宛てがって抽送した。痩せた股間だから出入りする棹と食いつく女陰がよく鑑賞できた。
 マルチェロ式で私の吐精を受けた後、仁科良はいつもは寝そべったまま、下腹に力を入れて原液を押し出して割れ目を拭いた。
 ある日たまたま上半身を起こして、秘所を覗きながら始末したことがあった。私はベッドから下りて一服つけていて、突然仁科良が「わぁ、おまんφ、くさいー!」と絶叫したので、驚いた。
「わぁ、嫌だぁ、恥ずかしい。私のって、こんなにくさいのぉ。これ、××さんのにおいじゃないよねえ。私のおまんφの臭いよねえ。いやー、もの凄くくさい。何よ、これぇ、ひどいわぁ。いやらしい。する前、ちゃんと洗ったのに。わぁ、こんなになっちゃうのぉ。いやー、こんなおまんφ、恥ずかしい!……」
 どうやら秘所からの湯気が鼻を直撃したようで、大声の生々しい言葉の連弾に、私は笑いかけたのをぐっと堪えた。
 確かに仁科良は亢奮が頂点に達すると香りが濃くなった。そのときは仁科良が陶酔の後の女陰の匂いに甚だしくがっかりしていたので、そんなにたまげることはない、と精一杯宥めた。
 ある日ベッドで一戦の後、抱き合って余韻を楽しんでいた時、私が、以前肥満気味の女と遊んだときの思い出話をした。
 下手なマットプレイにうんざりした後、ベッドで69の形になると毛もじゃの股間が大変臭かった。どうしようかと思って眺めると、大きな尻たぶの間で菊座の襞にペーパーの切れ端が喰いつかれて残っていた。女に何も言わずに割れ目に吸いついたが、尻もろくに洗わない女だから、割れ目もとにかく味がきつくてくさかった、というしょうもない体験談だった。
 すると仁科良はベッドから転げ落ちんばかりに笑いこけた。
 仁科良は名古屋の進学レベルの高い公立高校を出ていて、予備校通いから転身した。親には、飲み屋か何かで働いていることにしていた。予備校に通って勉強することがいかに虚しいと思ったにせよ、凄い決断をしたものだ。やはり女は男より度胸がある。
 ソープに来る前の性体験は実に僅かだった。殆どの女はソープに来る前にかなりの数の性交渉を経験しているものだが、仁科良は2回しかしていないと説明した。それはかなり珍しいケースだ。
 それで、この仕事がきっちりできるのだから根が相当な助平で、私のソープ経験談に面白がって耳を傾けるのだろうと思っていた。
 20歳そこそこだったが、笑うと18ぐらいに見えた。小説も結構読んでいたし、私と映画論、人生論なりをそれなりに語り合った。2人とも素っ裸で、ピーナツなどを華奢な指で私の口許に運びながら、会話は楽しくはずんだ。
 仁科良は、私がすぐにペニスの先からだらしなく先走り汁を垂らすのを面白がった。
「あーっ、出ている、出ている、ネバネバがいっぱい出ている!」
 一つ眼小僧の粘る涙を細い指でカリ首に塗り拡げ、坊主を人差し指一本で撫でながら談笑するのが癖になっていた。
「貴方のようにお汁を出す人はいないよ。面白いー」
「××さんの玉々は、きゅーっと締まっていて、形が良くて舐めやすいわ。毛も密林じゃないし。それにしても、この金玉さんは勝手にぐるぐるとよく動くのねえ、うふふっ」
 仁科良はあぐら座りの私の金的を両手で掬い上げながら面白がった。
「昔、嵯峨帝の御代に、東国に下りし貴族の、美濃の国金津園に来たりて詠める歌一首今に伝わりけり
   エロ良の濡れにぞ濡れし濡れマンの匂いかぐわし味塩辛し
                  詠み人の名知らず
おちんちんがコキンコキン和歌集」
 などとふざけて享楽の一時を過ごした。
元歌
 見せばやな 媾ふあとの 敷布こそ 濡れにぞ濡れし 色はかはりて 陰阜門院大輔(藤原信成娘)
『濡れにぞ濡れし』で検索すれば本当の元歌が出てくる。
 陰阜門院大輔でググると殷富門院大輔と扱って結果が示される。その中に私と同じ着想で陰阜門淫大輔としているのがあったから面白い。
 仁科良は年配の固定客が何人もついて、予約が取りにくかった。あまり遊んではいないようだから、しっかり貯めていたに違いない。
 2年ほど付き合ったが、エイズの危険が叫ばれるようになってゴムを使うのが基本となり、金津園が一時期客枯れとなった平成4年に、仁科良は名古屋のファッションヘルスに移った。
 仁科良とかなり心を許したつきあいをしたつもりだから、仁科良が店を辞める相談を持ちかけなかったのが心外だった。
 仁科良は「貴方が好きよ」などと気をそそることは言いそうもなかったが、私は充分愉しんだ。オーガズムがとても深くて、それが何とも魅力だから、ヘルスでマットプレイを売り物にしているような高級店をいくつか当たった。しかし、探し当てるのは容易ではないから諦めた。
 本当に多彩なよがり声とシーツの地図、露わな女芯、眠たそうなはれぼったい目、浅黒い若々しい肌、アクメの激しい痙攣が忘れられない女だ。
金津園遊びの実録  初会の金津園遊び  ソープ嬢を愛しむ  トップページ
(千戸拾倍 著)